黒坂岳央です。
もしも「最も重要な科目は何だと思いますか?」と問われれば「国語」と自分は回答する。それはこれからのAI全盛期でも全く変わらない。いや、むしろこれまで以上に国語力が重要になっていくと思っている。
社会人になって感じること、それは「文字は分かるが、意味を理解出来ない人は想像以上に多い」という事実である。中には高学歴でも大きくズレた読解をする人も少なくない。

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国語はあらゆる科目で最重要
国語が出来ないと、他のすべての教科は学ぶことが出来ない。勉強だけでなく仕事も出来ない。そして人間関係も構築不可能。OECDの調査でも読解力の高さと他教科の成績の高さには相関性があるとされている。
つまり、国語力とは人生に最も大きな影響を与えるファクターなのだ。しかも自分では問題の根本原因が国語力にあることに永遠に気付けない恐ろしさがある。
だが救いはある。国語力は生まれつきの才能だけでは決まらない。多くの場合、知識と技術で伸ばすことが出来る。可能性を見せた上で「国語力がないまま社会人になるとどう困るのか?」を論じたい。
問題1. コミュニケーションが取れない
国語力がないと相手とコミュニケーションが不可能になる。
具体的には上司の指示を正確に理解できないので、誤解する。その結果、意図とは異なる作業をしてしまい、やり直しが発生する。自分だけでなく上司や部署全体を巻き込んで時間をムダに使わせる。
指示の中に書かれている条件を見落とす、例外規定を理解していない、あるいは優先順位を読み取れない。こうした問題は国語力が弱いほど起きやすい。
問題2. 説明出来ない
社会人は単に仕事をするだけではなく、「なぜそうなったか」といった説明責任がある。上司への報告、顧客への提案、同僚への共有など、仕事は常に言葉で説明する場面が数多くある。
ところが国語力が弱いと、話の構造が組み立てられない。結論が先に出てこない、理由と具体例が混ざる、話が脱線する。結果として「何を言っているのか分からない、時間だけを奪う人」という評価になりやすい。
実際、職場では仕事の能力そのもの以上に「説明の分かりやすさ」で評価が決まる現実がある。説明が下手な人は他のすべての能力を疑われる。
問題3. 学べない
国語力は学習能力にも影響する。
社会人は常に新しい知識を学び続けなければならない。業界の動向、法律、技術資料、専門書など、ほとんどの知識は文章として提供される。
読解力が弱い人は、これらの情報を理解するのに時間がかかる。理解が遅いということは、学習速度が遅いということだ。結果としてスキルの習得が遅れ、キャリアの成長に影響する。新しいことにキャッチアップしていけないと、スキルを磨く前提のホワイトカラーでオワコン人材が確定的になる。
問題4. 信用されない
国語力は人間関係にも影響する。仕事上のトラブルの多くは、「誤解」から生まれる事が多い。言葉の意味を正確に理解していない、相手の意図を読み取れていない、自分の意図を適切に伝えられていない。こうした意味での誤解だ。
誤解は言葉の不得手が起点になることがほとんどであり、このような状況が続くと、コミュニケーションの摩擦が増え、信用されなくなる。事実を歪んで伝えてくる、何をいっても伝わらない。こうなると「話が通じない人」と低い評価が定着してしまう。
問題5. AIが使えない
「AIを使えば知識がない領域の仕事も出来る」という意見が多い。これ自体は正しい。自分も「やってみたいが、最後のパーツが欠けているので手を出せず断念」という仕事があった。だが、AIがラストワンマイルを埋めてくれることで、これまで出来なかった多くの仕事が出来るようになった。
だがこのAIも国語力がないと活用できない。良い結果を引き出すには、適切なプロンプトを入力し、出力された答えを疑い、検証する必要がある。だが今言ったすべてのプロセスに国語力が必要となる。国語力がないことでAIを使えないと、相対的に格差拡大となる。
◇
国語力は単なる受験科目の一つではない。社会で機能するための基礎的なインフラであり、社会人になった後にもっとも輝く教科だ。
だが救いはある。国語力は生まれつきの才能だけで決まるものではない。文章の構造を理解する訓練や、要約や論理整理の練習によって、社会人になってからでも改善は可能である。
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