下がるコメ価格、結局あの騒動は何だったのか?:JAの構造的改革は待ったなし

相変わらずイラン関連ニュースがヘッドラインを飾っていますが、目先どういう結果になるにしろ、私はこの問題は禍根を残すとみています。1つはイランの原理主義的活動家の動き、1つはトランプ氏に対するアメリカ世論の変化、1つは国際社会が何もできなかったことへの反省、1つはロシアの漁夫の利であります。また身近な話で言えばこれが令和の石油ショック、天然ガスショックへの引き金となりうるのか、そして改めて化石燃料依存の社会が転換するきっかけとなるのか、という課題を突き付けたと思います。ここにきて欧米では原発への関心も高まってくる一方、東電の柏崎刈羽原発の電気供給はまた止まるようで再稼働を安定させるのも簡単ではないようです。

では今週のつぶやきをお送りいたします。

3つのビジネス投資関連の話題

お題1 欧米で急速に話題になっているプライベートクレジット問題。一言で言えば銀行が貸し渋るような会社に投資家が集まって高金利で資金を貸し付けること。ところがこの仕組みに大いなる問題が次々と発覚します。一つの担保に2つの融資がついていたといった事例も発生しています。JPモルガンのダイモンCEOは「ゴキブリは一匹見つかれば他にもたくさんいる」と述べ話題になりました。私も10数年ぐらい前まで投資側として参加していたのでその脆弱性はわかっています。それがいつの間にか社会に浸透した資金調達スキームだったわけで、ここに逆風が吹けば今後、関連倒産はもう少し出るかもしれません。

お題2 ホンダが初の赤字。かつてソニーショックというのがあったのですが、ホンダショックの規模が小さいのはもうすでに引くべき投資家は引いていたからでしょう。主だった機関投資家はずいぶん前に逃げています。ホンダの失敗とされるのは国内で最もEV推進派だったからですがアメリカの政策転換もあり見事に振られました。カナダにいる私は特に期待していました。問題は自動車業界全体が斬新な事業展開を見せられないことで自動車に対する興味が下がってしまっている点でしょう。世界の自動車販売数は2017年をピークに抜けません。自動車はコモディティ化したのでしょうか?

お題3 アメリカ関税問題でその返還方法が話題となり、今日もトランプ氏が4ステップについてつぶやいています。ところでコストコの消費者が同社に対して払い過ぎた小売価格の一部を返せと集団訴訟を起こしました。コストコは既にアメリカ政府に対して返還請求の訴訟を起こしています。チェーンリンク訴訟とも言えますが、これ誰が得する話かと言えば弁護士だけではないかと思います。全く生産性のない論争と元に戻るための回り道は当然経済全体にはマイナスであります。コストコの集団訴訟は先鞭をつけたという点で重要であり、今後、同じような訴訟がいくらでも起きる可能性があり、ぎすぎすした社会となっていくのでしょうか?

自民党派閥解消は本当に正解だったのか?

日本人論的にはフラット社会の中で取りまとめ役としてリーダーが推挙され、何人かのリーダーが生まれた時、リーダー同士の調整が行われる、これが日本では歴史的に行われてきた統治の基本だったと思います。いわゆる共同体の発想です。一つの社会の中で声のデカい者、推しが強い者、怖そうな人、腕力がありそうな人が有利になりがちなのを一定程度コントロールできる仕組みとしては都合よかったのです。

岸田氏が排除した自民党の派閥。その結果、党内のまとまりが悪くなった気がします。人数はいるのに党内の力関係がうまく調整できず、もてる力を発揮できていない気がします。似たようなケースがアメリカの共和党にも民主党にも見られ、結局、支持者に強く訴え、組織力を発揮する能力を欠いてしまった気がするのです。派閥解消の理由は不透明な資金の流れでした。それは当然クリーンにすべきですが、もう一度派閥のメリットを見直してもよいのではないかと思います。

もう1つそう思う理由は高市氏が人を育てるタイプではないので彼女の次をしっかり盛り立てていく仕組みづくりが必要だと思うのです。彼女の次は片山さんという人もいるかもしれませんが、彼女はスペシャリスト型でバランサーではないので違うと思います。小林さんなのか、小泉さんが満を持して出てくるのかわかりませんが、もっと芽が出そうな人も多い中で誰がどんなポジションでどう活躍しているのか、見える形にして活躍の場を作るべきです。そのためにも自民党長老なり重鎮がそろそろ動く時ではないでしょうか?

下がるコメ価格、結局あの騒動は何だったのか?

コメ騒動の頃、日本のテレビでは訪日外国人がおにぎりをほおばるところを直撃インタビューし、いかにも外国人が米を消費しまくっているという印象付け報道を行い、コメ価格上昇のうっ憤晴らしの感すらありました。国民もないと言われると食べたくなるのが性で、大学生あたりがどんぶり飯を嬉しそうに食べているシーンを流し、感性に訴えるような報道も数多く生まれました。結局、それらの多くは事実というよりナラティブづくりだったと思います。

SAND555/iStock

年が明ければコメ価格は下がる、これは以前申し上げたわけですが、新米と言えなくなることが一つ、もう1つは業者が26年度産のコメの収穫時期と在庫の具合を勘案し始めるからであります。昨年後半、売れない新米とされたのに価格だけは勝手に上昇したのは需給が不自然だったからで今の急速な価格下落は供給側がいよいよ本格放出を始めたからでしょう。備蓄米用に21万トンを買い付ける余裕すらあるわけです。

今後あのようなコメ騒動が再び起きるか、と言われたら私は起こりにくくなったとみています。理由は恣意的な取引慣習があるコメ市場に対して一部民間業者がアメリカなどから輸入米で対応する仕組みができたからです。一定価格を超えれば関税を払ってでも輸入米に頼ったほうが有利という「価格の蓋」が生まれたわけでコメ取引市場は既に国際競争の中に巻き込まれたということです。消費者にとっては良いニュース。一方、生産者にとっては生産効率を上げていかないと厳しい戦いになると思います。昔から私が主張していた企業化による大規模農業運営に変えざるを得ない時代は着実にやってくるはずです。JAは小規模農家を守る団体ですが、農家の高齢化が進む中、構造的改革は待ったなしです。

後記
仕事の関係で中国人とのやり取りは多いのですが、本土系と台湾系はまるで違います。今週会った台湾系不動産デベロッパーの社長さん。初対面で会うなり、「Youは高市好きか?彼女は台湾を守ってくれる。嬉しいよ」と機先を制しました。「日本クオリティを自分の事業にも取り組みたい、ぜひとも手を組もう」と言われたときは調子よすぎと思い、まぁまぁとなだめて終わりました。とにかく不動産事業者は苦戦が続き、賃料も下がり、テナントを埋めるのも困難な状況でこの社長さんも新たな不動産事業の柱を探していると。既存のビジネスストラクチャーだけではもう生き残れないシビアな時代になったということでしょうか?

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年3月14日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。

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