体力がなくてついていけない:現代人の過保護化と虚弱体質

「体力がなくてついていけない」といってもマラソンの話をしているのではありません。日経の記事、「1日8時間働けません 『虚弱な私』告白本、広がるMe too」という記事の話です。記事だけしか目にしていませんが、その内容は虚弱体質と思われるほどで「20代で初老のよう」と記事に記されているように本当にしんどいのでしょう。

お前はどうせ「頑張りが足りないのだ!」というと思っているでしょう。いや、全くそう思っていません。頑張れと言っても「無理なものは無理」とキレられるか泣かれるのが関の山なのです。

この書籍の人ほど虚弱にならなくても日本人全体が昔のような体力や強い精神力を持ち合わせていない気がします。

lielos/iStock

こどもの体力が一番勝っていたとされるのが1985年頃でその頃と2012年を比較するとスポーツ庁の分析によれば当時の平均体力の平均に対して男子握力は18.35㎏→16.71㎏、50メートル走は9.05→9.36秒、ソフトボール投げに至っては29.94m→23.77mといった具合です。2012年のデータですらこれですから、もし2025年頃のデータがあればいったいどうなっているのだろうとハラハラしてしまいます。

この体力減に至った一般分析はごくまっとうなもので、スクリーンタイムの増加、生活の利便性、二極化(運動することしない子の差が激しい)とされます。特に二極性については例えばオリンピックのメダル取得状況を見ても明らかに向上しているわけで、運動の英才教育を受けた人は伸びることを示しています。

私が気になっているのはスクリーンタイムでも生活の利便性でもありません。過保護化と自己免疫取得が十分ではない点を考えています。

まず、過保護についてです。いわゆる一人っ子世代という言葉が聞こえてきたのは60年代生まれの人ぐらいからだと思いますが、統計的に顕著に表れるのが2000年代です。国立社会保障人口問題研究所によると2002年生まれの一人っ子は8.9%、ところが2021年には19.7%に増えます。親がかける子供への投資額(教育から遊びまで)は兄弟や子だくさんの家に比べてはるかに高い額を投下できます。子供一人当たり成人までに2500万円から4000万円かかるとされるわけですが、その全額が一人の子供に投入されるわけですから結果として過保護になってしまうのです。これがいわゆる「わんぱく」な世代との違いが生まれたとみています。

そうなれば食べ物も飽食になりがちでしょう。好き嫌いを我慢させる必要もないのです。固い食べ物は子供は嫌がるのでどうしても柔らかいものが増える、そうするとあごの力が無くなるので現代っ子によく見られるスルっとした顔つきになりやすいのです。今の中高生の顔を見ると皆同じように見えると思います。

スーパーに行くと魚売り場には「骨抜き」と銘打っているものがたくさんあります。私は小骨ぐらい噛んで飲み込んでしまうし、魚の食べ方は骨をうまく取りながら猫も近寄らないほどきれいな食べ方をするのが粋だと思うのです。ですが今では社会も過保護化が進んでいると言えないでしょうか?

次に自己免疫です。おなかが痛くて具合が悪くなったらどうしますか?私の頃は無理してでも学校に行かされていました。今はほぼ確実に学校を休みます。学校側も「無理してこなくてもよい」という方針のところもあるようで、先日、日本のある方と話をしていたら子供は週に1日は休んでいる、と。そしてその子供たちが通うのは病院です。

なぜ「お子様は病院がお好き」になったのでしょうか?これは答えが簡単で子供医療助成費制度が充実しておりほとんどの自治体が中学生まで無料とか高校生までしっかりした助成金が出るようになったからでしょう。すると子供たちは暇さえあれば病院に行き、薬をもらってきます。私はこれが子供をダメにした一つの原因だと思っています。20代で初老どころか、10代で病院コミュニティに参加です。つまり医者にかかりすぎ、薬の過剰摂取です。ご高齢の方ならともかく、子供のうちは自己免疫力をつけることが大事なはずです。昔は風邪は3日寝て治したものです。だけど今の子供はそもそも風邪を治せる基礎体力がないし、免疫の基礎力もないから治せないのです。

ここカナダは医療費が無料ですが、風邪ひいて病院に行ったという話は聞いたことがありません。国民は医療に頼らないよう自分で治す癖をつけています。だから逆に医療費が無料でも機能するのです。日本なら100%ワークしませんよね。

あるいは食べ物ひとつとっても賞味期限を厳守するのが現代のやり方。だけどモノによって違いますが、多少賞味期限を過ぎていても私は腹を壊すことはありません。ちなみに乞食はなぜ腹を壊さないのか、ということを考えて頂ければ想像はつくと思います。

では虚弱体質の現代の方々はどうしたらよいのでしょうか?まず自分がなぜ弱いのか、自己分析した上でもしももう少し強くなりたいという気持ちがあるならできることからやる、そして継続することでしょう。例えば通勤の時、隣の駅まで一駅歩く、とか歩き方も腕をしっかり振って背筋を伸ばしてさっそうと歩く癖をつけるなど。食べ物も外食を控え、自宅でもレトルト系を止め、ちゃんと鍋を振って料理を作る癖をつけることが大事だと思います。

つまり意識改革ですが、そこに至るまでが試練だと思います。頭でわかっていてもできないのですから周りが無理をさせるよりも気付きを与えて支えるような感じなのでしょう。まるでリハビリの患者さんみたいですが、健康を意識するとはそういうことではないでしょうか?

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年3月15日の記事より転載させていただきました。

アバター画像
会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。

コメント投稿をご希望の方は、投稿者登録フォームより登録ください。

コメント