ネット時代に合わせて公職選挙を変えよう③

山田 肇

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(前回:ネット時代に合わせて公職選挙を変えよう②

今回の衆議院選挙には「雪国では投票所にも出向けない」という批判が起きた。事前投票での二重投票で逮捕者が出た。海外に在住している日本人も選挙に参加できるが、「戦後最短の衆院選、海外在住に厳しく 郵便投票が間に合わない恐れ」(日本経済新聞)という記事も出た。

歩いて投票所に出向く、在外公館と投票用紙を郵便でやり取りする、そんなアナログ投票制度が機能しなかったのだ。

ネット投票なら問題は解決できる。有権者はスマートフォンを用いてマイナカードで本人確認する。そして、画面に表示される候補者あるいは政党のリストから投票先をクリックする。たったこれだけよい。

マイナカードで管理すると有権者の政治的意思が露わになる、という反対意見が出るだろう。しかし、必要なのは各候補への投票数だけだ。元データのセキュリティ管理を厳重にするのは重要だが、それと統計値の公表とは無関係である。

投票数の集計、つまり統計値の公表は一瞬で終わる。手書きされた候補者名が読めず無効票扱いになる事態は避けられる。開票のための自治体職員の超過勤務も不要になる。

ネット投票には、選挙期間中であれば投票先の変更が可能という仕組みも入れられる。最初に投票した候補者が他の候補者に誹謗中傷を重ねているとわかったら、投票先を変えられる。

誰も見ない選挙ポスター問題(連載第1回)も、選管に過剰な責任を押し付ける選挙公報問題(連載第2回)も、アナログ投票制度問題もデジタル化で解決できる。

デジタル反対派を納得させるために、在外投票で部分的に導入し、課題を解決してから全国的に導入といった手順を踏んでいくと、全面的な実施には10年以上かかるだろう。その間は二重投票といった現行制度の問題を見過ごし続けてもよいのだろうか。選挙ポスター問題や選挙公報問題を放置したままでよいのだろうか。

ネット時代の公職選挙の全体像をまず描いて、それを一気に導入する際に懸念される問題に手当てしていく。そんなトップダウン手法で進めないと、いつまでたってもデジタル選挙制度は進まない。

たとえば、スマートフォンが使えない人がいるという問題はどうしたら解決できるだろうか。公共施設に行けば、現行の選挙公報に掲載されている程度の情報は紙で、あるいは点字化して閲覧できるようにする。公共施設に行けば、マイナンバーでの本人確認は前提として、紙での投票もできる。これらが一気に導入する際の問題への手当てに相当する。

「奈良の総理は北国を知らない」と高石早苗総理大臣は批判された。高市総理大臣は批判にこたえて、ネット時代に合わせた公職選挙制度の抜本的な改革を速やかに進めてほしい。新党みらいも賛成するから成立の可能性は高い。

情報通信政策フォーラム(ICPF)では「ネット時代の国政選挙」について3月27日にセミナーを開催する。どうぞご参加ください。

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