自衛隊のホルムズ派遣要請:高市総理の模範解答はこれだ

「イランにホルムズ海峡封鎖などできる訳がない」とあちこち触れ回ってしまった筆者の心境は今、「穴があったら入りたい」である。ホルムズ海峡は目下、いくらトランプ氏が「Show some guts!(根性を見せろ!)」と力んでも誰もそっぽを向く、実質的に封鎖状態に陥ってしまったからだ。

筆者がそう考えたのは、ホルムズ海峡を封鎖すればイランは自国も封鎖してしまうことになり、糧を得るための原油輸出もできなくなるから、そんな馬鹿な真似はすまい、と思ったからだ。が、さすがこの筋金入りテロ支援国家は、数万の自国民を武装兵が水平撃ちするどころか9千万の国民さえ飢え死にさせるかも知れぬ、集団自爆テロすら辞さない心算のようだ。

とはいえイランも選別的に中国インドのタンカーは通しているらしい。が、通過を許されるとなると、テロ支援国家に支援されているハマスやヒズボラとなんら変らない。そんなことを総理には考えて欲しくない。日本は「武士は食わねど高楊枝」で良い。そもそも中国もインドも義侠心より実利を優先する国柄だ。

トランプ氏も13日、イランを思い留まらせるべく唯一の原油積み出し施設のあるペルシャ湾北部カーグ島の軍事施設を空爆した。海峡封鎖を本格化すれば島の原油関連施設を壊滅させると述べた。が、その一方で海兵隊2500人を乗せた強襲揚陸艦「トリポリ」を佐世保から派遣するとした。ベネズエラに倣って戦後の民主化を念頭に、無傷のまま占拠する作戦だろうか。

なぜカーグ島なのかは、Google Earthでペルシャ湾を見れば判然とする。島の周囲の海の青が濃いのだ。アラビア湾沿岸のバーレーンやカタールやUAEの海岸線の色も濃い。それに引き替えイランのペルシャ湾岸に濃い青は見当たらない。吃水が20mもある30万t級の大型タンカーは浅い港湾には接岸できないのである。

トランプ氏は14日、『NBC』のインタビューで「テヘランは交渉のテーブルに着くことに意欲的だと思うが、ワシントンはまだその準備ができていない。・・気まぐれで(just for fun)またカーグ島を爆撃するかも知れない」と嘯いた。終結に向けた交渉を開始しようとする中東同盟国の努力を拒否したとも報じられている。

トランプ氏が継戦に拘るのは、開戦後6日で110億ドルを注ぎ込むほどの大攻勢を掛け、イランの海軍も空軍もミサイル拠点も徹底的に壊滅させたとの自負があること。またハマスがイランに対し、湾岸諸国への攻撃停止を要請したとの報道もあり、遠からずイランが折れてくるはずとの、長年のDealで培った彼一流の読みがあるからだろう。

実際、イランの攻撃に晒されているのはイスラエルとサウジ・UAE・クエート・バーレーンなど米国に同盟する湾岸諸国であり、米国は、テロこそあれイランの直接攻撃を受けることはない。また同盟国を攻撃するイランのドローン「シャヘド」を迎撃するための、AIを使った米国製ドローン「メロプス」を1万機投入すると、ドリスコル米陸軍長官が13日に声明したこともあるかも知れぬ。

が、問題はやはりホルムズ海峡封鎖だ。『NYT』が「戦争で弱体化したイランは重要な水路で反撃に出た」との見出しで報じたところに拠れば、イランが12日から小型ボートを使って機雷の敷設を始めたという。米軍はイランの大型機雷敷設艦は破壊したものの、革命防衛隊はこれまで数百・数千もの小型ボートを使って大型船舶に嫌がらせをして来たとも書いてある。

これに反応した原油先物市場でバレル100ドルを突破したこともあってか、トランプ氏は15日、ホルムズ海峡の航行を維持するべく、複数の国に軍艦の派遣を要請していると述べた。名前は明かさなかったがトランプ氏は、「私はこれらの国々に対し、自国の領土を守るよう要求している」とし、米国は海峡を通る石油輸送への依存度がはるかに低いと主張した、と記事にはある。

その後、英仏や中東への依存度の高い日中韓などの名が挙がったようだが、今のところどこも他国の顔色を窺っていて、態度を明らかにしていない。が、19日に訪米する予定の高市総理には、確実にこの要請があるだろう。トランプ氏は「自国の領土を守るよう要求している」が、日本にも法律上の事情がある。

総理は国会答弁で「独自に法的な枠組みのなかで何ができるか検討を続けている」と述べた。20年にも防衛省設置法に基づき「調査・研究」目的でアラビア海周辺に護衛艦を出したし、湾岸戦争が終わった91年には自衛隊法を根拠に機雷の掃海艇をペルシャ湾に派遣したケースもある。

そこで筆者は、総理はトランプ大統領に次のように述べれば良いと思う。

我が国の国内法上、戦争中の地域に自衛隊を出すことはできません。ですが戦争中でなければ、湾岸戦争後に機雷除去のため自衛隊の掃海艇をペルシャ湾に派遣した事例があります。

いま米国はイランとの戦争を圧倒的に優勢に進めています。が、負けている側は、第二次大戦の日本を見れば判ることですが、「一撃を加えるまで」と言い続けて戦争を止める機会を何度も逸しました。戦争は始めるより終わる方が難しいと、敗戦国日本は身に染みて知りました。

が、圧勝している目下の米国なら、一方的に宣言して戦争を止めることができます。大統領閣下、是非直ぐに「戦争を止める」と宣言してはいかがでしょう。日本は間を置かず自衛隊を派遣します。

コメント投稿をご希望の方は、投稿者登録フォームより登録ください。

コメント