日本人の会議は「責任回避」が目的化している

黒坂岳央です。

「日本人の会議は生産性が低い」という意見がよくある。本当だろうか?

筆者は日本企業だけでなく、外国人比率が高い外資系企業でも働いた経験がある。また、海外企業から仕事をもらうこともあり、外国人とのZOOM打ち合わせもたまに入る。そうした経験から「日本人特有の会議」というものは存在する。

結論から言うと、筆者は日本の多くの職場で「生産性の低い会議」が常態化していると考えている。

お断りしておくと筆者は日本サゲが趣味ではない。もとい、日本人でありながら日本びいきを意識しているが、こと会議についてだけは明確にダメなポイントがあると感じる。

様々理由はあるだろうが、その最たるものが「責任をシェアするための儀式」になっていることだ。

Yagi-Studio/iStock

日本人がやりがちなダメ会議の典型

筆者の実際の体験談を話そう。先日、子どもの園のイベント日程を決める場に参加した。

全員参加できる日を探すところから始まり、何度も予定を調整してようやく集まったと思えば話し合いの場で「えーっと今日のテーマって何でしたっけ?」と一人ひとりがその場でゼロから考え始める。誰一人、事前に用意していない。

筆者の感覚からすると、会議は事前にアジェンダが共有され、各々意見や仮説を持ち寄り、1つのゴールに向けて結論を出すことが目的という考えがあるので正直、これには驚いた。

そしていざ、意見を求めると誰も言わない。「自信がない」「経験者じゃないのでよくわからない」と逃げる。言い出しっぺが損をする空気が充満しているから、誰も最初の一手を打たない「あーでもない、こーでもない」と話が行き来し、気づけば夜遅くまで何日もかけてようやく一つの結論を出す。

さらに悪いことに参加者全員の話を聞き、全員のコンセンサスを得るまで会議は終わらない。時には「あの人が30分遅れるので」と、その30分を待つ間が丸ごと雑談タイムになった。そして後からやってきた30分遅れの人は一切意見を出すことがなかったので、この待ち時間すべてが無駄になったのである。

だが恐ろしいことにこれは地方の園だけで起きているのではない。同じ光景を、筆者は東京で働いていた会社員時代にも何度も見てきた。

部署全員を集めた会議。全員が発言するまで終わらない進行。反対意見も賛成意見も全部拾って、最終的に誰も傷つけない「そこそこ」の結論が出来上がる。

様々な経験を経て悟った。日本人はポジションを取って議論をしたり、結論を出したくない。会議室でやりたいのは「責任のシェア」が本質なのだ。

全く異なる外資系での会議

昨今の何でもかんでも「日本は海外に見習え」という風潮が筆者は嫌いだ。過去記事でも繰り返し書いている通り、社会秩序や義務教育などはむしろ、海外が日本に学ぶべき点は多いと考えるポジションを取っている。

だが、会議についていえばこれは海外、もとい米国を見習うべきだと思っている。ここで筆者が外資系企業にいたときの話をする。

彼らの意思決定は速かった。まず、会議に参加できるのは役職持ちだけで下っ端が呼ばれることはほぼない。あくまで係長、課長レベルが「現場の状態を教えてくれ」と情報シェアを求める程度で、基本的には部長、本部長レベル以上だけですべてが決まる。

米国系企業ではトップダウンアプローチで、責任もそこに紐づいていた。部下は実行に集中する。無駄な全員会議は存在しない。「決める人」と「実行する人」が明確に分離されていたからだ。そして反対意見があっても良くも悪くもお構い無し。「これは決定事項、気に入らないなら他所へ行け」という感じだ。

好みは分かれるかもしれないが、筆者はこれがわかりやすいと感じる。少なくとも日本型の「誰も責任を取らないための話し合い」より遥かに有意義な時間に思える。

全員で決めても良い答えにならない

日本型会議の根底にある発想が「全員で決めればより良い答えになるはず」というものだろう。だがこれは完全に間違いだ。人数が増えれば情報が増えるわけではない。むしろ余計なノイズが増えるだけだ。

もっと根本的な問題がある。ポジションが違えば利益も相反する。

上層部はコストカットとイノベーションを求める。しかし現場は仕事が増えることを嫌う。同じテーブルに着かせれば、意見は真逆になる。どちらかが折れるか、どちらにとっても中途半端な案で妥協するかのどちらかだ。

極論を言えば社長と末端社員は真逆のインセンティブがある。末端社員は同じ時給、月給なら仕事は少ない方がいい。楽ができ、残業もないからだ。だが、社長はできるだけ忙しくするために売上をあげたい。平は売りたくないが、社長は売りたい。こうなると両者を入れる会議がうまくいくはずがないのだ。

物事の決定は、関わる人間が多くなるほど質が落ちる。 これは構造の問題であり、人の問題ではない。

朝令暮改を恐れる文化が、そもそも会議を重くしている。日本人の会議が重くなる理由は「一度決めたら振り返りもしないし、後から変更もしない」からだ。だが、変化が早い現代軟に変化に対応する必要がある。

「100%ではないが、現時点では70%取れるのでGO。後は動きながら微調整」、このつもりで会議をすれば重くなりすぎないと思っている。

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働き方・キャリア・AI時代の生き方を語る著者・解説者
著書4冊/英語系YouTuber登録者5万人。TBS『THE TIME』など各種メディアで、働き方・キャリア戦略・英語学習・AI時代の社会変化を分かりやすく解説。

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