トランプの「禁じ手破り」を高市首相は許すべきでない

トランプ大統領の暴走をみていると、米国と同盟を組むメリットは、米国に護ってもらえるのかどうか分からないが、米国から攻められることを避けられるだけになりつつあるように見える。

外交軍事の世界でも一般社会の人間関係でも、やむをえず実力行使をするときであっても、暗黙のルールというか禁じ手は使わないように我慢するものだ。それが復讐の連鎖を防ぐ防波堤になっている。

ところがトランプは外交軍事でも内政でもビジネスでも私生活でもすべてそういうものを無視する。当然、トランプは中間選挙が終わったら弾劾へ向かってまっしぐらになる可能性が強いし、個人や家族のレベルでもさまざまな勢力からあらゆる方法で復讐されるだろう。

それは自業自得だが、ポスト・トランプで世界とアメリカでルールを再建するのは容易ではない。しかし、それにどう取り組むか、今から考えるべきだ。

しかし、さしあたってはトランプ大統領の禁じ手破りが行きすぎないようにブレーキをかけることは、世界の誰にとっても好ましいことだ。

これまで戦争をしていても、相手の国の指導者を殺すとか、油田などを破壊するまでは、しないことが多かった。米国も太平洋戦争のときに昭和天皇を標的にして攻撃したわけではない。それをしたら和解の道が閉ざされるし、必ず異次元の仕返しがあると思ったからだ。

しかし、トランプ大統領とネタニヤフ首相はイランの指導者層の皆殺しを公言しているし、イランの油田・ガス田や発電所、積み出し施設を破壊している。それに対して、イランは湾岸諸国のエネルギーや淡水化施設の破壊で応じそうだ。

日米首脳会談2026年3月20日 トランプ大統領と高市首相 首相官邸HPより

湾岸諸国の存在はイランが制裁下で生きのびることを助けてきたから攻撃されないと楽観的な人たちは見てきたが、米国やイスラエルを攻撃してもこれを打ち負かすのは難しいが、近隣で防御も弱い湾岸諸国なら世界経済に甚大なダメージを与えることも可能だから、攻撃は予想されたことだ。

カタールはアメリカがイランの石油施設への攻撃をしたら、カタールにあるLNG施設が攻撃されるであろうということを何度もアメリカ政府に警告していたという(カタールエナジーはエクソンモービルやコノコフィリップスなど米企業と提携している)。

そして、イランのサウスパース・ガス田を攻撃したのに対して、イランはカタール北東部ラスラファンの世界最大級のLNG処理・輸出拠点を攻撃した。

カタールの立場は日本の立場に似ている。中国や北朝鮮をアメリカがイランに対したような攻撃をしたら、日本が米国の代わりに報復をされるだろう。

日本はトランプ大統領が、禁じ手なしの無法地帯に世界をしないように全力を挙げて説得するべきだし、安倍さんが首相ならそうしただろう。ところが、高市首相は、「世界に繁栄と平和をもたらすのはトランプ大統領だけだということを世界に伝え、応援したい」などと逆にアドレナリンを与えてしまった。あまりにも愚かな日本国家としての自殺行為だと思う。

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コメント

  1. 早川蒼真 より:

    「高市首相は愚かだ」という結論に至るまでの論理は、現実の制約と複雑さをあまりにも単純化しすぎているように思う。その現実を無視して「こう言うべきだった」と断ずるのは、国家運営の議論としては軽く感じます。

    【現在の日本を取り巻く環境】
     ・北朝鮮の核の既成事実化
     ・ホルムズ海峡封鎖によるエネルギー安全保障が直撃
     ・米国の内向き志向と保護主義の波

    (補足1:2025年11月の米国の国家安全保障戦略(NSS)からは「北朝鮮の非核化」という文言が消え去っている。核さえ持てば大国からの軍事攻撃を免れることができる・・・というのは言い過ぎなだろうか?)
    (補足2:ホルムズ海峡の事実上の封鎖により、日本の原油供給の大部分が遮断される深刻な状態に瀕している。戦略石油備蓄から8,000万バレルの放出を承認せざるを得ない状況に追い込まれた。日本が米国の軍事行動を公然と非難すれば、米国からの液化天然ガス(LNG)の代替供給についてのエネルギー協力に悪影響が出るリスクがある。自前の資源を持たない日本にとって、米国とのエネルギー供給網は超大事)

    その意味で、八幡氏の議論には大きな盲点がある。高市政権を「対米追従」の一語で片づけているが、実際には日本は対米関係だけで動いているわけではない。現実を見誤っている。

    (補足3:3月22日の日独防衛相会談では日独の二国間関係を単なる友好関係から「平時からの安全保障協力」へと質的に転換させるものであった。円滑化協定(RAA:Reciprocal Access Agreement)の推進とか。)

    トランプ・ネタニヤフ両氏が今次作戦をイランの脅威を軍事的に終わらせる「歴史的機会」と捉えている。日本が説得して方針が変わる可能性はない。「禁じ手を守れと言えば守ってくれる」という前提は楽観すぎだと思う。

    追伸

    「さまざまな勢力からあらゆる方法で復讐されるだろう。」
    「禁じ手破りが行きすぎないようにブレーキをかけることは、世界の誰にとっても好ましいことだ。」
    「禁じ手なしの無法地帯に世界をしないように全力を挙げて説得するべきだし」
    非常に強い断言が続く。
    プーチンはゼレンスキー暗殺に何回も失敗している・・・・
    禁じ手を守れと迫る対象が米国だけなのは偏っているのではないか。気になります。

  2. 高橋悦夫 より:

    つまらぬことを比較する。機能の異なる立憲君主の天皇と専制独裁国家のホメイニ師を同列に評価してはいけません。
    核で脅し自国民を6000から3万人も惨殺した独裁者ですよ。攻撃の対象が違います。専制独裁者が自らの命をかけて
    国民を守るとでも思っているのですか。日本は天皇主導でポツダム宣言を受け入れた。ホメイニ師は核放棄を決断で
    きず国民を悲劇のどん底に落とし滅亡の道を選択した。気質的に幾ら説いても専制独裁者には届かないものです。
    力で解決するしか方法の無いときもある。空爆は核完成までのギリギリの時間での選択に過ぎない。どの米国大統領
    でも実行を選択する可能性が強い。
    クリントン大統領(東條型気質)は北朝鮮寧辺核施設先制攻撃を準備しながら一歩の決断が出来なかった。核放棄と
    引き換えの核の平和利用を目指すKEDOを発足させたが北朝鮮に騙され核開発は継続されてしまった。一次トランプで
    も同じ轍を踏んだ。金正恩に宥和策で騙され核を保有されてしまった。日本・韓国も何も出来ずの情けなさ。
    キューバ危機でケネディ大統領(信長型戦略家)は核とも対峙し米国の存立危機を防いだ。イスラエルの存立危機の
    重度を図ることなく批判し宥和策で事を収めても状況は悪化するだけ。核をもたれ終わる。イラン核保有とホルムズ
    海峡封鎖は欧州日本でも存立の危機的状態です。高市首相の米国支援は欧州に先駆けた優れた戦略です。ドナルドが
    世界に平和をもたらすは最高の戦略判断です。今は理屈ではありません強力な軍事力を必要とする時代なのです。
    戦略的に欧州も結局は米国支援しか取り得ないしイランも核放棄しか道は無いのですから。
    イランへの空爆で先端科学技術兵器とオペレーションシステムの機能した強大な米国戦力を世界に見せつけた。
    逆にモジタバ師はホメイニ師に続き戦略を誤った。中東諸国への宣戦布告もなく無差別握撃。真珠湾攻撃を行ってし
    まいました。中東諸国を攻撃することで米国にイラン攻撃を止めさせるつもりなのでしょうが。米国は手を緩めませ
    んし中東諸国は激怒です。モジタバ師は山本五十六と同じ気質。行き先はミッドウェー先は見えています。
    イランは核放棄のポツダム宣言を受け入れるがこの紛争の解決のすべてです。モジタバ師の権謀術策型気質では状況
    を転換することはできません。こうした状況からも高市首相の先読み能力と具体策を生み出す能力は戦略家の中でも
    群を抜いています。
    米国の空爆に物申すなど戦略脳の薄い者の言う理屈。日米の同盟力を更に強固にが日本の最高の国家戦略です。
    プーチンの戦略目標がウクライナの併合であることは2,3年経過でやっと分かった。核心は開戦当初からプーチン
    の野望を見抜き徹底抗戦策がすでに正解だったのです。八幡氏の論を取り入れておれば今頃はクライナは消滅の道を
    歩んでいたことでしょう。東條型・プーチン型の人は自己の論が異なる結果を出していても自己論に固執し戦略の変
    更が出来ないのです。次のやり方でやればと・・・しかし又間違うの繰り返しで崩壊まで続くのです。
    公明党が自民党を離脱することも野田立憲(プーチン型)と組むことも戦略の誤りであるのにまだやり方を変えれば
    と必死になる。
    ウクライナ早期停戦などプーチンの気質から夢幻の提案だったのだ。自らの大失敗の見通し論の始末をつけてからが
    まともな論客のやることです。理屈を幾らこねても当初から停戦停戦を叫んだのでは橋下徹(東條型)が逃げろと叫
    んだ結末と質的に何ら変わりはない。
    トランプ気質はテオドアルーズベルトやレーガンと同じで棍棒外交が基本でノーベル賞も大好きだが二人と少し異な
    るのはトランプさんは家康型戦略家の気質も備えていることである。だから一直線の政策でありながら状況判断で行
    動をよく変更し環境を改善する。
    安倍元首相は家康型。父親の晋太郎さんはトランプ型そして祖父の岸信介さんは家康+トランプ型なのでトランプさ
    んとは気質ピッタリ。家康型とトランプ型の関係は夫婦型であり安倍さんにとり気質的にトランプさんは父であり祖
    父であり夫婦なのですから気が呼び合うのです。高市首相も家康型+信長型。会談でも緊張することもなくうちとけ
    て何でも話せる間柄なのです。親しい間柄を高市首相が媚びへつらうようにしか見えないのは八幡氏の気質がそう出
    来てしまっているからです。
    人間は自己の持つ気質で物事を判断してしまいます。ですから予測したことがそうならないときはやり方を変えれば
    と言うより戦略目標が誤っている場合が多いのです。それをやり方を変えればを繰り返し破綻への道を歩んでしまう
    のです。