
(前回:日本病の処方箋②:「組織票」が示す「権威主義社会・組織」の病理)
イラン…ホルムズ海峡が大変な事態になってきた。
外交の舞台裏を知らないが、トランプは「事前通告していない。真珠湾攻撃を思い出せ」と言い、高市さんも「世界中に繁栄と平和をもたらせるのはドナルドだけ」と言う。アメリカのイランへの攻撃について国際違反とは言えないのが、日本の政治の現状だ。
イランは、
- 前6世紀、キュロス2世がアケメネス朝ペルシアを建国。オリエント世界をほぼ統一した最初期の「世界帝国」
- 1514年にはオスマン・トルコとも戦って敗北したが、サファヴィー朝はオスマン帝国と争いながら領土を拡大、首都イスファファンは繁栄→イランの力が再興
- 19世紀にイギリスとロシアにより主権が大きく制約された
- 第二次大戦後、石油国有化と王制強化をすると、英米が支援したクーデタ、その後、上からの近代化・改革を開始され産業化と軍事化でアメリカの蜜月関係に
- イスラム革命で王制崩壊、2015年にイランと欧米など6か国が核合意(JCPOA)、2018年米国が核合意離脱と対イラン制裁再開、イラン経済は再び打撃、核合意で色々揉めるなか今回の攻撃
歴史的にみると欧米列強に抗してきた、アメリカの工作を受けてきたが、歴史を誇る大国イランなのだ。甘く見てはいけないし、侮ってはいけない。
今回の外交において日本側は自衛隊派遣をすることなかったという意味で成功裏に終わったが、大事なのは、日本はこれまでエネルギー安全保障を今まで何をしていたのか?ということなのだ。
アメリカについていけば大丈夫…リスクをどう考えていたのか?
イスラエルの一部右翼勢力に過剰配慮のネタニヤフ政権の行動をどう分析した?
ただただアメリカに追随?
などなどつっこみどころ満載である。
ちなみにイスラエルの政治を見てみると、
①「宗教シオニズム」3党:極右の「宗教シオニズム」(7)、「ユダヤの力」(6)、ノアム(1)の3党
② ユダヤ教超正統派を支持基盤とするシャス(11)、統一トーラー(7)
といった小さな政党が完全比例代表制(120名の議席)のため乱立し、影響力を持っていることが今回のネタニヤフ首相の行動の背景にあるとは思うが、どこも政治の背景にある勢力を見ないといけない。
話を戻して、最大の問題は、ホルムズ海峡を通る石油は92%もあること、オイルショック時の70%を超えていることなのだ。
中東への過剰依存で「落第」のエネルギー安全保障??

出典:電気事業連合会HP
「エネルギーの安定かつ安全な供給は、すべての国家にとって経済発展と豊かな国民生活の前提」と言われる。調達先の多角化、長期契約、備蓄を組み合わせ、経済合理性を追いながらも、供給途絶リスクにも考慮した政策をとってきたとはお世辞にも言えないだろう。
「世界の化石賞」を獲得することの評価はおいておいても、日本の発電量に占める石炭は36%。そして、化石エネルギー依存度80%近くになる。
この化石燃料への「高依存構造」を変えようともしなかったし、ここにきてリスクからクライシスへと変貌してしまうと、結局、中東に依存していたツケを払うことになることが予想される。20兆円の輸入額も国内からの資金流出という意味でも問題なのだ。
エネルギー業界の既得権益構造
日本病の問題はなにか。結局、状況が永続化すると思考してしまい(現状維持バイアス)、長期予測をしなかったことが「症状」と言えるだろう。
たまたまの「状況を永遠に続く」と過信して、理解できなかったこと。このままでいいや~と既得権益者たちが「温室」に安住していたのだ。

「日本病」
筆者作成
日本病としては「既得権益過剰配慮」、「戦後の社会モデルのまま」の2つ。この構造は、単なる企業の利益追求だけでなく、政・官・財が密接に結びついた日本の戦後復興と高度経済成長を支えたシステムそのものの1つと言える。日本のエネルギー業界は、相互に利益を補完し合う構造である。
- 電力会社(地域独占企業)
旧一般電気事業者(東電、関電など10社)が発電・送電・配電を一手に担い、各地域で独占的な地位を築いた。発送電の分離をしたとはいえ、大手電力会社の支配力は強固である。 - 行政・官僚(経済産業省/旧通産省)
エネルギー政策の策定権限を持ち、電力会社を保護・規制することで安定供給を優先。電力会社への天下り(天下り先としてのポスト確保)を通じて、行政と業界が事実上一体化。3.11後の経産省の再エネをめぐる混乱を受けて、現在では再エネに対しては後ろ向きに。 - 政治家(族議員)
電力業界からの多額の献金や、労働組合を通じた組織票を背景に、既存のエネルギー供給体制(特に原発や大規模火力)を維持する立法・政策を推進。
特に、2016年の電力小売全面自由化後も、実質的には変わりはない。発送電分離が行われたが、送電網を管理する会社は依然として旧電力大手の子会社。新規参入の再生可能エネルギー事業者が送電網に接続しようとすると、高額な負担金を要求されたり、空き容量がないとして拒否されたりする「接続の壁」があると指摘されている。
エネルギー依存度が高すぎた状態を「放置」…
- 太陽光発電を進める
- 原発を進める
どちらにしても、勇気をもって進めるべきだったし、どちらもせず、現状維持を続けてしまった。関係者なら、「先送り」が合理的な選択肢なのだが、政治行政はそれではダメなのだ。
現状維持は衰退の始まりという意識がないし、経営的には安定の巨大ビジネス、失敗しないことが求められる風土であるし、官僚的・巨大組織の一員としての行動特性もあり、真の意味でビジネスパーソンではないので仕方ないのかもしれない。
そして、政治家だ。こんなに中東への依存度を上げといて何を言うのだ。国民からした「責任者出てこーい」と言う話だ。
過去の各首相について見てみよう。一貫して「日本は中東原油への依存が高く、外交・安全保障と切り離せない」という認識が共有されていた。
しかし、田中角栄さんは、第一次オイルショック時に「エネルギーの大半を海外の石油に依存している」として、国民生活と産業への重大な影響を明確に述べている。また、米側とのやり取りでは「日本は石油を中東に依存している。その分、アメリカが肩代わりしてくれるのか」という趣旨の発言をしたと伝えられているそう。
中曽根さんやそれ以降の首相については、日本が石油の9割をアラブ諸国に依存していることを「前提に」した発言が続いている。イランイラク戦争が起きても、9.11があっても、イラク戦争があっても、この状況は変わらなかった。
そう、中東依存を前提にした日本外交の延長線上にあったのが自民党政治、日本外交なのだ。「政治責任」がこれだけ問われている時はないだろう。そして、「失われた30年」の経済失政と相変わらず構造は一緒である。
墓場で眠っている方、勲章をもらった方、歴史に名を遺したとされる評価を得た方…
政治家、官僚の幹部などエリートの皆様がかなり偉そうにご発言されているけど、結局「政治責任」は問われず、ツケは国民が支払っているのだ。
なぜその選択をしなかったのか、なぜこのままでいいと思ったのか。権力者はそうした説明責任を果たすべきだろう。メディアや国民もあまり追及しなかったので、意識を改めないといけない。








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