イランで大統領と革命防衛隊(IRGC)の間で権力争いか

海外のイランメディア「イラン・インターナショナル」が29日、独占記事として報じたところによると、イランのマスード・ペゼシュキアン大統領とイスラム革命防衛隊(IRGC)のアフマド・ヴァヒディ(Ahmad Vahidi)司令官の間で、戦争への対応と、それが国民生活や経済に及ぼす影響を巡り、深刻な意見の相違が生じているという。匿名を条件に「イラン・インターナショナル」の取材に応じた関係筋によると、ペゼシュキアン大統領は、緊張の高まりと近隣諸国への攻撃継続に関して、革命防衛隊の対応を批判し、事態の経済的影響について警告した。関係筋によると、ペゼシュキアン大統領は「停戦がなければ、イラン経済は3週間から1ヶ月以内に完全に崩壊する可能性がある」と強調したという。

今年3月からIRGC司令官に就任したアフマド・ヴァヒディ氏、Wikipediaより

ちなみに、ペゼシュキアン大統領は7日、国営放送でビデオ声明を通じて、湾岸諸国ら隣国へのイラン側の攻撃を謝罪し、「我々は隣国を侵略するつもりはない」と語り、「攻撃を受けた隣国に謝罪する必要があると考えている」と説明、イラン軍には今後攻撃しないように求めたことがある。

ぺゼシュキアン大統領の謝罪表明は当時、隣国を含む多くの国々で驚きをもって受け取られた。謝罪することで、テヘランは戦争をより広範な地域対立にエスカレートさせる考えがないことを内外に示した、と受け取られた。一方、IRGCからは大統領の謝罪表明に対し「米・イスラエル軍との戦闘中、謝罪を表明するのは敗北宣言に等しい」と批判的だった。実際、大統領の謝罪メッセージ後もIRGCによる周辺国への攻撃は続いたことから、ぺゼシュキアン大統領の指令がイラン国軍やIRGC全体に浸透していないか、拒絶されているのではないか、といった憶測を生み出していた。

イラン・インターナショナルの情報筋によると、ペゼシュキアン大統領は行政権限と管理権限を政権に返還するよう求めたが、ヴァヒディ司令官はこれを断固として拒否し、ペゼシュキアン氏の批判に対し、「紛争が始まる前に政府が構造改革を実施しなかったことが現状の原因だ」と反論したという。

ここ数日、イスラエルメディアもイランの統治体制内部の分裂の兆候を報じている。タイムズ・オブ・イスラエルは、イスラエル高官の発言を引用し、「イラン政権に亀裂が生じている兆候が見られる。我々は政権打倒のための条件を整えているが、最終的にはすべてはイラン国民にかかっている」と報じた。イスラエルのメディアYnet(ワイネット)も今月初め、同様の内部分裂を報じている。

中東専門家は、アリ・ハメネイ師の死後、イランで最高の権限を有しているのはIRGCと見ている。ハメネイ師時代から巨大な権限、経済力を有し、イランを掌握してきた組織だ。IRGCは継承問題に深く関与し、憲法上の配慮や聖職者の一部からの抵抗にもかかわらず、次期最高指導者にハメネイ師の次男、モジタバ・ハメネイ師(56)を選出させたばかりだ。

イラン・インターナショナルによると、「イラン戦争は5週目に突入するにつれ、その経済的影響はますます顕著になってきている。主要都市からの報告によると、多くのATMは現金不足、故障、または物理的にアクセス不能な状態にあり、バンク・メッリを含む複数の主要銀行のオンラインバンキングサービスも断続的に中断されている。政府職員は、過去3か月間、多くの職員の給与と手当が定期的に支払われていないと述べていた」という。


編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2026年3月30日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。

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