日本のビジネスとカナダのビジネスの差

先般、年中行事となっている高校のクラス会があり14名ほどが参加しました。毎年来ているメンバーは「竹馬の友」状態である一方、久しぶりに来る人はお互いに名を名乗り、「48年ぶりか」と感慨ひとしおとなります。LINEグループという強力な助っ人もあるので参加できない人とも情報が共有されており、会場から状況の写真をバンバンアップして、参加していない人もリモートで実況中継的に楽しめるという感じです。

そんな中、この歳になって強烈な刺激を受けるのは皆さんが非常にたくましく生きていることです。リタイア、ないしセミリタアされている方が主流ですが、彼ら彼女らは第二の人生を新しい習い事であったり、コミュニティに参加したりとそれそれが自覚をもって刺激的な生活をしています。

事業者も私を含め、何人もいるのですが、基本的に仕事をしている人からはリタイアを考えるどころか、「これからこんな事業をしようと思うんだ」と新規のプランを囁かれるのです。そしてその規模の大きさに圧倒されるのであります。「私もおまえのとこと取引をしたいな」と冗談半分で聞いたら「数量はどれぐらい?」と聞かれたので「〇個ぐらいかな?」と言ったら「ゼロが2個足りない、そりゃ無理だわ」と相手にならないという顔をされました。

クラスメートに限らず、日本の方と仕事の話をすると「へぇ、カナダですか?どんな感じですか?」と一応の興味は持たれるのですが、話を聞くうちに明らかに興味は薄れていくのが分かります。何故か、といえば世界で2番目の国土を擁するのにアメリカの1/10程度の人口と経済規模しかないのです。また消費に対する思想は日本やアメリカの消費型国家と違い、「ケチの権化」と言われるのがカナダであります。カナダ人がケチになった理由はモノを大切にして古いものでも再生してしまう英国人の気質を引き継いでいることと不動産取得への執着は大きいと思います。よって住宅ローン残高が大きすぎて消費にお金を回せないという論評はよく目にします。

よって私がやっているビジネスでも規模感が出ないのです。消費量や消費額が少なければ単価もさほど下がらず、カナダの地形的に大都市間の物流コストが高く、消費者を狂喜乱舞させるような新製品も出てきません。それこそ、行きつけの大型スーパーマーケットに行けば10年前からある商品が今でも同じ陳列棚に鎮座し、人々は何の疑いもなく、それを手にしていきます。

私が日本にくればそれこそ100均ですら「へぇ、こんなものが売り出されている」という感動すらします。

今日までカナダでのビジネスに関して一般的な問い合わせに対してはできる限り懇切丁寧に説明してきましたが、それらが成就することはほぼありません。日本の企業がカナダに進出してくることも資源産業など特殊な業界や領域を除き、ほとんどありません。

先般、私の友人が「今度カナダにも食品を卸すことになった」と言うのでへぇ、どういうルートでと聞けば「台湾系の食品商社を通じて出す」と。

これがポイントで、日本企業が日本の感覚でカナダでモノを売って事業に花を咲かせるにはあまりにも成功チャンスが少なく、カナダの消費市場で幅を利かせる中華系のルートに乗せるしか商売の展開方法がないというのが実に残念なのであります。事実、我々が日本の食材を買うなら中華系か韓国系のマーケットで入手するのが一番手っ取り早く、種類も豊富で商品の回転率があるのが見て取れます。日系の会社が独自に仕入れて商売をしているところもいくつかありますが、買いたいと思わない規模であります。

そう言えば政府レベルでも日本とカナダが強力に結びついているというイメージはありません。それこそカナダの原油すら買ってもらえないレベルでカナダもずいぶんコケにされてしまったな、と思うと同時に「日本にくればお恥ずかしい規模で申し訳ない」という感じで私は小さくなっているのであります。

高市首相とカナダのマーク・カーニー首相 2026年3月6日 首相官邸HPより

そういう意味では私も日本にも会社を持ち、こうやって日本のビジネスの方々と接点を持ち続けられることで井の中の蛙にならないよう自分で自分を戒め続けない限り私のビジネス感覚も錆ついてしまうとも言えるのでしょう。現地の日本人は2-3年に一度しか帰国しないという人が普通です。それ故に現地の消費体質や感性になりきっているので私たちがどうやって日本の感性を取り戻せられるか啓蒙するべきなのでしょうね。ビジネスって本当に難しいものです。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年4月12日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。

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