しかし、現代の成功を支えているのはヒュームの経験主義、すなわち「理屈は抜きにして、膨大なデータから確率的に次の展開を予想する」というボトムアップのアプローチである。
ヒュームの問題:「帰納」は不可能である
近代哲学の歴史において、ヒュームはもっとも破壊的な哲学者であった。彼は、我々が「科学的法則」や「因果関係」と呼んでいるものの根拠を徹底的に疑った。その核心がヒュームの問題である。
ヒュームはこう問いかけた。「太陽が明日も昇るという証拠がどこにあるのか」と。
太陽が明日も昇らないであろうということは、太陽が昇るであろうという断定に比べて理解しにくい命題ではないし、またより多くの矛盾を含蓄しているわけでもない。それゆえ、われわれがこの命題の虚偽を論証しようと試みても当然無駄であろう。(『人間本性論』)
これまでの人生で毎日太陽が昇ったからといって、明日も昇るという論理的な保証はどこにもない。100万回繰り返された経験であっても、100万1回目にそれが破られる可能性を否定できないのだ。
つまり、経験的な観察から普遍的な法則を「帰納」することは論理的に不可能であるというのがヒュームの結論だった。これは近代科学の根底を揺るがす大問題である。
ニュートン力学のような厳密な法則でさえ、ヒュームに言わせれば「これまでずっとそうだった」という単なる経験則に過ぎず、絶対的な真理ではありえないからだ。
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