イラン戦争が終わるか、と聞かれれば希望的観測も含め、「きっと落ち着くさ」と考えていますが、原油の流通が直ちに回復するか、と言われればNOと言わざるを得ないと思います。
仮に今、すべてのタンカーがホルムズ海峡を通過して目的地に向かうとします。目的地次第ですが、日本なら3週間かかります。そしてそこで原油を精製し、最終目的地への配送までが2週間、合計5週間かかります。つまり今日、開放されても5月末にならないと消費者の手元に来ません。
しかし、問題はそこにあるのではありません。第一便が日本なり世界各地に届いても第2便以降の手配がないのです。空っぽのタンカーをインド洋上で待たせるわけにもいかないでしょうから戦争が落ち着くのを待つしかありません。もちろん、第一便が無事にホルムズ海峡を通過した時点で空のタンカーを続々と産油国に仕向けたとしてもタンカーが着岸し、原油を積み込むのは順番待ちになります。
これが意味するのは当面は原油供給の安定化は期待できないということであります。
当然ながら原油絡みの商品の値上げラッシュないし、製品製造の一時中止が視野に入ります。既にTOTOやINAXがベトナム生産のバスタブの出荷停止をしていますが、このような事態は今後、続々起こるとみています。ということは需要に対して供給量が限られ、商品を手にするのに全く時間的予想がつかない事態になるわけです。これが怖いのはたった一つの製品がないために全体が完成せず、引き渡しができないといったケースで、例えばバスタブならば住宅会社に影響が出るでしょう。
数年前、トイレ関連備品がない、という騒ぎがありました。これもベトナム由来だったのですが、あれも住宅会社は非常に苦労し、価格も言い値の状態でありました。
では表題の飛行機。もしかすると航空機の運航が一番先に影響を受けるかもしれない事態になっています。既に欧州では減便の嵐。カナダでもトロントとモントリオールからニューヨークへのフライトをキャンセルしています。私が予約している5月初めのバンクーバーからニューヨーク便も飛ぶのかよくわかりません。アメリカ大手航空会社も続々と減便で全体の3.5-5%程度の減便が既に発表されています。ちなみに欧州のジェット燃料の在庫は6週間とされ、今後、欧州航空各社は燃料効率の悪い航空機の運用を止めると思われます。そのとばっちりは地方路線を飛ばす小型機になるのではないかとみています。

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当然航空料金も跳ね上がり、サーチャージを導入している会社はそれが上乗せされるため、とんでもない航空料金で夏のバカンスが厳しい状態になることが予想されます。人が動かないとなれば一部のホテルの稼働率は下がってしまいます。今年の夏までに原油供給が正常化すればよいのですが、アメリカとイランの交渉が一筋縄に行くとも思えず、引き続き「快晴のち土砂降り」の天気になるのでしょう。
日本は備蓄があるからよい、という意見もありますが、グローバル化は進んでおり、日本での地産地消の製品など限られているのです。ということは日本の場合、備蓄により基本的生活は維持できるかもしれませんが、経済の維持は別次元なのです。ここの議論が抜けていないでしょうか?
飛行機も飛ばせない、製品材料もゲットできないとなればアジアの物価と景気への影響はこれから本格的に始まる可能性も視野に置く必要があると思います。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年4月20日の記事より転載させていただきました。







コメント
ベトナムからは、以前、我が国の備蓄する原油の提供依頼が来ていました。ベトナムの工業製品が日本経済に重要であるなら、日本の備蓄原油をベトナムに供給することは、日本経済のためにも大いに意味があります。この事情は、タイやマレーシアなどでも同様なのではないかと思います。
我が国の原油備蓄は8か月分ほどありましたから、7月ごろまでに正常化するならば3か月分の予備があるはず。つまりこの場合備蓄原油の1/3強は、アジア諸国に向ける余地があるということですね。
一つのうまいやり方は、この先、中東に向かうタンカーに、日本の備蓄原油を積み込んで出航し、ベトナムなどにこれを提供してから中東に向かうという手もありそうです。中東からの原油輸出が正常化する以前でもこうしていれば、荷を下ろした時点で中東に向かうか日本に向かうかを判断することで、中東に向かうタンカーの時間を節約することができます。
もちろん、イラン紛争が長期化したら、この話は成り立ちません。正常化時期を読み誤らないことが何より肝心です。一方、我が国が自国の原油が不足するリスクを冒してアジア諸国に原油を供給することは、これら諸国の経済危機を救い人々の窮乏を回避することにもなりますから、日本に対するイメージは大いに向上するはずです(まあ、韓国に関してはどうだかわかりませんが)。
日本政府には、各国政府との対話を密に保ち、先行きを見誤らないようにすべきことはもちろんですが、他国を助け、同時に日本経済も利する国際協力は、大いに検討すべきではないでしょうか。情けは人の為ならず、です。