このトピ、非常に難しくて言葉を選ばなくてはいけないと思っています。ただ、ここにきて高市首相の政権運営スタイルについていろいろな声、時としてやや批判的なトーンも見受けられます。私は就任当初「首相を4年ぐらいやるんじゃないか」と期待を込めて申し上げました。さて本当に4年続けられるかはどうやらご本人次第、側近やご意見番次第ということになるかもしれません。

高市首相 首相官邸HPより
思い出すのは小泉純一郎政権。女性、特に主婦層からの圧倒的人気が政権を支える一方、党内からはやりにくさの声が上がり、それが最終的に小泉氏の人気凋落の引き金となりました。
小泉政権を振り返ってみましょう。人気の理由は強いリーダーシップでした。その中で簡単なフレーズ、特に「自民党をぶっ壊す」としたり劇場型の政権運営で郵政解散も鮮烈な記憶でした。つまりわかりやすさが世論とのコミュニケーションをより増幅させたということでしょう。
もう1つは田中真紀子氏の外相への起用でした。田中氏は角栄氏の娘であり、そのしゃべりっぷりが父そっくりであり、政権での重用は世論に迎合したとも言えるほど上手な采配であったわけです。更に日朝会談をしたことも小泉氏の大きなポイントだったと思います。
ではこの小泉人気と高市人気を比べてみましょう。
まず世論からの圧倒的人気は共通します。ただ、その支持層が違います。高市氏の場合は保守層からの支持、及び初の女性宰相としての期待感が広く国民に支持されたと思います。リーダーシップについては高市氏が実務的な面までしっかり勉強しているために閣僚の出番がない、というより閣僚に対して指示がポンポン出るBOSS型の支配体系を取っています。もちろん、首相ですから閣僚に指示を出すのは当たり前ですが、歴代の総理の中ではその傾向が強いほうかもしれません。もしかすると「俺は大臣なのに指示されるのか」とぼやいている閣僚もいらっしゃるのかもしれません。
小泉氏が田中氏を起用したように高市氏は片山さつき氏を登用しました。これは大きかったと思います。特に財務省という省庁の中で予算を司る権化ともいえる権益の塊のような部門のトップに送り込んだわけで国民目線からすればやんやの喝采だったとも言えるのでしょう。外交についていえば小泉氏の日朝関係に対して高市氏はトランプ氏の懐に入り込むという豪快さを見せました。
どうでしょう?こうやって小泉氏と高市氏を並べるとパタンとして割と類似している面もあります。
では昨今問題になっている自民党内部からの不満についてみてみましょう。
小泉氏の政権運営の最も陰の部分は党内からの爆発寸前の不満でした。これは派閥人事を無視し、一本釣りを行い、過去の慣習を無視したことにあります。高市氏の場合は全部自分でやってしまうために大臣を含めた政権の中枢の無力化を行っているとも言えるかもしれません。一種のカリスマ的運営という方法で、権力者が権力に基づき、取り巻きに判断させず、自分でモノを決め続け、そのうち途中で人事入れ替えをするうちにいつの間にか絶対王様になる、というパタンです。
小泉氏のもう一つの問題は外部の一学者であった竹中平蔵氏を招へいしたことがありました。これが党内で異様な不満となり、世論と党内が真逆の状態になったわけです。しかし、小泉氏の強さとは「カエルの面にションベン」と言ってしまっては申し訳ないのですが、それぐらい自分のやるべき方向から一つもぶれなかった点にあります。どれだけ嫌われても自分しかできないことを日本のためにやる、そして党内力学や妥協を許さない姿勢が国民から見れば勧善懲悪的な別の意味の劇場型政権運営であったわけです。
高市氏はここにきてテンポが悪くなってきているように見えます。私の想像ですが、昨年10月からのスタートダッシュから衆議院選までトップスピードで外形的な体制づくりに翻弄され、いよいよ政策の本丸に着手するところになって首相周辺で火種ができ、それを吹き飛ばすのに苦労しているようです。
高市氏の手腕は外交よりもまずは内政で見せなくてはいけないのですが、食品消費税の行方についても一筋縄ではいかない感じに見えます。イラン戦争の要因もありますが、インフレ懸念が氏の経済再生プランに影を落としているところもあります。スパイ防止などの経済安全保障強化もまだまだでしょう。
こう見ると高市氏の政権運営スタイルだけでは4年持たせるのは正直、希望的観測になってしまいます。本人は強い責任感を持っているのでぶっ倒れるまでやってしまう気もします。しかし、それは不健全というものです。今の政権内部に高市氏を皆で持ち上げる雰囲気がどこまであるのか疑問で、かといって国民世論を相手に敵対する様子もないのです。小泉氏の勧善懲悪劇場型のスタイルとはそのあたりは違っており、皆が様子見になっている、そんな受動的な政権ではないかと思います。
もしもそうならよくない方向でしょう。
では高市氏は変われるか、といえばそれもなさそうです。傍で見ているとかなり頑固で柔軟性には欠ける性格です。私が見る首相のエネルギー維持装置は片山さつき氏が握っているとみています。よって片山氏がどこまで首相と歩調を合わせられるか、もしもその歩調に双方が違和感が生じたなら高市氏の政権運営は黄色信号になるとみています。
いずれにせよ、私は氏の手腕の期待に対して現時点では大きな成果はまだあまり出ていないと思います。これから半年程度でどの程度達成できるかが大きな試金石になるのでしょう。個人的には一人で抱え込むのはどうかと思うのと物事には多面的見地から初めに答えありきではなく、柔軟に検証する姿勢が必要ではないでしょうか?各種世論調査が政権期待に対して横ばいか下落気味になっている点も当初の盛り上がりからより冷静になりつつあるとことを物語っているとみています。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年4月21日の記事より転載させていただきました。







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