2016年9月17日の記事の再掲です。
ここ2週間ほどアゴラで「二重国籍」が大変な話題になっていますが、よい子のみなさんには何のことかわからないと思います。BBCの大井真理子記者は「人種の階層」とかいうくだらない記事を書いていますが、これはそんな話ではありません。蓮舫さんがイギリス人でもアメリカ人でも、嘘をついてはいけないというよい子のみなさんにもわかる話です。
上のマンガに書かれているように、蓮舫さんが「台湾との二重国籍」だとわかったら、そういう違法状態の人に投票する人は110万人もいなかったでしょう。まして2014年まで公式ホームページに「台湾国籍から帰化」と書いていたのを今度の選挙の前に削除して「私は日本人です」と経歴をいつわったのは選挙違反の疑いがあります。
蓮舫さんは台湾人の2世です。生まれたときはお父さんの台湾国籍だったので、20代でタレントになって「私は華僑の代表です」といって売り出しました。そのうちニュースキャスターもやるようになりましたが、1993年の朝日新聞には「在日の中国国籍の者としてアジアからの視点にこだわりたい」と話し、二重国籍の国際派を売り物にしていました。
ところが最初の参議院選挙に出た2004年の選挙公報には「1985年に台湾国籍から帰化」と書いてありました。これは「1993年に中国国籍(台湾籍)」という話と矛盾します。「帰化」というのは台湾国籍を抜いて日本国籍になることだからです。これについて蓮舫さんは「朝日新聞の書きまちがいだ」といっていますが、本当でしょうか。
選挙で当選してから、蓮舫さんは「台湾から帰化」ともいわなくなりました。参議院の東京選挙区という大きな選挙区で勝ち抜くためには、「生まれたときから日本人」というほうが有利と判断したのでしょう。2010年の選挙公報から国籍の記述がなくなり、「私は日本人」と強調するようになりました。
彼女が日本人であることは事実ですが、それは台湾人ではないことを意味しません。まして台湾のパスポートを更新していたとすれば、自分の台湾国籍を確認していたのに、「台湾籍から帰化」とか「生まれたときから日本人」というのは、有権者をだますものです。
国会議員が経歴について嘘をつくことは、公職選挙法違反です。過去には「明治大学中退」と嘘を書いただけで検察に起訴され、有罪になって議員資格を失った国会議員がいました。その後は、学歴詐称の議員を民主党は除名して議員辞職しました。
蓮舫さんがこういう選挙違反にあたるかどうかは検察が捜査しないと何ともいえませんが、政治責任は明らかです。台湾国籍をもっていながら選挙で「日本に帰化した」とか「私は日本人だ」と嘘をついて3回も当選してきたのは、学歴よりはるかに重大な嘘です。国会で2004年の選挙公報の嘘を追及されたら、「それは時効です」とはいえないでしょう。
こんなことはよい子のみなさんでもわかるのに、民進党の幹部のみなさんがわからないのは不思議です。彼女が代表選挙で身を引いていれば、自民党も検察も大目に見たかもしれませんが、ここまで強行突破すると、党内でも味方がいなくなりました。野田幹事長以外の党内人事もできない。
これは彼女が台湾出身のハーフだということと関係ありません。嘘をついて当選したら議員資格を失うという当たり前のことです。普通の会社でも、高卒の人が「東大卒」と履歴書に書いて入社して、あとから嘘とわかったらクビになります。まして国民の代表である国会議員が自分の所属する国について嘘をつき、「首相をめざす」というのはとんでもないことです。
たとえば尖閣諸島をめぐって日本と台湾の国境紛争が起こったら、彼女はどっちの立場に立つのでしょうか。「台湾籍を放棄した」と彼女はいっていますが、台湾政府は彼女の国籍喪失を認めていません。この状態で総選挙に突入すると、代表選挙の延期を求めた20人の国会議員が離党して民進党は分裂し、消えてなくなるでしょう。蓮舫さんはそういう意味で、歴史に残ると思います。
追記:今年の参院選の少し前の2016年3月14日の魚拓では、「台湾籍から帰化」が削除されています。ここで彼女も国籍の問題に気づいたと思われますが、このとき台湾国籍を離脱すべきでした。それを放置してきたのは、国籍離脱の努力義務を怠った国籍法違反です。