「大吉」や「おたからや」はどうやって儲けているのか?

内藤 忍

日本経済新聞を配達してもらって購読している理由の1つが折り込みチラシです。どの業界のどんなチラシが入ってるのかをチェックすることで、世の中の動きを知る1つの情報源になります。

最近目立つのが貴金属や中古ブランド品の買取を行う会社のチラシです。今朝も3枚のチラシが入っておりそのうちの2つは同じ会社の違う支店のものでした(写真)。

頻繁にチラシが入っているところを見ると、この手の買取サービスを利用する人は増えてビジネスとして成り立っているようです。

素朴な疑問として、この手の業者はどのようにして利益を上げているのでしょうか?

買取業者の利益は買取価格と販売価格の差から生まれます。ブランド品の場合20%から30%程度の「スプレッド(価格差)」が存在しています。例えば、100万円で転売できるロレックスなら75万円から80万円で買い取るようなイメージです。

20%の利幅があったとしてもそこから店舗の賃料、人件費、そしてチラシやCMなどの広告宣伝費が引かれます。

さらに買取であれば在庫リスクや価格の変動リスクも存在します。ブランド品は人気によって価格が大きく変動しますから、リスクは小さくありません。

買取価格の競争が激しく、売り手が業者の買取価格を比較検討するような商品は収益にはあまり貢献しないように見えます。

不用品買取業者の利幅が大きいのは、不良品をまとめて引き取ることができる「出張買取」ではないでしょうか。

出張買取の場合売り手は不用品も含めてすべての商品を一気にまとめて片付けたいと思っています。面倒くさいことを任せてお願いしたい訳です。

買取商品の中に壊れた電化製品があれば無料で引き取ってスクラップ業者に金属資源として売却することができます。古い家具やノーブランドの食器や生活雑貨も日本では価値ゼロでも東南アジアでは商品として売れるようです。さらに骨董品やアンティークは求めて安く買取って掘り出し物が含まれていれば思わぬ利益につながります。

出張買取であれば、このような利幅の大きな商品をまとめて買い取ることができスケールメリットも出てきます。

逆の立場から見れば、まとめて引き取ってもらうのは手間がかからなくて便利ですが、その分安値で売却してしまっていると言うことです。

それぞれの不用品を丁寧に買取業者に申し込めば手間はかかりますが、より高く買ってもらえる可能性が高まります。

不用品買取ビジネスとは売り手の「面倒くさい」から利益を得るビジネスと見ることもできるのです

そう考えるとチラシに写真が掲載されている単品の宝飾品やブランド品の買取は「客寄せ」のためのフックで、それをきっかけに出張買取まで持ち込むところにビジネスのキモがあるような気がしてきました。

この手のビジネスの裏側を知る人にリアルな現実を聞いてみたいところです。

買取大吉公式サイトより


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2026年4月23日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。

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