終わるのか終わらないのかわからないイランの戦争。最近はあいさつ代わりに「終わるんでしょうかね?」。最新のニュースはイラン側が交渉の意図を見せ始めたこと。イランは政権側と革命防衛隊側で深刻な考え方の相違があったと思われ、政権側の顔役であるアラグチ外相がどれだけの権限を持って再交渉に臨むか次第でしょう。一方のアメリカは厭世感すら漂い始め、「トランプ氏よ、いい加減にせよ」というボイスに明らかに追い込まれています。習近平氏との会談日も近づく中、目途としては今月中に終戦合意できるか、これに中国がどう裏で加担するか、熾烈な外交ゲームが展開されるとみています。
では今週のつぶやきをお送りいたします。
半導体関連株祭り
私はアーム社の株を上場した翌日に買い始め、それ以降、4回ぐらい下がった時に買い増してきました。今は4.5倍ぐらいになりましたが、個人的にはこれぞテンバガーの潜在的銘柄だと思っていますので放置です。当然ながらこれで爆笑なのが孫正義氏でソフトバンクGの株価も上昇街道をひた走っています。一方で人気銘柄に偏りがあるのでそれ以外の銘柄はほとんど閑古鳥といういびつなマーケットが形成されています。市場を見ている感覚ではテック系の一人勝ちという気がします。
個人的にはこの偏りある市場はイラン戦争によるネガティブな部分を避ける形に見えるのです。つまり、終戦さえすれば市場の広がりができ、例えば原油価格上昇で手掛けにくくなっている化学メーカーや小売系も今はその時を静かに待つ、という状況です。一方で4月28-29日に予定されているパウエル議長として最後になるであろうFOMCの予想は大したニュースにもなっていないのは今は金融政策を変更する時期にはないというメッセージなのでしょう。ほぼ同時期に行われる日銀も政策変更なしの見込みですが、FRBおよび日銀がどれぐらい「利上げバイアス」を強調するか、これが注目されます。個人的には日銀は利上げしたくてしょうがないモード。FRBはウォーシュ氏がトランプ氏をどれだけ裏切れるか次第ですが、しばらくは利上げも利下げもしない中庸な政策でこなれるのを待つとみています。
戦争が終わったのちのインフレリスクは相当ありますが、アメリカの中間選挙におけるねじれ議会の発生予想からトランプ氏への圧力強化される点まで考慮するとしばし動きが取れない政治を予想しています。日本も高市氏の総合的な手腕が見えるのが秋だと思いますが、今の政権支持の世論が続くとは思えず、こちらも圧倒的に有利な与党が苦戦する政策運営を想定しています。そうなると割と株価的には追い風になりやすいものでゴールドマンサックスも年末に向けS&Pで現在の水準から10%程度の上方修正を見込んでいます。ありかもしれませんね。
ミトスは救世主か、悪魔か?
ミトス(Mythos、英語の発音はミィソォスが近い)。何それ、という方もまだ多いかもしれません。アメリカのアンソロピック社が開発しているAIのうち、サイバーセキュリティに特化したモデルで同社の現時点で最高水準モデルとなるのですが、作ってから気が付いたのが「諸刃の剣」。つまり企業側がシステムの脆弱性を見つけるのに役立つはずですが、実は悪用する側からすれば企業の脆弱性を見つけてそこを突破する答えをくれるのであります。

アンソロピックCEOダリオ・アモデイ氏 世界経済フォーラムHPより
特に敏感に反応したのが金融業界。つい先だってビットコインの秘密鍵を解読できるか、という話題がありましたが、そんな話どころではなく、既に一部の企業や組織に暫定的に配られたこのお化けAIに金融業界はおののいているのです。もちろん、日本でも片山大臣が銀行に聞き取り調査を始めるとしていますが、実は日本はこの暫定に配られたAIを入手出来ていないのであります。これをチームみらいの安野貴博氏が指摘、「初動が遅い」と猛批判をしています。現代の技術革新が指数関数的に変化しているのに対していまだにSWIFTを使った海外送金体制は責められやすいのであります。
ミトスの配布は現時点では多分50社/組織程度に留まっているようで海外に出たので判明しているのは英国のセキュリティインスティチュート(AISI)ぐらいではないかと思います。ただ、ポイントはミトスに限らずほかのAI開発会社も早かれ遅かれ同様のゴールには到達するわけでその際に既存の制度設計が崩壊してしまうリスクにさらされ、関係各所が相当ナーバスになるのでしょう。個人的には現在のAIフィーバーは人間のキャパと社会の枠組みを超えつつあり、人間社会との共存をもっと考え、工夫し、制御しないことには数年のうちに大変な混乱が起きないとも限らないでしょう。
オールドメディアとニューメディア
この呼称、私は差別的だと思うのです。オールドとニューでは感性的にニューの方が改善されていて現代的でよさげに聞こえます。実際にはそうではなく、マスメディアと個人発信、SNSの違いであり、今後も両者は共にあり続けるはずです。読者や視聴者はむしろどの情報が正しいのか、それを取捨選択する必要があり、読み込む力が必要なのです。例えば先般の京都南丹市の事件。いろいろデマが出回ったそうですが、私はそのニュースを3歩離れて見てきたのでデマの話は知りません。むしろ、マスメディアの事実の部分だけを拾い上げて自分で考えればよいのです。例えば「なんで母親のことは一切報道されないのだろう」とか。
前にもこの話はしたと思うのですが、私が日経の使い勝手が良いと思うのは経済関係に特化すれば記事の事実関係の深堀は良くできていると考えるからです。同様にブルームバーグ通信やロイターも重要な情報源ですし、国際関係はBBCをはじめ、様々な英語ニュースもチェックします。皆さんが批判されるのは報道の事実が一面的であったり記者や会社の意向が反映されているといった点だと思います。これは誰でも気がついているはずで、そこをどれだけ計算して読み取るかは最終的な自己判断が重要だと考えています。
よってオールドvs.ニューでどっちがトレンディなのかという議論は全く意味をなさず、時としてニューメディアにも「へぇ。そうだったの」ということは当然あり得ます。ただし、私が投資をする立場から論じるとその「へぇ」は全体でどれだけの影響力がある情報なのか、そのマグニチュードを推し計るのが重要だと申し上げます。日経もそうですが、羅列されたニュースで真の意味で「インパクトがあり、マーケットに影響を与える」報道は全体の1/2以下だと思います。あとは途中経過的でトランプ氏の朝令暮改的なささやかなつぶやき程度の報道がいかにも重要な意味があるといった論調を排除して読み取れるか、その読解力にかかっていると考えています。
後記
これを書く今はイベント参加でカナダのカルガリーにいます。水曜日平常勤務して夕方6時にトヨタ シエナに商材を満載してバンクーバーを出発、片道980㌔の運転でした。木曜日の搬入が朝10時で初日イベント開催が午後2時から9時まで。結論的にはほぼ40時間休息時の居眠り以外なし。何がきつかったかと言えば真夜中のハイウェイを一人で運転し続けた点です。12時間かかったのですが、カナダの高速道路は地方に行くと街灯も反射鏡もなくセンターラインも剥げていて真っ暗闇。ロッキー山脈越えとなる途中は吹雪で道が見えず前を走るトレーラーを誘導灯に見立てひたすら後をつける感じでした。道中、レイク ルイーズもバンフも真っ暗闇で止まることなく素通り。晩飯のラーメンがうまかったこと。今日も頑張ります。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年4月25日の記事より転載させていただきました。







コメント
岡本氏の、「記事の事実関係を拾い上げて自分で考える」という主張には非常に賛同します。しかし、「オールドメディアとニューメディア」という呼称を単なる「マスメディアと個人発信・SNSの違い」と結論づける点については、半分正しく、半分間違っていると考えます。
多くの人がオールドメディアに違和感を持つ本質は、媒体の古さではなく、報道の偏りです。
「自民党や右派の不祥事」に対しては連日激しいキャンペーン報道を行う一方で、「野党や左派系団体の不祥事」「特定の近隣諸国(中・韓・北朝鮮・ロシア)にとって不都合な真実」に関しては、極端に報道量を減らしたり、完全に黙殺したりする傾向が歴史的に見られます。具体的には以下のような事象です。
★特定諸国への忖度と隠蔽:
・1997年頃までテレビで本格的に報じられなかった北朝鮮による日本人拉致問題の黙殺。
・慰安婦問題における「吉田証言」の虚偽報道と、その訂正・謝罪の遅れ(2014年)。
・チベット・ウイグル等での深刻な人権弾圧に対する中国共産党への長年の忖度。
・尖閣諸島中国漁船衝突事件におけるビデオ隠蔽(一色正春氏によるYouTube流出までテレビ報道なし)。
・中国の「静かなる侵略(孔子学院、非公式警察署など)」に関する包括的報道の回避。
★特定組織・政治家への忖度:
・レフチェンコ事件・ミトロヒン文書で発覚した、旧ソ連KGBによる政界・メディアへの工作活動への追及不足。
・菅直人元首相らによる「市民の党(過激派派生団体)」への献金問題への消極的な報道。
・延べ80人以上が逮捕された関西生コン(連帯ユニオン)幹部・組合員の大規模逮捕事件の不自然な黙殺。
・若年被害女性支援事業(Colabo等)を巡る公金支出問題での、ネット上の大議論とテレビ報道の乖離。
・朝銀信用組合破綻における巨額の公的資金投入問題。
――いずれも「ネット側でのみ熱く議論され、地上波では沈黙」という共通構造を持ちます。
ニューメディアの存在意義は、オールドメディアが意図的に空けた「情報の空白」を埋める点にあるのではないでしょうか。