ウィーンで第70回欧州国別音楽祭が開催:政治情勢が大会運営に影響

音楽の都ウィーンで10日から第70回ユーロビジョン・ソング・コンテスト(ESC)が開催中だ。1億5千万人以上が視聴するといわれる欧州最大の国別音楽祭だ。前回のスイス・バーゼル大会でオーストリア代表の男性歌手JJ(ヨハネス・ピーチ、24)さんが優勝したことを受け、今回のウィーン開催となった。会場はオーストリア最大の屋内施設ウィーン・シュタットハレで、開催期間中は街全体が音楽イベントに包まれる。

第70回ユーロビジョン・ソング・コンテストのトロフィー、ESC公式サイトから

ESCは1956年に始まり、今年は節目の70回目。35カ国代表のアーティストが集まる。ただ、スペイン、アイルランド、アイスランド、オランダ、スロベニアの5カ国は、イスラエル代表が参加することに反発し、参加を辞退した。これらの国はイスラエルのパレスチナ自治区ガザでの戦闘を批判し、イスラエル代表の排除を求めていたが、欧州放送連合(EBU)がこれを拒否した。

ESCは音楽コンテストだが、ロシアのウクライナ侵攻を理由にロシア代表の参加が認められないなど、時の政治情勢が大会運営に影響するケースが増えている。大会では放送権や広告収入など巨額の資金が動くとされ、優勝国が事前に決まっているのではないか、審査の公平性に疑問があるといった批判も絶えない。

スペインは多額の拠出金により予選免除で決勝に進める「ビッグ5」の一角だったが、今回の辞退によりこの枠からも外れる異例の事態となった。また、アイルランドは優勝回数最多の強豪国。ボイコットはESC史上最大規模だ。

大会は12日と14日の両日、それぞれ15カ国が参加して準決勝が争われ、計30カ国中、20カ国が16日の決勝戦に進出する。決勝戦(グランドファイナル)では、シード国のドイツ、イタリア、フランス、英国と前回優勝国のオーストリアの計5カ国が加わって25カ国が優勝を争うことになる。

なお、ウィーンで開催されているユーロビジョン・ソング・コンテスト2026では、安全確保のために大規模な警備体制が敷かれている。オーストリア連邦警察は、テロ警戒レベルを5段階中2番目に高い「レベル4」に設定し、対テロ特殊部隊コブラが公式に動員されている。また、ウィーン市警察の即応部隊WEGAも不測の事態に備えている。その他、爆発物処理班(EOD)、警察犬チーム(K9)、ドローン検知・防衛部隊、およびヘリコプターによる空からの監視が行われている 。

開催期間中は毎日約500人規模の警備体制が敷かれている。なお、警察当局は、イベント運営に携わる約16,000人の全スタッフに対して事前に身辺調査(Vetting)を実施し、信頼性を確認している。

コンテストにはイスラエルの代表も参加することもあって、会場となるウィーン・シュタットハレ周辺や市内中心部では、検問や道路閉鎖といった厳重な警戒が続いている。会場では「ノーバッグ・ポリシー」が徹底されており、荷物の持ち込みが一切禁止(携帯電話や財布など最小限の私物のみ可)されるなど、空港並みの厳しいセキュリティチェックが実施されている。


編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2026年5月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。

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