新型コロナウイルスは米中の「共同作製」

先ず、今月18日付で世界日報に掲載されたワシントン・タイムズの以下の記事を読んでほしい。

「新型コロナウイルスは、中国の研究所から流出した可能性が高い――。米中央情報局(CIA)の科学者らがこうした見解に傾いていたにもかかわらず、CIA幹部が、米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ所長(当時)らの影響を受けて、こうした見解の公表を封じ込めたとする内部告発が浮上した。CIA作戦担当官として国家情報長官室のための新型コロナ起源調査に関わったジェームズ・アードマン氏によると、CIAは2021年8月の時点で、ウイルスが中国の武漢ウイルス研究所から流出した可能性が高いとの見解を公表する方向で検討していた。しかし、5日後には方針を転換。理由を示さないまま、公表は見送られた」

Covid-19の武漢研究所流出説を公式発表するホワイトハウスのウェブサイトからスクリーンショット 2025年04月18日

アードマン氏は今月13日、上院国土安全保障・政府活動委員会で、CIA内部には中国側を擁護しようとする空気があり、さらにトランプ大統領への反発が、「研究所流出説」への抵抗感を強めたと証言している。

記事の内容(「研究所流出説」)自体は新しくはないが、新型コロナ起源調査に関わった人物が上院国土安全保障・政府活動委員会で当時のCIAの内部事情を証言したことにインパクトがある。このコラム欄でも過去200本以上の新型コロナウイルス関連の記事を掲載してきたが、「バイデン政権時代は自然発生説が依然、支配的だった。最高の研究機関と人材を誇る米国がウイルス起源問題で今だ結論に至らないのは、中国側の情報隠蔽だけではなく、米国内の親中人脈、政治家、専門家、研究者、ロビイストがブレーキをかけてきたからだ」と書いてきた(「米政府「Covid-19のWIV流出説」を公表」2025年4月20日参考)。

米政府「Covid-19のWIV流出説」を公表
新型コロナウイルスのパンデミック発生から5年以上が経過したが、ウイルスが動物から人間に感染したのか、中国の武漢ウイルス研究所(WIV)からの流出で発生したかは依然として不明だ。そのような中、米国ホワイトハウスは18日、Covidgovウェブ...

すなわち、中国武漢発の新型コロナウイルスは武漢ウイルス研究所(WIV)から漏れ、世界に拡散してきたことはほぼ間違いないが、そのウイルス自体は中国のウイルス専門家が単独で開発したものではなく、米国のウイルス専門家の技術的支援があったからだ。その意味で、武漢ウイルスは米中ウイルス科学者の合作だ。そして「それゆえに」、新型コロナウイルスの起源説問題で真相が明らかにされなかったのだ。

新型コロナウイルスによる世界の累積死者数は、世界保健機関(WHO)の発表によると約711万人だが、実際の死者数はこれをはるかに上回ると推定されている。ロングコビット(Long COVID)問題も深刻だ。

新型コロナウイルスの起源問題では、「自然発生説」(a natural zoonotic outbreak)と「武漢ウイルス研究所=WIV流出説」(a research-related incident)の2通りがある。米国には新型コロナウイルス感染起源を知るうえで貴重な学者がいる。彼らは過去、WIVと接触があり、中国人ウイルス学者、「コウモリの女」と呼ばれている新型コロナウイルス研究の第一人者、WIVの石正麗氏と一緒に研究してきた専門家たちだ。

ウイルスの機能獲得研究、遺伝子操作の痕跡排除技術は、米ノースカロライナ大学のラルフ・バリック教授、そして英国人動物学者で米国の非営利組織(NPO)エコ・ヘルス・アライアンス会長のペーター・ダザック氏らとの共同研究を通じてWIVの石正麗氏が獲得していった内容だ。ダザック氏らは米国の税金でWIVのコウモリ研究を支援してきた。そして米国の感染症対策のトップと言われるファウチ博士は長い間、WIVと関係を有してきた。

なお、バイデン米大統領(当時)は2025年1月20日、退任直前にトランプ現大統領の政敵と見られる人物に対して予防的恩赦を与えたが、その中にファウチ博士の名前があった。なぜバイデン氏は免疫学者に予防的恩赦を与えたのか。理由は明らかだ。ファウチ氏は武漢ウイルスの事情や米中間の科学者交流を熟知しているからだ。バイデン氏は当時、世界で数百万人の死者を出した新型コロナウイルスが実は米国科学者と中国のWIV科学者が開発してきたもの、という事実が公表されることを恐れていた。新型コロナウイルスで米国では約120万人余りが亡くなっているのだ。

米ホワイトハウスは2025年4月18日、Covid gov ウェブサイドの改訂版で「新型コロナウイルスはWIVから流出した」という公式見解を表明した。理由として、

  1. 新型.ウイルスは自然界には存在しない生物学的特徴を持つ。
  2. WIVでは過去、生物安全基準が不十分な中で機能獲得研究などが実施されていた。
  3. 2019年秋、華南海鮮市場でCOVID-19が確認される以前に、WIVの研究者がCOVID類似の症状を示していた事例

が確認されている、等を挙げている。そのうえで、元アメリカ国立アレルギー感染症研究所所長アンソニー・ファウチ博士を「自然発生説を主張し、米国民を誤導する役割を果たした」と厳しく批判している。

米国ではこれまでFBI、米エネルギー省、そしてCIAとホワイトハウスがWIV説を支持してきた。例えば、米上院厚生教育労働年金委員会(HELP)の少数派監視スタッフの共和党議員らが15カ月間にわたり調査、研究して作成した 「COVID-19パンデミックの起源の分析、中間報告」が2022年10月下旬、公表され、関心を呼んだ。結論として、「公開されている情報の分析に基づいて、COVID-19 のパンデミックは、研究関連で生じた事件(事故)の結果である可能性が高い」と指摘、「WIV流出説」を支持している。その後、米エネルギー省は2023年2月、中国武漢発「新型コロナウイルス」の発生起源がWIVからの流出との結論に至った。

ジュネーブに本部を置く世界保健機関(WHO)の新規病原体起源に関する科学諮問グループ(SAGO)は昨年6月27日、COVID-19パンデミックの原因ウイルスであるSARS-CoV-2の起源に関する最新報告書(77頁)を発表した。それによると「全ての仮説を完全に評価するために必要な情報の多くは提供されていない」と指摘、中国武漢で最初に発生した新型コロナウイルスに関する情報を「中国が隠蔽している」ことを示唆した。

新型コロナウイルス発生当初、中国側の主張を無条件で信じてきたWHOのテドロス事務局長は、「現状では、人獣共通感染症の流出や実験室からの漏洩など、あらゆる仮説を検討し続けなければならない。私たちは、将来のパンデミックから世界を守るために、中国をはじめとするCOVID-19の起源に関する情報を有するすべての国に対し、その情報をオープンに共有するよう引き続き訴える」と述べている。遅すぎた感がするが、WHO事務局長としては上記のアピールが精一杯だったのだろう。

ちなみに、SAGOの報告書は、「COVID-19の起源に関して、利用可能な証拠(available evidence for the main hypotheses for the origins of COVID-19 )から検討するならば、コウモリから直接、あるいは中間宿主を介して、人獣共通感染のスピルオーバーが示唆される」と説明する一方、「WHOは、パンデミック初期におけるCOVID-19感染者の数百の遺伝子配列、武漢の市場で販売された動物に関するより詳細な情報、そして武漢の研究所における研究内容とバイオセーフティ状況に関する情報を中国に要請してきたが、中国はSAGOにもWHOにもこれらの情報を提供していない」と強調し、「中国はコロナウイルスSARS-CoV-2の起源に関する重要な情報を未だに公開していない。そのため、ウイルスがどのようにしてヒト間で広がり、これほど壊滅的な結果をもたらしたのか、依然として特定できない」と、明確に指摘している。

まとめる。新型コロナウイルスの起源問題が依然解明できないのは「中国側の隠蔽工作」があるからだ。世界に数百万人の死者を出した責任は中国共産党政権にある。それだけではない。今回のCIA内部情報から推測できるように、米国も真相を恣意的に隠ぺいしてきたのだ。米中科学者は新型コロナウイルスを共同作製したが、それを外部に拡散する意図は両国科学者になかったことは間違いないだろうが、WIVのバイオセーフティが不十分であったため外部に漏れてしまった、というのが実情だろう。

ファウチ博士は感染症対策の世界的権威者という自身の名誉を傷つけることになったとしても、新型コロナウイルスの発生経緯を明らかにすべきだ。


編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2026年5月20日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。

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