フォルダを整理すればするほど、AIは使えなくなる

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結論から言う。あなたのGoogleドライブの整理術は、おそらくAIにとって最悪の環境だ。

「2025年」フォルダの中に「確定申告」があって、その中に「領収書」がある。几帳面で素晴らしい。人間が見るには完璧だ。

でも、そのフォルダにAIをアクセスさせようとした瞬間、エラーが出る。または、出ないけど読み込んでいない。どちらにしても結果は同じで、AIは「知らない」と言う。

生成AI投資の教科書ジョン・シュウギョウ (著) /ソーテック社

なぜか。AIはフォルダを「潜る」のが苦手なのだ。深い階層を辿るたびにエラーのリスクが積み重なる。人間なら慣れた手つきでクリックできるが、AIにとってはフォルダを1段潜るごとに転落リスクが上がる綱渡りだ、というか私はそう理解している(専門家に怒られそうだが)。

そこで必要なのがフォルダ設計の発想を根本から変えることだ。

人間のための整理術とAIのための整理術は、向いている方向が180度違う。前者は「どこに何があるかひと目でわかる」を目指す。後者は「名前を見ただけで何が入っているかわかる」を目指す。

具体的にはこうだ。マイドライブ直下に「AI_Investment_Cockpit」という親フォルダを一つ置き、その中身は4つだけ。00_Constitution、01_Financial_Reports、02_Market_News、03_My_Journal。以上。

階層は2段で終わり。これが「AI-Readyなフォルダ構造」だ。

正直、最初は「なぜ英語にしなきゃいけないの」と思った。日本語でフォルダ名を付けてきた人間にとっては、ちょっとした抵抗感がある。

理由を聞いたら納得した。プログラムから参照する際、英語の方がエラーが圧倒的に少ない。英語力の問題ではなく、文字コードの問題だ。「日本語でも動く」は「トラブルが起きても知らない」とほぼ同義だと思った方がいい。

番号については、並び順を固定するためだ。Googleドライブはアルファベット順に並ぶ。番号を付けることで「憲法→決算→ニュース→日誌」の順番が崩れない。しかも00番を「憲法」にしているのは意図的で、AIに参照させたとき最初に読み込まれるのがルールファイルであるべきだという設計思想からきている。

もう一点、見落としがちなことがある。ファイル名だ。

企業のIRサイトからPDFをダウンロードすると、「tanshin_20250130.pdf」みたいな名前になっている。これをそのまま保存している人は多い。人間には検索で探せるからいい。でもAIはファイル名を情報として読む。意味不明な名前のファイルは、AIにとってほぼ存在しないのと同じだ。

「2025-01-30_3Q決算短信.pdf」という名前なら、「最新の決算短信を見せて」という指示が通る。面倒でも、ダウンロードのたびにリネームする。この一手間が、AIの賢さを引き出す鍵になる。

フォルダを整理するな、とは言っていない。整理の仕方を変えろ、という話でもある。

尾藤克之(コラムニスト、著述家、作家)

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