補正予算が決まった。高市首相の「責任ある積極財政」は歯止めがなくなってきたが、これを批判する財政タカ派も錯覚している。図のように政府債務の名目GDP比は下がっており、プライマリーバランスも黒字になる見通しだ。問題は財政破綻ではないのだ。
政府債務の中期見通し(内閣府)
本書もこの点を指摘する。2013年後半から現在まで実質金利はマイナスであり、20年代に政府の実質債務は減った。その最大の原因はゼロ金利に慣れた預金者が実質マイナスの金利で預金し、銀行はその預金で国債を買って政府に貸しっぱなしにしていたからだ。
これは逆にいうと、政府がずっと借りっぱなしにできる状態が続いたことになる。日銀の爆買いで国債残高が激増し、多くの人が心配したが、何も起こらなかった。インフレ目標は達成できなかったが、財政破綻も起こらなかった。
その最大の原因は、預金者がマイナスの預金で政府に寄付しているからだ。特に最近では2%以上のインフレなのに普通預金は0.3%程度だから、1000万円の預金は毎年20万円以上も目減りする。預貯金1100兆円のうち20兆円以上が政府に「自発的な税」として取られているのだ。これは消費税8%分である。

日本経済新聞
これは世界に類を見ない珍現象である。「賃金が上がらなくて大変だ」と嘆いている労働者が、いったい何のために政府にこんな巨額の寄付をしているのだろうか?
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