日本という国は不思議なところがあります。コロナ前ぐらい前は「安ければよい」という風潮が蔓延し、価格も人件費も世界から見れば大バーゲンの状態だったのが、ふとしたきっかけでインフレ社会が到来し、それを渋々ながらも受け入れる余地が見えるのです。日本人がコロッと変わるのは近年では戦後直後、バブル崩壊後がよく言われていますが、今回は物価高に耐性がついてきた日本で更なる本格的物価高が襲う可能性を考えてみたいと思います。

物価高支援を発表する高市首相 首相官邸HPより
まず、物価高になりそうな因子です。
- 壊れたように上昇する株価
- 戦争が仮に終わっても原油高、ナフサ不足はまだしばらく続く可能性
- 物価高に慣れてきた国民(心理的抵抗が薄れた)
- 政府補助金の枯渇の可能性
- 春闘を通じた賃上げは引き続き高水準のうえ、賞与は平均100万円越え
それぞれの因子についての詳述は避けますが、テレビニュースやユーチューブなどを通じて見えてくるのは懐の緩さであります。サラリーマンがはしご酒をする時代が再び来るとは思ってもいませんでしたが、夜半を過ぎても飲みまくるサラリーマン諸氏をみるにつけ昔の自分を見ているようでした。とすれば35年から40年ぶりの浮足ぶりであります。
一方、世の中の物価は着実に上がっており、サラリーマンの盛り上がりの裏でより窮屈な生活をされている方も多いでしょう。その生活を支える政府補助金は夏の電気ガス代については予算がつくようですが、ガソリンは財源枯渇が見込まれています。仮にガソリン代が現在の175円という設定から200円に14%上昇するとすればCPIを含め、諸統計数値は跳ね上がるはずです。
4月のCPI(消費者物価指数)は1.4%(総合)と驚くほど低い数字が出ています。理由は4月から始まった私立高校高校の授業料無償化、公立小学校の給食無償化が効いています。更にしばし高いCPIに貢献していたコメ価格などが下落していることもあり相殺要因があったためです。実質的にはこれより1ポイント%、つまり2.4%程度の物価高ではないかとみています。今後、エネルギー価格やナフサ関連商品の価格高止まりが夏一杯は続くと見込まれていることから実質的には4%程度の物価高になっても驚きはしない状況で、それを懐が温かくなった層で価格上昇を吸収していく構図になると思います。
日本だけが物価が安定して安いということはあり得なかったのです。ところが価格センシティブな日本の消費者に対して日本に進出する外国企業は日本向け価格を他国より安めに設定せざるを得なかったのです。デザイナーズブランドからマクドナルドまで日本の価格はあり得ないほど安いのです。例えばビックマックは日本なら500円程度ですが、アメリカなら6.12㌦なので950円以上です。スタバのラテは日本では500円程度ですがアメリカでは5.3㌦、840円です。
この価格水準の違いの要素は2つあり、1つが人件費の差、もう1つが為替です。日本なら人件費は時給1300円程度かと思いますが、アメリカではその2-2.5倍になります。もちろん、為替が160円で計算した場合なのでこれがもう少し円高になれば計算上の差は縮まるかもしれませんが。
いずれにせよ、国際間の価格差はグローバル経済が進む社会において日本だけの独自の価格は存在しないはずで今後物価の上昇を招くのは確実であります。
物価上昇に対抗するためには現時点では金利の引き上げしかなく、私の予想は6月の日銀の政策決定会合では金利引き上げを断行するであろうとみています。そして年内にもう一度やらざるを得ないほどになるとみています。
日本経済の体力を測るという点では物価高と金利高でもさらに企業が利益を上げ、賃金を引き上げ続けることができるかが勝負になってきます。私の予想はできる、とみています。ただし、あぶり出される人や会社が相当出ることも見込む必要があります。つまり社会の二分化は避けられないとみています。以前から申し上げているK字型経済です。
その場合、下についてしまった労働者は外国人労働者との勝負になるのでしょうが、私がカナダやアメリカで見たこと、及び欧州などから聞こえてくる状況を鑑みると日本人は外国人労働者と勝負をせず、それを避けようとします。すると社会的にきついけれど必要な仕事、例えば農水林業、畜産といった目立たない分野とか清掃業など社会の下支えの業務に就く人が多くなるかもしれません。今、警官になる人が激減しているそうですが、自衛官、消防士など社会的要請度の高い業務も人気になるかもしれません。
株が高けりゃ不動産も高くなるし、物価も上がる、これはやむを得ないのです。ただし、80年代バブルを嫌と言うほど味わった者としてはもうあの時のような失敗はしてくれるなよな、と思います。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年5月28日の記事より転載させていただきました。







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