黒坂岳央です。
スマホが燃えたというニュースを最近よく目にするようになった。体感ではなく、数字がそれを裏付けている。
リチウムイオン電池が原因の火災件数は2022年の852件から2025年には1,297件へと、わずか3年で52%増加した。もう一度いう。年間1000件の火災だ。これは無視できない数字だ。さらに自分が気を付けていても他人の火災の巻き込まれもあり得る。
スマホ、モバイルバッテリー、ワイヤレスイヤホン。現代人が毎日持ち歩くデバイスが、住宅火災の新たな主役になっている。
個人的に気を付けていることも含めて取り上げたい。

eugenekeebler/iStock
なぜスマホは燃えるのか
スマホが燃焼する原因は「熱暴走」と呼ばれる現象だ。
リチウムイオン電池の内部には、プラス極とマイナス極を隔てるセパレータがあり、周囲に可燃性の電解液が満たされている。この膜が何らかの原因で破れると、両極が直接接触して内部ショートが起きる。発生した熱がさらに化学反応を加速させ、温度が連鎖的に上昇する。最終的に可燃性ガスが噴出して発火に至るのだ。
厄介なのは、一度この連鎖が始まると外部からの消火がほぼ不可能な点である。少々水をかけたくらいでは止まらない。消防士が現場でも手を焼く火災のひとつになっているという。
引き金になる要因は主に3つだ。落下や圧迫などの物理的ダメージ、過充電などの電気的ストレス、そして製造上の欠陥や経年劣化だ。
火災を招くやってはいけない行動
それでも使い方で防げるリスクは大きい。筆者が気を付けている行動を取り上げたい。
1つ目は就寝中の充電をやめることだ。これが最も効果的な対策だ。就寝中は火が出ても異臭・異音・発熱といった発火の前兆に気づけない。充電完了後もケーブルを繋いだままの過充電状態が長時間続く。
枕元や布団周辺は断熱素材に囲まれており、発火から延焼までの時間が最短になる環境でもある。消防庁データでは深夜0〜6時が住宅火災死者のピーク時間帯と一致している。
充電は起きている間に済ませて寝る前にケーブルを抜く。これだけでもかなりリスクを減らせるだろう。
2つ目に信頼のおけるメーカー品を買うことだ。得体のしれない激安メーカー品はスマホ本体も含めて、充電器やケーブルは使わない。安価な互換品は電圧・電流の制御が不正確なものが多い。過充電を引き起こすリスクが純正品より高いのだ。
最後にバッテリーが膨らんだら即廃棄することである。そのまま使い続けるのはリスクが大きすぎる。スマホやモバイルバッテリーが膨張しているのは、内部でガスが発生している状態だ。熱暴走の直前サインと見ていい。即座に使用を中止し、販売店か自治体の指定方法で廃棄するべきだろう。
◇
スマホ自体の安全設計は年々向上している。最近では半個体電池バッテリーなんかも出ている。問題は使用者のリテラシーが普及速度に追いついていないことだ。
10年前にはなかったモバイルバッテリーが今や一人一台の時代になり、リチウムイオン電池を持ち歩く総量が社会全体で急増した。火災件数が増えるのは当然の帰結だ。
スマホ由来の火災が、我が国で年間1,000件以上起きている現実がある。
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