紫陽花の明月院から美食の北じまへ。初夏の鎌倉で味わう小さな旅

出口里佐です。

6月最初の週、鎌倉で評判の日本料理店「北じま」を初めて訪れました。せっかく紫陽花の季節ですので、少し早めに家を出て、北鎌倉の明月院にも立ち寄ることにしました。

北じまは鎌倉駅、明月院はひとつ手前の北鎌倉駅から徒歩圏内です。

20年ぶりに降り立った北鎌倉駅周辺は、以前と変わらず緑が豊かでした。駅から明月院へ向かう道には草木の香りが漂い、東京から1時間もかからず到着したとは思えないほど穏やかな空気が流れています。

普段あまり遠出を好まない夫も、「北鎌倉はいいなあ」と気に入った様子でした。

明月院は「あじさい寺」として知られています。この時期は通常16時までの拝観時間が16時30分まで延長されており、私たちが到着した16時でも入場することができました。拝観料は500円です。

明月院山門前の紫陽花(6月4日)

境内では満開の紫陽花もあれば、これから見頃を迎えるものもあり、あと1週間から10日ほどは十分楽しめそうでした。訪れていた人の半数以上は海外からの観光客のようで、浴衣姿で写真撮影をしている方も見かけました。

明月院、拝観口近くの紫陽花と青々とした葉を付けた大きな木。秋には紅葉も期待できそうです。

青や紫の花々が石段や参道を彩る光景は、この季節ならでは。パンフレットによれば四季折々の花が楽しめるそうで、今は青々と葉を広げている大きな木々も、秋には見事な紅葉を見せてくれそうです。

境内は30分ほどでゆっくり一周できます。また違う季節にも訪れてみたいと思いました。

さて、この日の本来の目的は18時から予約していた日本料理店「北じま」です。

北鎌倉から横須賀線で一駅、鎌倉駅へ移動し、東口3番乗り場から17時40分発の緑ヶ丘入口行きのバスに乗車。名越停留所で下車して徒歩5分ほどで到着しました。

ちょうど開店10分前でしたが、お店の方が気づいて中へ案内してくださいました。

北じまのエントランス。大きな輪は、茅の輪。お店のインスタグラムに興味深い説明がありました。
武塔神をもてなして、守られることになった蘇民将来が腰につけていた茅の輪が大きくなり、人がくぐり抜けるものになったといわれていて、無病息災を願うものだそうです。

店の前には立派な祝い花が並んでいました。5月末で、ちょうど開店5周年を迎えたばかりだったそうです。

店主の北嶋靖憲さんは、京都の名店「和久傳」などで研鑽を積み、2020年に鎌倉で北じまを開業されました。伝統的な日本料理の技法を大切にしながらも、地元湘南の食材を積極的に取り入れ、器や設えを含めて季節感を表現する料理人です。

私たちは個室席を利用しましたが、追加料金はなく、落ち着いて食事を楽しむことができました。

最初に供されたのは、竹筒に入った筍ご飯と香ばしく焼いた筍。季節の訪れを感じさせる一品です。

筍ごはん。「蘇民将来子孫也」と唱えると疫病から免れると、武塔神から告げられたそうです。

続く胡麻豆腐は、小豆を合わせた優しい味わい。三角形に仕立てられているのは氷を表現しているそうで、目にも涼やかでした。

胡麻豆腐はぷるぷる、柔らかく炊いた小豆がちょこんと。

お造りは相模湾のイサキと稚鯛。神経締めされたイサキは驚くほど透明感のある味わいです。器にもこだわりがあり、稚鯛が盛られていた皿は、聞き間違いでなければ300年ほど前のものとのことでした。

相模湾産、神経締めされた稚鯛。
お皿はとても薄くて繊細でした。

鮎のお椀は、頭から丸ごといただけるほどパリパリで香ばしかったです。

葉山牛のしぐれ煮の上には、牛蒡を出汁でじっくり炊いてから揚げ、最後に鎌倉彫の火鉢で炭火焼きにしたものをのせた手の込んだ一皿。

葉山牛のしぐれ煮と牛蒡のお料理の仕上げは、個室内で。

年代物の鎌倉彫の火鉢で、牛蒡も炭火焼で最後の仕上げ。

これが葉山牛のしぐれ煮と牛蒡の一皿。

その後も、アオリイカと絹さや、ズッキーニの梅ソース、とうもろこしとすり身の揚げ物、穴子の八幡巻など、季節の食材を生かした料理が続きます。

見えないけれど、中にはアオリイカ、ズッキーニ、絹さや、上には梅ソース。

太刀魚棒寿しと赤出汁の味噌汁。

鯨ラーメン。魚のガラ、鰹節の出汁のスープで、間違いない美味しさ。

焼き茄子と生姜の雑炊。焼き茄子は炭火焼の香りがほんのりと感じられます。
食事の最後に消化の良いこちらの様な料理が組まれているのは、やさしい心遣いですね。

終盤には太刀魚の棒寿司、枝豆とアオリイカの炊き込みご飯、さらには鯨ラーメンや焼き茄子の雑炊まで登場し、まるで日本料理の小さな旅をしているような気分になりました。

さくらんぼとビワのゼリー寄せと胡麻杏仁ソース。
縁起の良い末広がりにカットされています。

てるてる坊主饅頭とクロモジの楊枝。

甘味は、さくらんぼと枇杷のゼリー寄せ。末広がりを表す縁起の良い形に切り分けられ、胡麻杏仁のソースが添えられていました。てるてる坊主のお饅頭とお抹茶までいただき、初夏らしい余韻のある締めくくりです。

18時に始まった食事が終わったのは20時半過ぎ。

事前にお願いしていたタクシーで鎌倉駅へ向かい、20時40分には駅に到着しました。横須賀線も東横線も空いていて、自由が丘まで座って帰ることができました。

鎌倉というと少し遠く感じますが、実際には都内の人気レストランへ出かけるのとそれほど変わらない時間です。それでいて、紫陽花を眺め、歴史ある街を歩き、美味しい料理を味わうことができる。

まるで小旅行のような一日でした。

鎌倉にはまだまだ魅力的なレストランが数多くあります。これから少しずつ開拓していくのが楽しみです。

鎌倉 北じま

鎌倉 北じま | Kamakura_Kitajima
鎌倉 北じま日本料理店神奈川県鎌倉市大町4-3-18電話 0467-73-7320 営業時間 午後6時より 不定休

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