人生を縛り上げる40年、50年といった超長期住宅ローン

40年、50年といった超長期ローンを組まざるを得ない人が増えているとされます。理由は「欲しい物件が買えないから」。私からの助言は「買えないなら諦めなさい」です。私が許せる最長の住宅ローンは25年。それは仮に30歳でローンを組んだとして55歳で終わるからです。お子様ができるとなれば大学を出るまでは親の出費はなかなかシビアなものになります。その子供が社会人になりどうにか独り立ちしてくれる時期と住宅ローンが終わる時期が概ね重なる「盆と暮れが同時に来る状態」が人生で最もほっとするときになるのは経験者ではないと実感できないでしょう。(人は否が応でも枯れるということも意識すべきです。)

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もしも40年のローンを組んだら完済は70歳、50年なら80歳だけどそれはもはや現実的ではありません。そんな商品が存在すること自体が悪であります。

人はなぜ、背伸びをしても届かないような高額の住宅を買おうとするのでしょうか?私は学生の就活と同じような現象だと考えています。共に言えるのは「周りを意識したもので本質で選んでいない」点です。就活はCMなどで誰でも知っている会社ほど内定した時のインパクトが大きく、自慢する価値があります。理由はその会社の知名度があるからです。「へぇ、コマーシャルで〇〇が演じているあの会社?すごいじゃない」と。(本人はわかっていないけどそんなのやっかみでしかないのですがね。)

住宅選びも同様で「会社から一時間以内、駅近、できればタワマン、できれば高層階、できれば新築か築浅…」。でも何のため?そう、「僕たち、私たち頑張ったんです」という自慢であります。頑張らねばならないのはこれから始まるローン返済の40年なのですが、巨額のローンをするという人生最大の買い物に「頑張って判断しました」になるわけです。何故?だって周りから「いいわねー」と言われるからです。(これも周りは当然やっかみ半分です。)

私は若かりし頃、日本で中古の集合住宅を買ったとき、住宅ローンを組みましたが10年で完済しました。もっとも住んだのは数年でその後はバンクーバーに転勤でした。その時、思ったのは人生何があるかわからない、だから何十年もコミットしてはいけないということです。逆にコミットしてしまうと自分の人生にフレキシビリティが全くなくなるのです。ましてやパワーカップルが共同名義で住宅購入するなんて住宅販売会社の入れ知恵で愚の骨頂なのですが、そんなこと言うと炎上するのでこれ以上言いません。

なぜ長期のコミットメントが怖いか、と言うと個人のライフスタイルの変化の可能性以外にもう2つ理由があります。1つは社会の変化です。技術がどんどん進化すれば会社の立ち位置や労働環境も確実に変化します。10年後の会社の様子すら想像するのは難しい時代なのになぜ自分の社会人人生のほとんどを固定化させるのでしょうか?

もう1つは住宅事情の変化です。買えないというなら買えるものを作ろうとする動きは当然出てくるものです。その一つが改築の発想です。築年数がだいぶたっている物件を蘇らせることも可能です。例えばエントランスやロビー周りを管理組合が少しお金をかけてリノベし、現代的なデザインに改修し、セキュリティを向上してくれるような物件があればあとは物件購入者が個室内を完全リノベすることで全く違った雰囲気に変えることができるでしょう。各住居の完全リノベも1000万円ぐらいでやってやれないことはありません。

私のビジネスパートナーが築20数年の集合住宅を購入したのですが、購入後、3人がかりで部屋全部のペンキを塗りました。かかった費用はたぶんお手伝い料を入れて10万円ぐらい。床も徹底して磨き上げ、ニスを何度か塗り、ピカピカにして新しい家具を入れることで購入時とは見違えるような部屋になりました。

何度も指摘していますが、日本の集合住宅は築年数と居住者の年齢が比較的同期して動きます。つまり築年数が20年ならば居住者も50代が中心、築30年となれば子供が巣立った老夫婦が住む集合住宅になりがちです。とすれば住宅ローンが終わった頃にどうやって建物を大規模改修するかという課題に直面するはずでこれがまだ社会問題化していない最大の問題です。管理の積立金を運用することも視野にあるように聞きますが、さて誰がどうやって、となると管理組合がリスクを取れるものか、私には何ともコメントできないのであります。

正直、私ならそういう物件からは逃げます。売りたいけど住宅ローンが残っている、あるいは引き合いが少なくて売るに売れないということが現実に起きやすいことは頭に入れておくべきです。40年後の日本の人口予想、ご存じですよね、9000万人です。その時に住宅購入を予定している人は恐ろしく少ない時代になっているということです。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年6月9日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。

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