どう占う、株価の行方:スペースX、アンソロピックとオープンAIの上場

東証は連日1000円以上の指数の変動があり、落ち着きません。一方のアメリカはナスダックがガラス細工のような状況にあり、腫れ物に触る感じであります。ただ、ナスダックに限らず北米の株式市場の動きを見ていると必ずしもハイテク株主導の上下運動だけではなく、金と原油を含む資源、及びビットコインの不透明な動きもそれに加担するような展開となっています。

お前はどう見ているのか、と言われると「綱渡りかな」という気がしています。投資の話なのであくまでも個人の責任でご判断いただきたいのですが、悩ましい構図について考えてみたいと思います。

悩みその1 スペースXの上場

6月12日に控えるその上場ですが、IPOへの応募は3倍ぐらいあり、少なくとも出だし(あくまでも初値)という点ではまずまずのスタートを切ると思いますが、その後、下げると暗雲が広がります。スペースXの時価総額の想定は1兆7700億㌦(283兆円)。それに対して今回の上場で市場に放出されるのが750億㌦、つまり約12兆円であります。

多くのアナリストや機関投資家がスペースXの株式取得を見送る方針となっており、各専門家の評価も想定額の半分程度となっています。何が怖いかと言えばこの歴史上最大のIPOが「失敗」というレッテルを貼られると後に続くほかの2つ、アンソロピックとオープンAIのIPOに響くのであります。

特に3つのIPOが巨額故にいくら金満の機関投資家やファンド筋と言えども容易に手を出し、下落でもすればスペースXがブラックホールXになってしまい、投資家の失望を誘うだけでなく、株式市場全般のムードをぶち壊してしまうのです。個人的にはスペースXは将来性と夢があるので買い付けたいと思っていますが、上場時の135㌦で飛びつくことはしません。株価がこなれるのに2-3か月かかるとみており、半額にならなくとも100㌦割れぐらいはあるのかもしれないという淡い期待を持っています。

イーロン・マスクスペースX会長兼CEO兼CTO

悩みその2 アンソロピックとオープンAIの上場

両社ともIPOの申請を出しました。通常審査に半年から9か月程度かかるので秋半ばから年末にかけての上場になるのではないかとみています。この2社も共に企業価値が1兆㌦弱で双方で300兆円ぐらいの規模になります。最大の疑問は現在足元がふらついているAI関連株ブームが秋まで持つのか、であります。おまけにグーグルとメタが増資を先に行う予定で市場から資金を吸い上げる早い者勝ちゲームになっています。

ご承知の通り一部AI関連株は理論値からは大きくかけなはれています。日本ではキオクシアが注目されていますが、一旦ピークをつけたとなれば調整の下げ足は早いでしょう。フジクラもひと月でほぼ半値になりましたが、ここから戻すのはかなり重い値動きになると思います。つまり日米ともにAI関連のエネルギーをどう補給するか、であります。これが未知数なのです。

悩みその3 インフレと金相場

FRBの新議長、ウォーシュ氏が着任していますが、彼が市場とどう対話するか、その中でFRBが金融政策をどう考えているのか、これが極めて重要な判断材料になります。パウエル氏のようにかなり保守的で発言にブレがない人かどうか判断できないのです。特にウォーシュ氏はトランプ氏に忖度したのか、金融政策に対する考えが途中で変わった経緯があります。トランプ氏はいまだに利下げせよと吠えていますが、ウォーシュ氏はいくら何でも今のインフレ状況からは利下げはほぼ無理どころか利上げも視野に入ります。

とすれば株式市場にはマイナスで特に借金の多いナスダック上場企業には不利になります。また金相場も想定通り冴えず、4100㌦ぐらいまで落ちてきています。個人的にはまだまだ下げるとみており、3800㌦から場合によっては3500㌦程度までの下落はあり得るとみています。金の本格的反発は来年までないとみています。これは一部投資家には失望要因で「投資先の多極化」としては残念なサイクルにあります。

悩みその4 ビットコインは終わったのか?

個人的には終わったとは思っていません。むしろ非政府発行通貨としての役割を今後持たせる主導的役割を果たすといまだに思っています。しかし、以前にも何度か申し上げたように金とビットコインは実物経済において経済的交換ができないのです。つまり金やビットコインでは買い物が実質的にできないのです。これは価値を決定する要因がないともいえ、需給相場だけで成り立っているとも言えるのです。なのでビットコインは1万㌦でも10万㌦でも驚きも悲しみも喜びもないのです。ただし、既に大きな市場価値と関連の投資信託が数多く立ち上がっているために投資家の損失を招くことは当然マイナス要因になります。

お前はどうしているのか、聞かれると思います。実は手持ちの銘柄(30ぐらいある)をざっと見渡してみると堅実なのが銀行、REIT、高配当銘柄であります。また上場型カバードコールのETFも5銘柄ぐらい持っていますが、原資産に対して120%のレバレッジをかけているところはリスクが極めて高いので頃合いを見て売却方針です。一方銀行株のカバードコールでレバゼロのEFTは銀行決算が安定していることもあり毎月配当で利回り13%程度取りながら新値をつけ続けている状況で今のところは配当とキャピタルゲインの2倍おいしい状況です。ただし、今の相場つきからはいくらおいしくてもカバードコールは仕組みが特殊なのであまり無理をしない方が良い気がします。

北米の株式市場に参加している限り、相場つきはやや転機を迎えているような感じであり、今まで陽の当たらなかった銘柄や業種を発掘する動きはより強まると思います。これは日本も同じ傾向を示すとみています。

ところで日経平均のチャートはとても嫌な形になっており、一般的な見方をするとここからまだ下げる形です。節目は60000円割れで4月末と5月19日につけた下値が当面の目途かなとみています。今、25日平均移動線を切るところですが、上につくなら5日平均移動線の65500円を明白に超える必要があります。現在の日経平均が64179円ですから極めて重要な分岐点にあると言えます。トリガーはやはり、今週金曜日のスペースXの上場で東京市場は月曜日に良いにつけ、悪いにつけその波が押し寄せることになりそうです。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年6月11日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。

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