「最低2泊」で締め出される日本人宿泊客

内藤 忍

円安が進んだせいか、外国人の観光客が国内に増えています。以前は京都や東京のようなメジャーな観光地にしかいなかった外国人観光客ですが、最近は日本人でもなかなか行かないようなマニアックなエリアにも出没するようになっています。

あくまで一般的な傾向ですが、外国人観光客と日本人観光客には旅行のスタイルに大きな違いがあります。

仕事をしている日本人は週末の土日を使った1泊2日で旅行する人が多く、短い時間で観光スポットを効率的に回ろうとする傾向があります。

これに対し、外国人は旅行期間が長く曜日にあまり関係なくスケジュールを立てます。また、観光スポットを慌ただしく巡るよりは滞在を楽しむ傾向が強いようです。

宿泊施設を経営する立場からすると、宿泊予約が週末の土日2日間だけに集中してしまうと平日の空室リスクが高まります。長期滞在で週末をまたいで宿泊しようとしても予約が取れなくなるからです。

また、宿泊マナーが良いと言われていた日本人ですが、最近は必ずしもそうとは言えなくなってきています。宿泊施設の備品を持ち出したり、家具などを破損する行為は大人数で宿泊する日本人グループ客にも少なくありません。

さらに宿泊施設泣かせなのが日本人宿泊客の宿泊サイトへのレビューです。外国人宿泊客は概ねポジティブなコメントが多く、レーティングも高くなる傾向があります。

これに対し、日本人は重箱の隅を突くようなネガティブなコメントが多く、レーティングも低くなりがちです。

以前は最優良顧客であったはずの日本人が、今や一部の現場で「やっかいな客」として敬遠され始めているのです。

宿泊希望の顧客を国籍や人種で差別することはできません。そこで導入されるのが「最低2泊」という宿泊条件です。

そうすれば土日1泊で検索しても宿泊可能物件として表示されなくなります。長期で宿泊してくれる顧客を優先することで、安定した稼働率を実現できるのです。

もちろん人気のない宿泊施設は宿泊制限をかけて顧客を選ぶことはできません。しかし、クオリティの高い人気の宿になればなるほど、優良な宿泊客を選別することが可能になります。

仕事に追われる日本人もそろそろ土日の1泊2日で慌ただしく旅行に行くスタイルを見直す時期に来ているのではないでしょうか。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2026年6月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。

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