イラン戦争は今度こそ本当に終わるのか?

停戦という言葉は、この100日あまりのイラン戦争で何度も繰り返された。そのたびにマーケットは盛り上がり、その期待は裏切られた。

アメリカの仲介案は破綻し、イスラエルは攻撃を継続し、イランは「安全保障上の保証がない限り応じられない」と拒否した。ところが、今回の動きはこれまでとは様相が異なる。

ロイター

何が今までと違うのか

これまでの停戦提案は、「とりあえず撃つのをやめよう」という軍事的休止に近かった。しかし今回は、イラン側が以前から主張してきた条件――

  • 将来の攻撃を防ぐ安全保障上の保証
  • 戦争被害への補償問題
  • 地域秩序の再構築

などを含めた包括的な枠組みが議論されている。実際、イランのアラグチ外相は3月、「アメリカとイスラエルがイランの要求を受け入れれば戦争は終結できる」と述べていた。 

その後、イランは14項目の終戦提案を米国側に提示し、米側も正式に回答したことが報じられている。 つまり、今回初めて「終戦条件」が交渉のテーブルに載ったのである。

なぜ今なのか

理由は単純だ。誰も勝てないことが明らかになったからだ。

イスラエルは軍事的優位を維持したものの、イランのミサイル・ドローン攻撃は完全には止められなかった。イランも「抵抗」を続けたが、経済的・人的損失は極めて大きい。アメリカも中東への無制限の関与を望んでいない。トランプ政権は当初から「短期決着」を志向しており、長期占領や体制転換には消極的だった。

要するに、イスラエルは完全勝利できず、イランも相手を屈服させられず、アメリカにも戦争を続ける余力や意思が乏しい、という「勝者なき消耗戦」になったのである。

それでも楽観はできない

とはいえ、「今度こそ終わる」と断言するのは危険だ。実際、停戦後もイランは「停戦は実質的に無意味になりつつある」と警告している。 

最大の問題は、当事者同士の不信である。イランにとっては、「停戦しても、数か月後にまた攻撃されるのではないか」という疑念が消えない。

一方、イスラエル側には、「イランが戦力を再建する時間を与えるだけではないか」という警戒感が強い。

互いに相手の約束を信じていない以上、紙の上の合意だけでは不十分である。第三者による監視や、地域大国を巻き込んだ安全保障の枠組みがなければ、停戦は再び崩壊しかねない。

今度こそ本当に終わるのか

答は、「終わる可能性はこれまでで最も高いが、保証はない」だろう。

今回の戦争は、単なるイスラエルとイランの軍事衝突ではなかった。核問題、ガザ問題、レバノン、シリア、イエメン、そしてペルシャ湾の安全保障――中東全体の秩序をめぐる争いだった。

だからこそ、本当の意味での終戦とは、ミサイルが止むことではなく、「次の戦争を起こさない仕組み」ができることを意味する。

今回初めて、当事者は「どうやって戦争をやめるか」を具体的に話し始めたが、それは同時に「なぜこの戦争が起きたのか」という根本問題に向き合うことでもある。100日間の大破壊の末に、中東はようやく出口を探し始めた。

それが本当の終戦への第一歩になるのか。それとも、次の戦争までの長い休戦にすぎないのか。その答えは、これから数週間の外交にかかっている。

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