3回目の大阪都住民投票で敗北したら維新は消滅?

自民党と日本維新の会が今国会での成立を目指す「副首都法案」が、維新にとって思わぬ政治的リスクを突きつけている。

焦点は、副首都そのものではない。大阪都構想をもう一度問う場合、住民投票の対象を大阪府全域に広げられるかどうかである。

毎日新聞

3度目の大阪都住民投票は「大阪府」に拡大する予定だったが…

維新にとって、大阪都構想は単なる地方制度改革ではない。党の原点であり、存在理由そのものだ。大阪府と大阪市の二重行政をなくす。東京一極集中に対抗する。大阪を副首都にする。その大きな物語の中心に、常に都構想があった。

しかし、その都構想はすでに2度、大阪市民の住民投票で否決されている。2015年も2020年も、結果は僅差だった。維新から見れば「あと少し」だったともいえるが、反対派から見れば「市民は2度ノーを突きつけた」ということになる。

そこで今回、維新がこだわったのが、住民投票の対象を大阪市民だけでなく大阪府全域に広げる仕組みだった。大阪府民全体で問えば、都構想に賛成する票が広がる可能性がある。

大阪市外の有権者にとっては、大阪市廃止の痛みを直接受けるわけではない一方、大阪全体の成長や副首都化という大きな看板には賛成しやすい。維新にとっては、3回目の挑戦を勝ち抜くための重要な制度設計だった。

自民党から「憲法違反」との指摘

ところが、自民党内からは「憲法違反ではないか」という異論が出た。特定の自治体の制度を変えるには、当事者である住民の同意が必要だという地方自治の原則がある。大阪市を廃止して特別区に再編する話について、大阪市民以外の票で結論を左右するのは違憲の疑いがあるという批判である。

高市首相は維新の吉村代表に対し、住民投票関連の付則を削除するよう求めた。吉村氏は最終的に、法案成立を優先して譲歩する方向だという。これは維新にとって、かなり痛い譲歩である。なぜなら、住民投票の対象が大阪市民に限られるなら、3回目の都構想住民投票は、過去2回とほぼ同じ土俵に戻るからだ。

しかも、前回から時間が経ったとはいえ、「なぜ2度否決されたものをまた問うのか」という反発は避けられない。反対派は「三度目の正直」ではなく「三度目の押しつけ」と批判するだろう。

大阪市限定になったら敗北は必至

維新にとって最大の問題は、3回目も敗北した場合である。維新中堅は「市内限定になったら、都構想は間違いなく負ける。そうなると、維新は消滅するかもしれない」という。

維新はこれまで、「既得権益を壊す改革政党」として支持を広げてきた。その象徴が大阪都構想だった。ところが、その看板政策が3度も住民に否定されれば、改革政党としての説得力は大きく傷つく。「大阪で勝てない維新が、全国で何を訴えるのか」という問題に直面する。

今回の副首都法案をめぐる展開は、維新が連立政権の中でどこまで主導権を握れているのかという疑問も浮かび上がらせた。昨年までの維新は、衆院定数削減などをめぐり、自民党に圧力をかける側だった。だが今回は、自民党側が国民民主党との連携をちらつかせる中で、維新が譲歩を迫られる構図になった。

連立に入ったはずなのに、看板政策では押し切れない。離脱カードも切れない。こうなると、維新の支持者から見れば「何のための連立なのか」という不満が出てもおかしくない。

副首都法案は危険な賭け

副首都法案は、維新にとって勝利への道具になるはずだった。だが、住民投票の府域拡大が削られれば、むしろ3回目の都構想住民投票という危険な賭けへ追い込まれる可能性がある。

2度負けた勝負に、同じ土俵で3度目を挑む。しかも、負ければ党の原点そのものが否定される。維新にとって、これは単なる制度論ではない。党の存亡をかけた政治的な最終決戦になりかねない。

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