アップルは6月25日、MacBookやiPadの値上げを行なった。MacBook Neoは11万9800円と2万円の値上げ。27万9800円のMacBook Proは33万9800円と6万円も値上げされた。他のメーカーも続々と値上げを発表している。
この背景には、AIブームによるメモリー価格の上昇がある。とりわけ韓国のサムスン電子とSKハイニックスは世界のメモリー市場で6割のシェアを占め、かつてない好況を迎えている。サムスン電子が発表した2026年4〜6月期の営業利益は、前年同期比で約19倍になった。

AI向けHBMが汎用メモリーを押しのける
その原因は、AIデータセンターへの莫大な投資である。AIには、大量のデータを高速に処理するHBM(広帯域メモリー)が不可欠である。GPUが売れれば売れるほど、HBMの需要も膨らむ。メーカーは高収益のHBMへ生産能力を振り向け、そのあおりでPCやスマートフォンなどに使われる汎用DRAMやNANDの供給が不足している。
DRAM市場ではサムスン、SKハイニックス、マイクロンの3社が圧倒的なシェアを握っている。韓国2社だけで世界市場の6割前後を占め、メモリー価格の急上昇はこの寡占構造によるものだ。

韓国一強が中国勢を利する皮肉
価格高騰と供給不足は、韓国勢にとって短期的には大きな利益をもたらすが、長期的には別のリスクを呼び込む。それが中国メーカーの台頭である。長江存儲科技(YMTC)や長鑫存儲技術(CXMT)は、米国の規制を受けながらもメモリー分野で生産能力を拡大している。
これまで品質や信頼性の面で韓国・米国勢に劣ると見られてきたが、供給不足が続けば話は変わる。価格が高く、調達も難しいのであれば、顧客は代替先を探し始める。実際、アップルが中国製メモリーの調達を検討しているとの報道も出ている。HPやデルもCXMT製DRAMの採用を検討しているとされる。
これは韓国勢にとって皮肉な展開である。AIブームで価格を引き上げ、利益を最大化した結果、顧客が中国勢に流れるきっかけを作ってしまったからだ。
AIバブルの請求書は消費者に回る
サムスンとSKハイニックスは増産を進め、大規模な半導体工場を建設する計画もあるが、半導体工場はすぐには稼働しない。先端メモリーの量産には高度な技術と巨額投資が必要で、本格的な供給増が見込めるのは2027〜2028年以降である。
当面はメモリー不足と価格高騰が続く。AI投資が続く限り、HBM需要は強く、汎用品の供給制約も残る。AIブームは韓国メーカーに巨額の利益をもたらしたが、そのコストはあなたの買うPCやスマートフォンの価格に上乗せされるのだ。







コメント