メジャーリーガーが転ばない理由、教えてやろうか?

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(前回:「のどが渇いたら飲む」——そのルール、もう古い

いきなりだが、口の中の話をする。え、転倒予防の話じゃないの? って顔をするな。これが転倒予防なんだ。最後まで聞け。噛む力。これがすごい。

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「食べるための力でしょ?」——違う。いや、それもある。でも本命はそこじゃない。噛む力は、転びそうになった瞬間、君の体を支える隠れた守護神なんだ。厨二くさい? うるさい、事実だから仕方ない。

思い返してみろ。重い荷物を持ち上げる瞬間。つまずいて「うおっ」と踏みとどまる刹那。……奥歯、噛みしめてなかったか? あれはクセじゃない。体が勝手にやってるバランス制御だ。無意識の全自動システム。人体、優秀すぎるだろ。

しっかり噛むと体の軸が安定して、全身の筋力が約5〜8%上がるとも言われる。たった5%? と思うなかれ。足を上げる力、踏ん張る力、そのわずかな上乗せが「転ぶ」と「耐える」の分かれ道になる。紙一重の世界なんだよ、転倒って。

メジャーリーガーがマウスピースを噛んでるの、あれ歯の保護だけじゃない。奥歯でガッと噛める状態を作って、走る・止まる・踏ん張るときのパワーを底上げしてるわけだ。つまり一流のアスリートほど「噛む」を武器にしてる。転ばない体は、口から作られてたんだ。

で、悲しいお知らせ。噛む力、放っておくと衰える。筋肉と一緒だ。使わなきゃ落ちる。

そこで登場するのが——食後のガム。 ダサい? 地味? 知るか。気分爽快、虫歯予防、おまけに奥歯が自然と鍛えられる。これで転倒予防までついてくる。コスパ、バグってる。

噛み合わせのズレは、体をこっそり傾ける。

もうひとつ。噛む「力」だけじゃなく、噛み「合わせ」も効いてくる。

実験してみよう。片側の奥歯にだけ、グッと力を入れる。……体、その方向に傾かないか? 傾くんだよ。なぜか。あごから首、背骨、骨盤まで、全部筋肉でつながってるから。人体、一本の糸で吊られた操り人形みたいなもんだ。どこか一箇所が引っ張れば、全身が歪む。

噛み合わせがズレて、いつも片側でばかり噛んでると、その歪みが常態化する。体は傾き、バランスは崩れ、足元は不安定になる。じわじわ効いてくるやつだ。いちばんタチが悪い。

「最近、片側でしか噛んでない気がする」「まっすぐ噛んでるつもりなのに体が傾く」——心当たりがあるなら、歯医者に行け。入れ歯や噛み合わせを整えるだけで、ふらつきが減る人、本当にいる。転倒予防のラスボスが歯医者だった、なんてオチ、誰が予想した?

——というわけで結論。よく噛め。ガムを噛め。歯医者に行け。以上。今日の晩飯、いつもより5回多く噛んでみろ。そこから始まる。

※ここでは、本編のエピソードをラノベ調コラムに編集し直しています。

尾藤克之(コラムニスト、著述家、作家)

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