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令和8年(2026年)6月に執行された中野区長選挙。中野の未来を占うこの選挙戦において、最大の争点となったのは、「中野サンプラザの今後のあり方」でした。
自民党議員団は、この選挙で示された多様な民意を受け止め、中野駅北口全体の都市戦略を見直すべく、具体的な行動を起こしました。7月1日の中野区議会一般質問では、自由民主党を代表して市川しんたろう議員が登壇し、区の姿勢をただすとともに新たな方向性を提案しました。さらに、7月8日には、自民党会派と黒崎祐一衆議院議員が、酒井直人中野区長に対し、一体的再整備に関する要望書を直接提出いたしました。
【要望書を提出】
本日、中野区議会自由民主党議員団と黒崎ゆういち衆議院議員は酒井区長に #中野サンプラザ #中野ブロードウェイ の一体的な再整備に関する緊急要望書を提出しました。
拠点施設整備計画が白紙となった今こそ、中野駅前全体の長期的な都市戦略を。 pic.twitter.com/yWeaSvdLOg— 自由民主党中野総支部 (@JIMIN_NAKANO) July 8, 2026
まずは、今回の議論の契機となった選挙結果から、区民の皆様の民意を振り返ります。
| 順位 | 候補者氏名 | 届出政党 | 得票数 | 得票率 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 酒井 直人 | 無所属 | 46,057票 | 48.8% |
| 2 | 吉田 康一郎 | 無所属 | 30,891票 | 32.7% |
| 3 | 森川 たけひろ | 無所属 | 10,829票 | 11.5% |
| 4 | 石倉 こうじろう | 無所属 | 5,904票 | 6.3% |
| 5 | あきいけ 幹雄 | 無所属 | 682票 | 0.7% |
表 令和8年(2026年)中野区長選挙・区議会議員補欠選挙結果
中野区長選挙(投票率:35.05%)
現職の酒井区長が再選を果たしたことで、再整備を進めるという大きな方向性は、一定の信任を得たと言えます。しかし、現在の建物の存続や再利用を明確に訴えた候補、あるいは区長とは異なる政策を掲げた候補の得票数を合わせると、現職の得票数を上回る形となっており、多様な民意が示されたことは間違いありません。
この多様な声を今後の区政にどう生かしていくべきか、自民党が打ち出した提案の内容をご説明いたします。
1. なぜリノベーションでは駄目なのか? 行政は区民への納得のいく説明を
選挙で示されたのは、「建物を残したい」という愛着の感情だけではありません。「なぜリノベーションなどの手法では駄目なのか」という疑問に対し、これまで行政側が、区民全体の納得がいく形で十分な説明を尽くしてこなかったことへの不安や不信の表れでもあります。
自民党は、老朽化や耐震性能、維持管理・改修費用など、建て替えを選択した技術的・財政的な根拠について、区民に分かりやすい資料として改めて整理し、説明会やワークショップを再構築することを強く求めました。
多数の意見だけでなく、異なる考えを持つ区民の声にも向き合う、区長が掲げる「オール中野」の対話こそが、これからの街づくりの大前提となります。
2. 区の掲げる「DNA」を超え、世界がうらやむ施設へ
区は現在、サンプラザの再整備計画の改定において「中野らしさ」や「中野サンプラザから継承すべき価値」について言及しております。
しかし、その歴史を冷静に振り返ると、昭和48年の開館当初は「全国勤労青少年会館」であり、地方から上京した若者のための福祉施設に過ぎませんでした。その後、中野区に払い下げられ、時代の変化にあわせて徐々に形を変えていった経緯があります。
つまり、現在語られるサンプラザのあり方は、この半世紀の中で比較的最近になって形成されたものに過ぎません。
払い下げられるまでの経緯については以下を参照願います(8年の月日が経ち、状況は一変いたしました)。

また、中野サンプラザが中野区にあることは全国的に知られていますが、区外の人から「中野にサンプラザがあって羨ましい」と言われたことのある区民は、ほとんどいないのではないでしょうか。建物としての存在感はあっても、施設の機能やコンテンツそのものが、他都市から羨望の目で見られているとは言えないのが現状です。
施設経営という現実的な視点に立っても、中野サンプラザの売り上げや街への経済効果は、区民の利用だけで成り立っていたわけではありません。コンサートやイベントを目的に、全国各地、さらには世界各地から訪れる「来街者」が足を運び、消費活動を行うことで、初めて成り立っていたのです。
だからこそ、新たな施設づくりにおいて大切なのは、過去への過度な固執によって新施設の機能や事業性を狭めてしまうことではなく、「新たなNAKANOの未来を描く」ことです。区が掲げるサンプラザの価値の継承にとどまることなく、従来の枠組みを超えた魅力あるコンテンツや先進的な機能を備え、日本中、そして世界中の人々から「中野にあの施設があることが羨ましい」と思われるような、世界が羨む都市の新たなシンボルの創造を目指すべきです。
3. 【ブランド流出を防ぐ】サンプラザとブロードウェイの一体的再整備
今回の提言で最も注目していただきたいのが、中野サンプラザの議論を単体で完結させず、もう一つの巨大な都市資産である「中野ブロードウェイ」との一体的な都市戦略として捉えるという視点です。
サブカルチャーの聖地として世界的なブランド力を持つ中野ブロードウェイですが、建設から約60年が経過し、建物の老朽化への対応や防災性能の向上が差し迫った課題となっています。しかし、中野ブロードウェイに入居している個性的な店舗の多くは「テナント」であり、自前の床、すなわち区分所有権を持っていません。そのため、長期間に及ぶ単純な建て替え工事を行うことになれば、営業を継続するため、店舗が相次いで中野区外へ移転してしまうという深刻なブランド流出のリスクをはらんでいます。
多くの店舗にとって、営業を継続できる仮移転先の確保は、中野のブランド資産を維持するための絶対条件です。そこで、中野駅北口エリアのポテンシャルを最大限に生かした、以下のような一体的な利活用のスキームを検討すべきだと提案しています。
- 中野サンプラザをリノベーションによって復活させ、中野ブロードウェイの店舗や住居の「仮移転先」として活用する。
- 本年度(令和8年度)に解体設計、来年度(令和9年度)に解体が予定されている「旧中野区役所高層棟」の跡地を活用し、仮店舗を設置する。
ところで、中野ブロードウェイは旧建築基準法(および前身の市街地建築物法)の「31メートル制限」時代に建てられました。市街地建築物法「31メートル(百尺)」は、大正8(1919)年から昭和38(1963)年まで日本で適用されていた建物の絶対高さ制限です。消防車の活動限界や構造技術の限界を理由に定められましたが、昭和38年の法改正により撤廃され、現在の「容積率制限」へと移行しました。
当時は、現代でいう容積率を限界まで増やすために天井を低くする工夫がなされており、現在の指定容積率600%を上回る、実質750%程度の規模で建設されたと聞きます。

図 中野ブロードウェイ周辺の現状と将来像(中野五丁目商業エリアまちづくり基本方針)
初めて中野ブロードウェイに行った人の「あるある」として、入ってすぐのエスカレーターで2階に上ったつもりが3階にいた、というものがあります。これは天井が低いためです。館内の吹き抜けも、その閉塞感を解消するために設けられたものだそうです。

テナントを区外に逃がさず、この巨大な規模の資産を次の世代へ継承するには、駅前にこれほど広大な活用空間を確保できる「今、このタイミング」しかありません。
サンプラザエリアの方向性を個別に決めてしまうことは、将来のブロードウェイ再整備の選択肢、ひいては中野の都市ブランドの未来を、将来にわたって狭めるリスクを意味します。これらの方策は、長期的な都市戦略の中で十分に検討する価値があると考えます。
4. データなき闇を照らせ!未来の価値をリアルに測る「攻めの暫定活用」
現在、再整備計画が一度白紙となったことで、中野サンプラザを遊休化させないための暫定活用が焦点となっています。自民党は、新たな区税負担を伴わない形での「民間事業者からの提案公募」を強く要望しています。
中野区は、かつての中野サンプラザ運営時の売上帳簿など、詳細なデータを入手・検証できない状況にあります。従前、中野サンプラザを経営していた株式会社まちづくり中野21が、それらのデータを民間の倉庫に預けていましたが、同社が解散したため、倉庫から取り出すことができなくなったとのことです。
今回の暫定活用は、単なるスペースの有効活用にとどまりません。実際の利用実績や需要データ、特に注目されるコンサートホールの適正規模や事業採算性を実地に検証する「社会実験」として機能させ、その実証データを将来の本整備計画へ厳密に反映させるべきです。
5. 目先の採算ではなく、次の数十年先を見据えた議論を
街づくりとは、単に古いビルを壊して新しいビルを建てるコンクリート中心の事業ではなく、「これから中野区がどのような都市を目指すのか」という未来のビジョンそのものです。
中野サンプラザと中野ブロードウェイ。この2つの個性を別々に議論するのではなく、中野駅北口全体の都市戦略として掛け合わせることで、他の都市には決してまねのできない、唯一無二の価値が生まれます。
目先の採算性や短期的な政治判断にとらわれることなく、今後数十年、そして次の世代に誇れる中野を、区民とともに描いていく。自民党議員団は、この長期的な視点を持って区民との対話を重ね、今後の区政に取り組んでまいります。







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