ずいぶん前ですが、私が親しくバンクーバー日系社会あるいはビジネスを通じてご縁があった方がALSを患いました。彼はそんな日々も一日も休むことなく仕事をし続け、現地法人の社長と言う立場で多数の部下に指示を出し、社長方針を伝え続けました。そんな闘病生活も確実に症状悪化が進行し、月日が経ち、ついにホスピスに移ったという連絡を受け、見舞いに行った際は表現すら憚るような状況に陥っていましたが、頭は快活であり、普通に会話ができるのです。何故、こんなことになるのか、様々な思いを感じたのは実は私の父も同じような難病で亡くなったからであります。
父親の場合、確か2000年頃だったと思いますが、日本出張に来た私を「成田まで送ってやるぞ」といわれ車に乗ったのですが、どうも運転が怪しいのです。車線の間をうまく走れず、なんとなく隣の車線とまたがる時が多いのです。何度かそれを指摘して直すのですが、自然にずれていく感じでした。決定的だったのは成田の出口を出て何度か、道の分岐があるのですが、あるところで自分の思った方向に曲がれず分岐の間にある安全コーンにぶつかったのです。(スピードが遅かったので車に傷すらほとんどつかなかったぐらいでした。)その時、これは運転は無理、と判断し、父親に安全に東京まで運転して帰ったら免許を即返納すべき、と進言、父親は何故か素直にそれを聞き入れたのでした。
それから病院に行ったところ、難病である脊髄小脳変性症であることが判明しました。この病気、ご記憶にある方もいらっしゃるかもしれませんが、ドラマの「1リットルの涙」の病気と同じであります。あのドラマをのちに見た時、難病と言われ、ドラマのネタになるような話が実は自分の父親も患ってしまったことは改めて大きな衝撃でありました。
ALSと変性症は似ていますが、筋力が違います。ALSは落ちますが、変性症は落ちません。ただ、いずれにせよ脳から手足への運動指示ができなくなり、手足の先の方から徐々にいうことを聞かなくなる、、実に苦しい病気なのであります。
ところで発達障害の子供が増えているとされます。実際に増えたというよりそういう病気を意識し、医学的あるいは医療として見ることが増えたために顕在化したという方が正しいのでしょう。

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ある知り合いの事業者がお亡くなり、その御親戚が会社を継ぐことになったのですが、その子がアスペルガー症候群らしいと聞きました。一度だけご挨拶したことはあり、その際にはごく普通に対応していたのですが、後日、様々な話を聞く限り、とても中堅会社の社長としてやっていくには難しい感じでした。その頃、まだアスペルガーという言葉はまだ一般的ではなく、思わず、書籍を買って読んだぐらいです。
発達障害の子供が社会問題として顕在化したのはその後でした。何故そのような脳の病気が生じるのか、私は全く知見がないのですが、思った以上に社会問題化しているのかもしれません。
私の友人の小学生の子供はディスレクシアという文字が全く記憶できず、言葉の単語の切り方が全然理解できない状況にあります。「にわにはにわにわとりがいる」という言葉を一般の人は上手く区切りを見つけて理解することができますが、ディスレクシアのケースではその区切りは全くわからないのです。多分、こどもは「わにがどうしたの?」と聞くかもしれません。親は国語のテストが100点満点で2点だったと嘆いています。その子供も知っていますが、普通に会話すれば普通に理解はしますが、幼稚園児ぐらいの幼さを感じました。社会は技術が進化したので文章を読まなくても聞かせて理解させることはできるし、芸術面の才能は見出せたのでなにか道があればよいなと思います。
多分、我々が今生きる社会にはさまざまな障害を持つ方々が同居しているのだと思います。ただ、それは一般人からはあまり見えないのです。このようなギリギリを頑張って生きていく人たちにどう手を差し伸べていくのか、これはもしかしたら社会が発達障害や脳の問題をもっと意識することからスタートするのでしょう。
我々はガンについては比較的高い知識を持っています。それはそうなるリスクが高いからであります。発達障害や脳を原因とする病気になる人はまだそう多いわけではありません。「難病」と言う括りでありますが、大人になってからの病気は一般社会への対応ができなくなる宣言でもあります。それは程度が進んだ認知症でも同じであります。つまり大人から子供まで身体機能のみならず、脳が健全でしっかり機能することは喜びであり、それをもっと理解する必要もあるのでしょう。
脳の難病や発達障害は我関せずではなく、社会がどう理解し、受け入れていくかを考える時代になったとも言えそうです。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年7月26日の記事より転載させていただきました。







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