17歳の冒険家・ゆたぼんのXへの投稿が、別の意味にすり替えられて拡散されている。
発端となったのは、ゆたぼんが中国側の反論に対して投稿した次の一文だ。
これに対して中国が反論してるみたいだけど、核を保持して撃ってきた国が何を言ってるの?
ところが、匿名性の高いまとめ系アカウント「ALPHA」は、この発言を次のように紹介した。
【悲報】少年革命家ゆたぼん(17)「日本に核爆弾を落としたのはアメリカではなく中国」
しかし、ゆたぼんは「中国が日本に核爆弾を落とした」とは一言も書いていない。元の投稿と比較すれば、後者は引用でも正確な要約でもなく、投稿者の解釈をゆたぼん本人の発言であるかのように作り替えたものだと分かる。
ゆたぼんの日本語が稚拙だったことも事実
もちろん、ゆたぼんの文章に問題がなかったわけではない。
「核を保持して撃ってきた国」という書き方では、「中国が核を撃ってきた」と読む人が出ても不思議ではない。「核兵器を保有し、日本近海に弾道ミサイルを撃ち込んできた国」と書けば、誤解は避けられたはずだ。「核兵器」には通常「保持」より「保有」を使う方が自然でもある。
ゆたぼん自身はその後、「誰も核を撃ったとは書いてない」「中国が核を保持してミサイルを撃ってきたのは事実」と説明している。
その説明に対応する事実もある。中国軍は2022年8月、台湾周辺で9発の弾道ミサイルを発射し、防衛省はうち5発が日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下したと推定している。ゆたぼんが言いたかったのは、核保有国であり、日本のEEZ内にも弾道ミサイルを落下させた中国が、日本の核保有論を一方的に批判できるのか、ということだったのだろう。
一方、1945年に広島と長崎へ原爆を投下したのは米国である。広島市の資料にも、米国が投下目標を選定し、8月6日に広島へ原爆を投下した経緯が明記されている。ゆたぼんがこの史実を否定した形跡はない。
誤読と捏造は別物である
ゆたぼんにも落ち度はある。安全保障や核兵器という重大なテーマについて発信するなら、誰が何を「撃った」のかを省略せず、誤解されない文章を書くべきだった。SNSでは、曖昧な一文が瞬時に切り取られる。相手に隙を見せたという批判は免れない。
しかし、文章が稚拙だったことと、本人が述べていない発言をかぎ括弧に入れて拡散することは別問題だ。
「中国が核を撃ったと読める」と批判するところまでは意見である。だが、「日本に核爆弾を落としたのは中国だと発言した」と断定すれば、元の発言を別物に変えてしまう。これは批判ではなく、藁人形を作って攻撃する行為に近い。
まして相手は17歳である。政治的な発言をした以上、年齢を理由に批判を免れるわけではないが、匿名の大人たちが言葉尻を捕らえ、してもいない発言を作って集団で笑いものにする光景は、あまりに大人気ない。
ゆたぼんに必要なのは、より正確な日本語を身につけることだ。しかし、それ以上に大人の側に必要なのは、相手が実際に言ったことを批判するという小学校でも習う最低限のフェアネスではないだろうか。








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