食料品消費税1%を強行へ:高市首相は自民党をまとめられるか

高市早苗首相が、飲食料品の消費税率を現行の8%から1%へ引き下げる方針を固めた。2027年4月から2年間の時限措置とし、早ければ7月30日にも方向性を表明する見通しだ。

高市首相は28日の自民党役員会で、「私も決断する時は決断をする」と述べた。その後、減税慎重派の麻生太郎副総裁、鈴木俊一幹事長と会談し、理解を求めたとみられる。政府は8月上旬にも方針を正式決定し、秋の国会に関連法案を提出する方向だ。

なぜゼロではなく1%なのか

高市首相が衆院選で掲げたのは、食料品の消費税を2年間ゼロにする政策だった。それが国民会議の議論を経て、1%に変わった。小売店のシステム変更がゼロだと大変だが、1%だと半年でできるという理由だ。1%分は補助金で埋め、これで売り上げの減る飲食店にも補助金をばらまく。自民党お得意の「選挙区対策」にも使いやすい。

国民会議の中間取りまとめ案では、2027年4月から2年間、軽減税率の対象となる飲食料品の税率を1%にする。同時に、中低所得の現役世代を対象とする所得連動型給付を導入し、将来的な給付付き税額控除につなげる構想となっている。

制度上の都合を優先した妥協案なのだろうが、国民から見れば「ゼロにすると言っていたのに、なぜ1%なのか」という疑問が残る。1%でも減税には違いないが、政治的には説明しにくい数字である。

与野党ではなく自民党内が最大の難関

高市首相にとって最大の障害は野党ではない。自民党内の財政慎重派だ。党内では、財源が明確でないことや、国債市場への影響、2年後に本当に税率を戻せるのかといった慎重論が根強い。麻生副総裁は、首相が決断するなら反対しない意向を示したと報じられているが、すべての議員が納得したわけではない。

国民会議で示された案では、減税と所得連動型給付を合わせて約5兆円の財源が必要とされる。政府が恒久財源を示せなければ、結局は国債発行か、別の増税で穴を埋めることになる。

野党側も素直に賛成するとは限らない。2年間だけ1%にして、その後8%に戻せば、2029年には「7%の大増税」が待っていると批判できるからだ。減税を主張してきた野党にとっても、高市首相に手柄を独占させる理由はない。

減税を決めた瞬間から出口論争が始まる

高市首相が1%への引き下げを決断すれば、衆院選の公約を一定程度実行したことになる。物価高に苦しむ国民に対しても、わかりやすいアピールになるだろう。

しかし、食品価格そのものが上昇し続ければ、7%分の減税効果は短期間で相殺される可能性がある。財政悪化への懸念が強まれば、国債金利の上昇や円安を通じ、別の物価高を招く恐れもある。市場はすでに高市政権の拡張的な財政政策を警戒している。

しかも、減税を始めるより終わらせる方がはるかに難しい。2029年に8%へ戻そうとすれば、野党だけでなく自民党内からも「増税反対」の声が噴き出すだろう。時限措置として始めた減税が、そのまま恒久化する可能性もある。

高市首相が決断すべきなのは、税率を1%にすることだけではない。5兆円規模の財源をどう確保し、2年後にどの制度へ移行するのかという出口まで示す必要がある。「決断する時は決断する」という言葉は勇ましいが、本当の政局の大荒れは、決断した後から始まる。

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