「暇の過ごし方」でその人の未来が見える

黒坂岳央です。

「現代人はスマホ依存症が多い」とよく言われる。実際、MMD研究所が2024年に18〜69歳の男女1万人を対象に行った調査では、「かなり依存している」が23.4%、「やや依存している」が39.1%で、合わせて62.5%がスマートフォンに依存していると回答している。

東京では「スマホ認知症」外来まで開設され、予備軍は1,000万人から2,000万人と推定されているという。「世の中、スマホいじりをする人ばかり」という実感とデータは一致しており、もはや依存症でない人間の方が少ないとすら言える状況だ。

現代人は「暇をスマホで潰す」という生活をしているが、そうでない人もいる。筆者の持論として「暇の過ごし方でその人の未来が見える」と思っている。以下、持論を述べたい。

SunnyVMD/iStock

スマホに命を捨てている現代人

どこにいても現代人は四六時中、ずっとスマホをいじっている。

電車やバスの移動中、市役所や病院の待ち時間、カフェで友達といるときでさえ、ずっーーーーーーとスマホをいじる。おそらく、帰宅後は持ち時間の多くをスマホを触っているだろう。

一体、何をあんなに熱心にスマホを使っているのか?自分の人生を変えるための自己投資的な学習や情報収集、または仕事なら大いにありだと思うが、実際には「暇つぶし」。ショート動画とSNS、これである。

お金には「浪費、消費、投資」という色分けができるが、時間も全く同じだ。仕事や自己研鑽に使う時間は投資であり、家事などの雑用は消費、そして暇つぶしは完全に浪費である。

もちろん、その人が人生の時間を何に使うかは完全に自由で自分がとやかく言うのは「余計なお世話」ではあるが、スマホを持った現代人は持ち時間の多くを浪費にまわすようになったと感じる。

筆者自身、スマホを持ち始めた時に短い期間だったが、スマホに夢中になった時があった。だがある日、なんとなくスクリーンタイムを見てその長さに驚愕した。「自分は毎日、スマホにせっせと命を捨て続けている」と感じたからだ。

莫大なスクリーンタイムを見ても、何一つ記憶に残る使い方をしていない。あたかもスマホを使っている時間は、人生の空白であるかのようにポッカリと記憶がない。だが確実に時間は溶けてなくなった。「これはまずい」と感じてスマホを遠ざけた。

そこからは気持ちを完全に切り替え、今は仕事にしか使わない。大体30分未満、短いと1日10分未満という日もある。スマホではSNSもショート動画も一切使わない。子供にパソコンは使わせてもスマホは使わせないようにしている。

「暇=苦痛」と解釈する現代人

「暇つぶし」という言葉を使う人が多い。言葉狩りをするつもりなんてないし、文脈によっては有効だとは思うが「暇は悪」「見つけたら片っ端からスマホで塗り潰す」という考えは危険だと思っている。なぜならその「暇」も人生の一部、命そのものであり、暇は有効活用すれば人生を変える力があるからだ。

筆者の場合、これまで人生が大きく変わった瞬間は必ず「暇な期間」だった。1年ニートをしたが、「もう遊びあきてつまらない」と思ったのもあって派遣社員になった。4年フリーターをやって「もうモラトリアム、自由な人生に面白さがなくなった」と思って大学進学を目指した。

転職も独立も妻の応援がきっかけではあったが、比較的ゆったりとした時間があったから思い立った。脱サラした今でも、色んな仕事をしているが毎日意識的に暇を作るようにしていて、その暇から新たな発想が生まれると感じる。

脳は暇な時に覚醒する

筆者は「脳は暇にすると覚醒する」という強い感覚がある。だから自分の脳を起動するためにも、暇にすることが重要だと思っている。

夕方、仕事を終えた後にウォーキングや買い物をする。イヤホンなどはつけない。せっかく買った高いワイヤレスイヤホンはノイズキャンセリングでデジタル耳栓くらいにしか使わない。だが頭には仕事の未解決課題が山ほど詰め込まれている。

この状態でスーパーの魚売り場で魚を選んでいる時、公園で子供がブランコに乗っているのを見かけた時、急に面白い発想が生まれることがある。この記事も、YouTube動画の企画の多くも、机の上ではなくこうした時間に生まれている。

市役所や病院の待ち時間も同じで、大半の人はスマホをいじって過ごす。筆者は読書をするか、ノートに浮かんでは消える言葉をひたすら書き続けている。月一で東京に行く移動中も同様で、読書をしたり、吊り革広告を眺めたり、機内誌を読んだりしている。そういう時にいきなりアイデアが出てくる。

ここに共通する構造は、高負荷の未解決課題を脳に持ち込んだ状態で、軽い読み物、選ぶ作業、歩くことをしていると、脳のバックグラウンドで課題処理が進み、ふとした瞬間に結合するというものだ。

ところが昨今は「ながら作業」として、四六時中、イヤホンをつけて情報収集をするスタイルが流行っている。「無駄を作らない」というもので昔は自分もそうしていたが、これをすると脳の処理能力を専有してしまい、このバックグラウンド処理の余地を潰す。

「スキマ時間に何をしたらいいですか?」質問されることがあるが、自分は「脳に暇という餌を与えなさい」と答えたくなってしまう。

暇の過ごし方がその人の未来

「暇をどう過ごすか?」自分はその過ごし方を見ればその人の未来が見えると思っている。

たとえば会社員も土日祝をベッドの上でスマホいじりをする人と、スキルアップや副業をする人とでは5年後、10年後に大きな差になる。

自分はテレビ出演やセミナーなどで東京によく行くが、電車内を見渡すと必死に読書や勉強をする人は100人に1人いるかどうかで、ほぼすべての人がスマホいじりをしている。想像だが、そのスマホでやることはショート動画かSNSだ。

おそらく今そうしている人は10年後も莫大なスキマ時間をSNSとショート動画で埋め尽くす。

手前味噌のようでおこがましいが、筆者は英検1級の英単語を電車の移動中の時間で覚えた。「自分は頭がいいから出来た」など稚拙な事を言いたいわけではなく、「電車の移動タイムは単語の暗記」がルーチンになっていたからだ。

自分が英検1級に合格できたのは、電車内の単語暗記が大きな力になったという感覚がある。もしも電車移動をスマホで遊ぶのに使ってしまったら絶対に合格できていない。

暇に何をするかはその人の自由。好きにすればいい。だが人間は習慣によって作られる。今、毎日やっている暇の使い方は10年後、20年後、ほぼ確実に同じことをしているだろう。1日3時間、20年積み上げたら21,900時間。人生を大きく変えるのに十分な時間である。

2026年7月、全国の書店やAmazonで最新刊絶賛発売中!

Z世代を甘やかすな」(著:黒坂岳央)

アバター画像
働き方・キャリア・AI時代の生き方を語る著者・解説者
著書4冊/英語系YouTuber登録者5万人。TBS『THE TIME』など各種メディアで、働き方・キャリア戦略・英語学習・AI時代の社会変化を分かりやすく解説。

コメント投稿をご希望の方は、投稿者登録フォームより登録ください。

コメント