消費税減税に「河野太郎の反乱」で永田町は騒然

高市首相が消費税減税に踏み切ろうとする中、自民党内から公然と反対する声が上がり始めた。その先頭に立ったのが河野太郎元外相だ。高市首相が自民党臨時役員会で食料品の消費税率を1%に引き下げる方向で党内調整を指示したのと同時である。

河野氏は7月30日、飲食料品の消費税減税について「財源のめどが立っていないなど、いろいろな問題が指摘されている。税率を下げることには反対だ」と明言した。減税ではなく給付によって対応すべきだとの考えも示した。(FNN)首相の決定に、閣僚経験者が「反乱」を起こすのは異例だ。永田町は騒然となった。

河野氏だけではない「反高市減税」

反対しているのは河野氏だけではない。石破茂前首相も7月26日、高市首相が進める消費税減税について「減税しても物価が上がればどうするのか」と強く批判した。税調の「インナー」だった小渕優子氏は税調を辞任した。

石破氏は、減税による財源不足が円安や金利上昇を招けば、食料品やエネルギー価格がさらに上がる可能性を指摘。「その時だけ良ければいいようなことを言って本当にいいのか」と高市政権の姿勢を批判している。(テレ朝NEWS)

これは単なる税制についての意見の違いではない。高市首相が自らの看板政策として進める消費税減税に対し、石破前首相や河野元外相という自民党の有力政治家が相次いで異論を唱えているからだ。高市首相の決断をめぐって、自民党内の亀裂が表面化し始めた。

そもそも自民党内はまとまっていない

もともと自民党内では、食料品の消費税減税をめぐって意見が割れていた。2月の衆院選で自民党は、給付付き税額控除までのつなぎ措置として、飲食料品の消費税を2年間ゼロにする方向で検討を加速すると公約した。(内閣府)

ところが実務段階に入ると、財源やレジ改修、農林漁業者や外食産業への影響など、さまざまな問題が浮上した。その結果、政府・自民党が進めているのは「0%」ではなく「1%」である。

なぜ1%なのか。経済産業省の説明では、0%への変更にはレジシステムの改修などで最大1年程度必要だが、1%なら最大半年程度で実施できるという。選挙では「ゼロ」を掲げ、実施段階では「1%」。これでは党内から異論が出るのも当然だろう。

高市首相は引くに引けなくなった

高市首相は、すでに引くに引けないところまで来ていることだ。もとはといえば、食品消費減税は総選挙で中道改革連合の打ち出した公約だったが、これに対抗して自民党が「国民会議で減税の検討を加速」という公約を出した。

これだけなら「検討した結果、両論併記でした」という結論でもいいはずだが、高市氏が前のめりになった。党内で孤立し、「積極財政」の材料が消費減税ぐらいしかなくなったからだ。

ただ党内の反対を押し切って減税を実施すれば、財政規律を重視する議員との対立が決定的になる。自民党内では消費税減税をめぐって潜在的に意見が二分されており、このまま実施すれば「相当しこりが残る」との声も出ている。(FNN)

高市首相にとって、これはかなり危険な状況だ。減税するか、しないかという政策論争だったものが、いつの間にか「高市首相についていくのか」という党内政局に変わりつつある。

消費税1%が「高市降ろし」の引き金になる?

さらに問題なのは、日本経済がすでに物価高と円安に直面していることである。ここで財源を曖昧にしたまま減税を行えば、財政悪化への懸念から長期金利や円相場に影響が及ぶ可能性もある。

石破氏が指摘するように、減税によって家計に数千円、数万円の恩恵があっても、それ以上に円安とインフレが進めば意味がない。河野氏の「財源のめどが立っていない」という批判も、高市政権にとって痛いところを突いている。

高市首相は物価高対策として消費税を下げようとしている。しかし、その減税が財政不安を強め、円安と物価高を加速させれば、本末転倒である。そして何より深刻なのは、自民党内でその疑問が公然と語られ始めたことだ。

河野太郎氏が反対を明言し、石破前首相も批判する。これに財政規律派の議員が続けば、消費税減税は単なる経済政策では済まなくなる。わずか「1%」の消費税をめぐる攻防が、高市政権を揺るがす政局の導火線になる可能性が出てきた。

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