プロバスケットボールのレブロン・ジェームズ選手は NBAの通算最多得点記録を更新し続けた際、「記録は破られるためにある」と語ったというが、「最高気温も破られるためにある」というわけではないだろうが、ウィーンで4日、最高気温が41度となり、前日の40.1度を超えて新記録を達成した。オーストリアはウィーンタースポーツのメッカ。その首都ウィーンで最高温度が40度を超え、41度を記録するなって予想した国民はいただろうか。

最高気温41度を記録したウィーン、オーストリア国営放送(ORF)からスクリーンショット
オーストリア国営放送(ORF)は4日、「火曜日の午後、オーストリアで観測史上最高気温が記録された。GeoSphere Austriaのデータによると、同日午後、ウィーンのスタンマースドルフで41度を観測した」と速報で報じた。
しかし、気温はさらに上昇する可能性があるというのだ。「現在続いている熱波は、4日から5日にかけてピークを迎える見込みだ。気象専門家も、5日にも最高気温が記録されると予想している。気象機関「GeoSphere(ジオスフィア)」はすでに、ウィーン、ブルゲンラント州北部、ニーダーエスターライヒ州北東部を対象に、最高レベルの気象警報である「赤色警報」を発令した。
気象情報サービス「Tauernwetter(タウエルンヴェッ ター)」の分析によると、こうした極端な高温は深刻な干ばつ状態に起因しているという。土壌から蒸発する水分がほとんど残っていないため、冷却効果が失われている。同サービスは4日の発表の中で、水が蒸発する際には空気中からエネルギーを奪い、気温の上昇を抑える働きがあるが、東部地域では、この「気化熱による冷却効果」がほとんど機能していないと報じていた。
当方が1980年に初めてウィーン入りした時、知人は早速、「君、しっかりとしたマンテルを買えばいいよ」とアドバイスをしてくれた。冬になれば、気温がマイナスになり、長い寒いシーズンを迎えるからだという。知人のアドバイスは正しかったが、2000年に入ると、冬といってもあまり雪が降らなくなった。そしでここ数年、ホットな夏を迎えるだけではなく、蒸し暑いのだ。昔は夏、気温が30度を超える日があったとしても空気は乾いていた。日本のような蒸し暑い夏ではなかった。ワイシャツなども1週間以上着ていてもあまり汚れなかったものだ。
当方は45年以上、ウィーンに住んでいるが、気象状況が変わってきたことを体で感じる。その代表的例が最高気温41度だ。中東ヨルダンの首都アンマンに取材に行き、街の中央に立った時、生熱い空気が体を包んだ。その時、「ここは中東だ」と強烈に感じた。現在、ウィーンの市中を汗を流しながら歩くと、「ここは本当にウィーンだろうか」といった思いが沸いてくる。あの過ごしやすかったウィーンはどこに行ってしまったのか。
4日には猛暑の影響で各地で森林火災が発生した。ブルゲンラント州では火災により高速道路S31号線が閉鎖された。また、ブレンナー鉄道の路線上でも火災によるトラブルが発生した。東部の2つの州の境界付近、ロバウ(Lobau)地域のミュールヴァッサー近くで大規模な火災が発生した。初期の推定では、約18ヘクタールが被害を受けたという。ウィーン消防局の広報担当者は、森林や草地を含む植生火災であったと報告している、といった具合だ。
気候変動に伴う長期的な干ばつが、オーストリアで深刻な問題を引き起こしている。農業への影響に加え、国内の一部地域では飲料水の供給も懸念材料となっている。多くの地域では節水を呼びかけているほか、厳しい節水規制を導入する自治体も出てきた。例えば、洗車や庭への散水、プールの注水を控えるといった節水だ。
もちろん、ウィーンだけではない。隣国イタリアでも程度の差こそあれ灼熱の日々で国民も旅行者も苦しんでいる。イタリアの主要27都市すべてで最高レベルの警報発令が発令された。保健省は4日、この夏4度目の熱波の到来を受け、「レッドアラート(最高警戒レベル)」が発令中であることを発表した。これは、健康上の緊急事態が生じる恐れがあり、国民全体にとって深刻なリスクがあることを示している。同省によると、主要27都市すべてに最高レベルの警報が適用されるのは今年初めてという。イタリアの一部地域では気温が40℃に達しており、気象専門家は週末まで気温の低下は見込めないと予測している。
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2026年8月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。







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