管理職は罰ゲーム!部下が退職させる「逆パワハラ」

黒坂岳央です。

近年、「逆パワハラ」のような状態が起きている。かつては上司が強い権限で部下を押さえつけるというものだったが、まるっきり逆に部下側が上司に強く批判して上司が心を病んで退職するというものだ。

少子化によって若手人材の採用難が進み、企業にとって若手社員は希少資源になった。その結果、企業は若手の離職防止を重視するようになった。一方で、その負担は管理職側に集中している。

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管理職は罰ゲーム

かつて管理職は、出世の象徴だった。

責任は増えるものの、権限も給与も増え、組織を動かす立場になることには一定の魅力があった。だが現在、管理職は「責任ばかり重い役職」と見られるようになっている。

管理職とは名ばかりで、実際にはプレイングマネージャーも少なくなく、自分の仕事とは別に部下の面倒を見る。それでいて残業代はなく、逆パワハラまであるとなればやりたい人が減って当然である。

特に問題は「優秀な人ほど管理職を避ける傾向」があるということだ。外部市場で評価されるような人材は、わざわざ高リスクな管理職を選ばない。自分の仕事の技術を磨ぐ方が気楽だからだ。

結果として、外部市場で評価される人材ほど管理職以外のキャリアを選択し、管理職職務の魅力低下による逆選択が起きる可能性がある。これでは誰も得をしない。企業競争力にも影響するだろう。

ITとAIが上司の米国

米国企業では、こうした問題に対して別の方向で対応してきた。

人間関係や管理職個人の力量に依存するのではなく、成果基準を明確にし、評価を数値化し、問題があれば早期に入れ替える仕組みである。

オンボーディングプログラムやeラーニングなどなど、誰が上司になっても一定水準の育成ができる仕組みを重視してきた。理由は単純で、米国では転職が多く、管理職が数年で入れ替わるためである。

さらに近年では進捗管理、評価資料作成、スキル分析、面談記録など、従来管理職が担っていた業務の一部もAIで対応しているところも出ている。こうなればパワハラもなく、第3者から観測できる形で仕事のパフォーマンス記録が取れるので訴訟も回避できる。

日本企業はAIどころか、ITやDX化も遅れているが責任だけを管理職に背負わせる状態を続ければ、管理職離れはさらに進みその穴をテクノロジーが埋める可能性もある。

仕事の人間関係は「数値に現れないファジーな評価」がなされる。仕事へのコミットメントを買われて、実力以上の仕事を任される、といった引き上げはどこの会社でもあることだ。だが、あまりに行き過ぎた企業ホワイト化でIT化が進めば「結果以外、一切見ない」といった傾向にいくのではと懸念している。

仕事が抜群にできる優秀な人はその方が報われるが、世の中の大多数はそうではないからだ。

そして仕事は単純な成果だけで成立しているわけではない。人間的な信頼関係や、上司から期待されて成長する経験もまた、仕事の満足度を左右してきた。過剰なホワイト化で仕事を通じた幸福感はむしろ、得づらくなると筆者は見ている。

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Z世代を甘やかすな」(著:黒坂岳央)

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働き方・キャリア・AI時代の生き方を語る著者・解説者
著書4冊/英語系YouTuber登録者5万人。TBS『THE TIME』など各種メディアで、働き方・キャリア戦略・英語学習・AI時代の社会変化を分かりやすく解説。

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