オタクの深さと財布の浅さ:若年層の就職率の悪さが海外アニメブームにも影響

先般バンクーバーで行われた、アニメレボリューションには今回で5回目の参加。私の役割は自社ブースでの販売活動と共に他のブースや人流の動きをチェックすることも重要な使命の一つです。今年はブースが200近くと過去最大となる一方、買い物袋を手にしている人が極端に少なくなったのが印象的でした。

アニメレボリューション公式サイトより

これは5月にカルガリーのアニメ エキスポに行った際も5万人の人出に対して売り上げが見合わなかっのはイベントに人は来るけれど買わずに雰囲気だけ楽しむ人が増えていたからと分析しています。我々も今回、昨年比売り上げは78%程度でしたが、その後のSNSなどを含め出店者の状況を探ると散々というところばかりで傍で見ていて「オタク、出店費用も賄えなかったのでは?」というところも続出だったはずです。

アニメイベントの最大の面白さは来ている人たちのオタク度自慢で、深堀している人が非常に多いことがポイントです。コスチュームもハローウィンパーティーのようなペラペラのものではなく、上から下まで完全にアニメのキャラになりきることが重要でアニメイベントの定番であるコスプレ大会は人気のバロメーターとも言えます。

ところが今年もコスチュームは例年通り派手ですが、「それはやりすぎだろう?」という度肝を抜くような人は少なくなったと思います。ブースで手伝ってくれたアニメ好きの若手のバイトさんが「みんなお金がないんじゃないの?」の一言になるほど、そうかもね、と思わずうなずいてしまいました。

アニメイベントは参加型イベントなのです。日本でいう夏祭りで盆踊りするような感じ。浴衣着て踊るのはタダですよね。それと同じ。あとは縁日でお金を使うかどうかと同質なのです。ただし、日本の祭りは参加費無料ですが、こちらのアニメイベントは1日参加なら5000円近い入場料がかかります。これだけでも若いアニメファンの懐には厳しいわけです。

もう1つはアニメイベントで何を買うのか、という疑問です。毎度この手のイベントに出店していて思うのは「どの店も代わり映えしないな」という点。特に個人のアーティストが自分の作品を売るブースが全体の7割ぐらいを占めるため、まるで「アニメの美術館に来ているような感じ」であり、日本のような新作ラッシュでお金を根こそぎ使わせるようなビジネスではないのです。

特に今年の特徴はフィギュアに終わった感が出た点でしょうか?フィギュアに特化した店では以前の人だかりがウソのような閑散とした状態で若者の流行の敏感さと気変わりにビジネスも大変だなということをしみじみ感じています。

よく報道で海外のアニメブームと報じられます。確かにイベントの主催者は当たればかなりの実入りがあると思いますがそこから更にどれだけお金を使ってくれるかと言えばイベントの目玉もないし、単なるコスチュームの見せ合いっこのようなもので盛り上がりレベルは低いと言うのが私の感想です。

ご承知の通り、若年層の就職率の悪さはカナダも散々であり、「大学は出たものの…」状態で経済が廻っているとは思えないのです。特に中国人の金持ちボンボンが一斉に消え去ったせいか、世の中、平静に戻ったものの派手さも刺激もなく、オタクは何処へ、という感が強いのもまた事実であります。

ところでアニメでハートに訴えるにはストーリーが絶対条件です。キャラクターだけを突然見せられてもかわいいとかぐらいの反応しかできません。どこまでハマるかはアニメやムービー、ゲームなどを通じてそのキャラクターにどれだけ自分が入り込めるか次第だと言えます。よって私どもでも相当多数の種類のアニメ関係本を扱っていますが、オタクであればあるほどへんてこな「よくそんなアニメ、知っていたな」という書籍をご購入いただいております。趣味のバラエティ化に売る方も多数そろえないといけないのがなかなか苦労するところですが、「あった!」という嬉しそうな声を聴いていると「やっててよかった、この商売」と思うのであります。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年8月9日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。

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