トランプの宴会場 連邦高裁も差し止め:「トランプは所有者ではない」

トランプ米大統領がホワイトハウスに建設を進めている巨大な宴会場をめぐり、司法から再び厳しい判断が下された。ワシントンの連邦高裁は8月7日、地上部分の建設を一時差し止めた連邦地裁の判断を2対1で支持した。判決の判断は明快だった。

大統領はホワイトハウスの一時的な入居者であって所有者ではない

BBC

すでに東棟を取り壊していた

問題となっているのは、ホワイトハウスの東棟跡に建設されている約9万平方フィート(約8360平方メートル)の巨大宴会場だ。建設費は現在約4億ドル規模とされている。

トランプ氏は2025年7月に計画を発表。当初は歴史的価値に配慮して関係機関と協議すると説明していたが、同年10月、議会の承認を得ないまま東棟を解体した。わずか3日間で東棟全体が取り壊されたという。 (Justia Law)

これに対し、歴史的建造物の保存団体「ナショナル・トラスト・フォー・ヒストリック・プリザベーション」が提訴。連邦地裁は地上部分の工事を差し止めていた。地下の防空壕や医療・軍事施設など、安全保障上必要な工事については継続を認めている。

「人民の家」を大統領の好みで変えられない

今回の高裁判決のポイントは、宴会場が豪華すぎるかどうかではない。米憲法の「財産条項」は連邦政府の財産について議会に広範な権限を与えており、さらに連邦法はワシントンの連邦政府所有地に建物を建てる際、議会の明示的な承認を求めている。

高裁は、歴代大統領はホワイトハウスの「一時的な入居者」にすぎず、ホワイトハウスは現在だけでなく将来の大統領と米国民のために維持される施設だと指摘した。

そして「巨大な宴会場を建設するかどうかを決めるのは議会であり、行政府が勝手に実力行使する問題ではない」とした。 これはトランプ氏にとって耳の痛い指摘だろう。

自費や民間寄付で建てるのだから自由だ、という話にもならない。他人の家を自分のお金で改築しても、自分の家になるわけではないからだ。判決は、民間寄付による資金調達を認めれば議会の予算決定権を迂回することにもなると指摘している。

トランプ氏「安全保障上必要だ」

これに対してトランプ氏は、宴会場には防空壕や医療設備、ドローン・ミサイル攻撃への防御設備も含まれており、「軍事センター」として安全保障上必要だと主張している。

しかし高裁は、安全保障を主張すれば法律を無視できるわけではないと一蹴した。安全確保に必要な地下工事などは差し止めの対象外であり、宴会場そのものについては議会の承認を取ればよい、というのが裁判所の考えだ。

一方、トランプ氏が任命したネオミ・ラオ判事は反対意見を出し、裁判所がホワイトハウスの建設工事を監督するのは「司法の越権」だと批判した。 (Reuters)

今回の判決は宴会場を永久に禁止するものではない。「建てるなら議会の承認を取れ」という判断である。判決の効力は最高裁への申し立てを可能にするため14日間停止されており、トランプ氏は最高裁に上訴する方針を表明している。

不動産王として自分のホテルやゴルフ場を好きなように改装してきたトランプ氏だが、ホワイトハウスだけは事情が違う。大統領は住人であって大家ではない。今回の判決は、その当たり前の原則を改めて突きつけたものと言えそうだ。

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