俳優の篠山輝信さん(42)が、元所属事務所との出演料をめぐる訴訟で一部勝訴しました。東京地裁は7月、篠山さんが納付した消費税相当額約206万円について、元所属事務所側に支払いを命じました。事務所側は判決を不服として控訴しています。
【参照リンク】「食べていけない」と芸能界を去った仲間を思い涙…篠山輝信さん、不透明な契約慣行を変えるため法廷へ 読売新聞

篠山輝信さん
今回の裁判で注目されたのは、篠山さんが長年受け取ってきた出演料について、消費税分の扱いが明確になっていなかった点です。2023年10月に始まったインボイス制度をきっかけに報酬の内訳を確認したことで、これまで見えにくかった消費税の処理が問題として浮上しました。
出演料「60%」の消費税が争点に
篠山さんは約20年間にわたり芸能事務所に所属していました。契約では、テレビ局や制作会社などから事務所に支払われる出演料の60%を受け取ることになっていました。
しかし、本人に支払われる報酬について、消費税相当額がどのように処理されていたのかは明確ではありませんでした。
篠山さん側は、本来受け取るべきだった消費税分が支払われていなかったとして提訴しました。東京地裁は、篠山さんが実際に納付した消費税相当額約206万円について、事務所側が支払うべきだと判断しました。
出演料の分配率そのものだけでなく、その金額が「税抜き」なのか「税込み」なのか、消費税相当額を誰が負担するのかが争点になった形です。
インボイス制度が契約内容を可視化
背景にはインボイス制度の導入があります。
インボイス制度では、事業者間の取引で適用税率や消費税額などを明示した適格請求書を発行・保存することが求められます。このため、従来は報酬総額の中に埋もれがちだった消費税額を、取引ごとに明確に確認する必要性が高まりました。
篠山さんも制度開始をきっかけに自身の報酬と消費税の関係を確認し、従来の支払い方法に疑問を持ったとされています。
インボイス制度をめぐっては、免税事業者やフリーランスの負担増が大きな論点となってきました。一方で、今回の訴訟は、取引価格と消費税額を区別することで、発注者と受注者の間の金銭の流れを明確にするという制度の側面を示した事例ともいえます。
芸能界の契約慣行にも影響か
芸能人の多くは、会社員ではなく個人事業主として芸能事務所と契約して活動しています。
一方、仕事の受注や出演料の交渉を事務所側が担うケースも多く、タレント本人がテレビ局や制作会社から支払われた金額の詳細を把握しにくい場合があります。
出演料の分配率だけが示され、消費税や経費などの内訳が十分に説明されなければ、実際に本人が受け取るべき金額を確認することは難しくなります。
今回の判決は、芸能事務所と所属タレントとの契約でも、報酬総額だけでなく、消費税を含めた金銭の内訳を明確にする必要性を改めて示しました。
篠山さん「安心して活躍できる業界に」
篠山さんは現在、事務所を離れてフリーで活動しています。
訴訟については、芸能人が安心して活動できる業界になってほしいとの考えを示しており、自身のケースが契約の透明化につながることを期待しています。
元所属事務所側は控訴しているため、司法判断は確定していません。
ただ、インボイス制度によって消費税額が明確になったことで、これまで「業界慣行」として見過ごされてきた契約内容や報酬の内訳が検証されるきっかけになったことは確かです。
今回の訴訟は、インボイス制度が単なる税務上の手続きにとどまらず、芸能界をはじめとするフリーランス取引の透明化にも影響を与える可能性を示すケースとして注目されそうです。なにより、篠山さんの覚悟と奮闘に敬意を表したいです。







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