営業自粛中にも詐欺事件発生のプルデンシャル生命、問われる「保険営業」のあり方

プルデンシャル生命保険は24日、多摩支社に所属していた40代の男性営業社員が、架空の高金利預金などを顧客に説明し、複数の顧客から不適切に金銭を受け取っていた疑いがあると発表した。男性はすでに死亡しており、被害人数や金額について同社が調査を進めている。

問題が重いのは、同社が大規模な金銭不祥事を受け、新規契約の販売を自粛していた期間中にも、こうした行為が続いていた可能性があることだ。

プルデンシャル生命HPより

39億円規模の不祥事の後にも新たな疑惑

プルデンシャル生命では今年、社員や元社員が顧客から不適切に金銭を受け取っていた問題が発覚した。架空の投資話を持ちかけたり、顧客から金を借りて返済しなかったりする事例が相次ぎ、グループ会社を含めた被害額は約39億円規模に膨らんでいる。

同社は一連の問題を受け、2月9日から新規契約の販売を自粛し、営業体制やコンプライアンスの見直しを進めてきた。

ところが今回、不適切な金銭授受の一部が、その自粛開始後にも行われていた可能性が浮上した。顧客保護を掲げて営業活動を停止していたにもかかわらず、顧客との私的な金銭関係まで十分に把握できていなかったとすれば、管理体制への疑問はさらに強まる。

「優秀な営業マン」への過度な依存

生命保険の営業は、他の商品とは性格が異なる。営業社員は顧客の収入や資産、家族構成、将来設計など深い個人情報に接し、長期にわたる信頼関係を築く。

そのため顧客は、担当者を単なる保険販売員ではなく「お金の専門家」として信頼するようになりやすい。そこに架空の投資話や高金利商品を持ち込まれれば、通常なら疑うような話でも信用してしまう危険がある。

強力な営業力を武器にしてきた会社ほど、営業社員と顧客との関係が個人化し、会社による監督が及びにくくなる。今回の問題は、「売れる営業マン」を中心としたビジネスモデルの弱点を改めて浮き彫りにしたともいえる。

生命保険は本当にそこまで必要なのか

一方、この事件を契機に考えるべきなのは、そもそも生命保険をどこまで必要とするのかという問題だ。

生命保険の本来の役割は、発生確率は低いものの、起きた場合には家計だけで負担できない大きな損失に備えることである。幼い子どもを抱える世帯で働き手が亡くなれば、死亡保障には大きな意味がある。

しかし、扶養家族がいない人や、十分な金融資産を持つ人まで、高額な死亡保障を持つ必要があるとは限らない。日本には遺族年金、高額療養費制度などの公的保障も存在する。

それにもかかわらず、「病気になったら」「老後が不安だから」といった漠然とした不安から、必要以上に複雑な保険商品を契約しているケースも少なくない。

特に保険と資産運用は分けて考える必要がある。保障は必要な分だけ保険で確保し、資産形成は預金や投資信託など別の商品で行うという選択肢もある。

今回の不祥事は、プルデンシャル生命の管理体制だけの問題ではない。営業社員への過度な信頼に依存する生命保険業界の販売モデル、そして消費者側の「保険に入っていれば安心」という意識も問い直している。

営業担当者を信用できるか以前に、その保険が本当に自分に必要なのか。今回の問題は、生命保険との付き合い方そのものを考え直す契機になりそうだ。

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