なぜANN「世論調査」で高市内閣支持率は急上昇したのか

菅原 琢

首相官邸HPより

2026年8月にANNが行った調査では内閣支持率が55.4%となりました。この値は、7月の49.2%から6.2ポイントも伸びており、SNSなどで騒がれています。他社とは大きく異なる動きとなっており、一部では(いつものように)世論調査ではなく世論「操作」であるとの陰謀論が撒かれています。

この内閣支持率の急上昇は、データを細かく見ていけばそれほどおかしくはない動きだと考えることができます。ただ一方で、同社の粗い調査手法が招いた極端な動きとも考えられます。現代日本のマス・メディア実施の世論調査の重要な問題点が含まれていますので、ここで簡単に論じておきます。

下振れの7月からの反動で「上昇」したか

まず、今回のような極端な動きが現れたのは、基本的には誤差の部分が大きいと考えられます。

下の公式サイトから引用したグラフが示すように、ANNの7月調査では6月に比べて10.9ポイントと大きな下落となっていました。この動きは前回ニュースレターで紹介した日経新聞の大きな下落に匹敵するもので、誤差で下振れした可能性があります。

この大きな下振れに対して、8月には通常もしくはやや上振れの数字が出たために、他社と異なる動きとなったと考えることができます。したがって、2カ月間で見れば大きな動きではなく、ANN内閣支持率の6月から8月の4.7ポイントの下落は、時事世論調査の5.9ポイント下落、共同通信の5.6ポイント下落と大きく変わらない動きと判断できます。

前回のニュースレターで述べた通り、マス・メディアの世論調査は、各社とも異なる方法、タイミングで行われますし、そもそも調査ですので誤差はつきものです。したがって、その数字や動きに差異が出てもそれは自然なことです。報道機関の世論調査で何か極端な、異常な数字の動きを見たときは、その月だけでなくそれ以前の月の数字と動きを確認するとよいでしょう。

対象者数と回答率が連動しているANN調査

一方で、ANN調査の特殊性による部分も大きいのではと疑うこともできます。

ANN調査の調査手法は詳細が公開されていません。しかし、細かい数字からどのような調査を行っているのかの見当はつきます。

図1は、ANN調査の対象者数、回答者数(推計)、有効回答率を確認したものです。これを見ると、対象者数(電話に出た有権者の数)の推移は上下しているのに対して、回答者数(対象者数に有効回答率を乗じて計算した推計値)はほぼ一定の数となっていることがわかります。

図1

以降、菅原琢の政治分析にて(無料登録で続きを読めます)。


編集部より:この記事は政治学者の菅原琢氏のニュースレター『菅原琢の政治分析』2026年8月27日の記事を転載させていただきました。

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