メザニンが株式になったらメザニン投資は失敗

資金調達手段は、多種多様であり得るが、そこには、必ず、弁済の優先順位がある。例えば、負債は資本に優越する。より、具体的には、債権者や債券の投資家の地位は、株式の投資家の地位に優越するのである。メザニンは、資本と負債の中間にあるもので、メザニンの投資家は、株式の投資家よりも上位にあって優越し、債権者や債券の投資家よりも下位にあって劣後するわけである。

Nuthawut Somsuk/iStock

優先劣後関係が現実的に意味をもつのは、発行体企業が経営破綻し、何らかの法的手続きに移行したときである。法的手続きとは、第一に、利害関係者間の法律上の優先劣後関係を確定させて、その確定した順位に応じて、利害関係者を優先的に取り扱い、第二に、同一順位にある利害関係者を平等に取り扱うことである。

法的手続きに移行すれば、株式は、大きく価値が毀損し、多くの場合、無価値になるから、メザニンは、事実上、最下位の資本に転落し、負債としての価値を喪失することで、価値が大幅に低下する。つまり、メザニンは、株式に優先していても、法的手続きにおいては、その優先性に大きな意味はなく、単に、一般の負債に劣後している点だけが意味をもつのである。

メザニンは、発行体が常態で活動しているときでも、事前に定められた一定の条件が成就したときには、株式に転換されるように設計されていることがある。この場合は、理論的には、メザニンと株式の等価交換だから、価値が毀損されることはないが、実際上は、発行体が上場企業でない限り、回収が困難になる場合が多く、投資としては、失敗といわざるを得ない事態になる。

あるいは、別の表現をすれば、株式に転換されれば、発行体が上場企業であれば、普通の株式投資の戦略に、非公開企業であれば、プライベートエクイティの戦略になるだけのことだが、メザニン投資としては貫徹し得なくなるという意味では、失敗だということである。

森本 紀行
HCアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長
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