「沖縄県知事選」の超大胆予想

「同志社」のホームページ(HP)にある「〜150年の歴史をたどる〜」の項に「『一国の良心』となる人物の養成を目指して」との小見出しの一文が記されている。創立者新島襄が1864年に国禁を犯してまで米国に密出国し、その地で様々な支援を得て、帰国後に「同志社大学設立の旨意」を公表するまでの経緯が簡潔に述べられ、次の一文で結ばれている。

同志社は、現在、幼稚園から大学まで約4万1,500人の学生、生徒、児童、園児の学ぶ一大総合学園となっています。卒業生はおよそ36万人を数えます。この国の未来を創るために。新島をはじめとする先人たちの思いを受け継いで、これからも同志社の歴史は続いていくことでしょう。

今、その同志社が大きく揺れている。同志社国際高校が研修旅行の一環として行っていた沖縄県名護市辺野古の米軍基地を海上から見学するプログラムで、3月16日に生徒が乗船した抗議船2隻が転覆、女子生徒1名と抗議船船長が死亡し、生徒16名と乗員2名が負傷する海難事故(以下、「事件」とも記す)が起きたのである。

4月16日の『産経』に拠れば、「平和学習」を目的に80年頃から始められ同校の沖縄研修旅行には、「沖縄戦を自分事として考える必要性」(西田校長)から、陸上から辺野古を見学するコースが15年から、海から見学するプログラムが23年から加えられた。そして4年目、遂に尊い人命が失われる「事件」が起きた。

同志社の対応は「調査中」を口実とした先送りに終始した。が、遺族が3月末に手記をネット公開したのを機に同志社非難の声が高まり、文科省も5月下旬、「政治的中立性(教育基本法違反)」や安全管理の不備を「著しく不適切」と指摘した。

更に、7月半ばには責任を回避する校長や教員とヘリ基地反対協議会メンバーが、業務上過失致死傷容疑などで遺族から刑事告訴される事態に及んだ。そして「事件」は同校職員の鉄道事故死にまで発展し、同志社が8月25日、法人理事長と国際高校校長の辞任を発表したのは報道の通りである。

「報道の通り」と書いたが、良く知られているように、文科省による指摘があった5月下旬辺りまでの約2ヶ月の間の報道は、大竹沖縄支局長が孤軍奮闘する『産経』と一部の保守ネット番組に限られ、大方のオールドメディアは、「事件」の詳細についてほぼ「だんまり」を決め込んでいたのである。

鉄道事故で亡くなった同志社国際高職員が辺野古海上見学の付き添い教員であり、自死の疑いが濃いことの報道は、目下一部ネットメディアに限られている。が、今後、「事件」に関連する3人目の死亡者として沖縄の地方メディアも報じざるを得なくなるだろう。それを契機に、同志社を含む「事件」の詳細を沖縄県民も知ることになるはずだ。

長い前置きになったが、本題に入る。

沖縄県のHP「【特設ページ】令和8年沖縄県知事選挙及び沖縄県議会議員補欠選挙」は、告示日(8月27日)、選挙期日(9月13日)と共に、立候補者として「古謝 げんた」「玉城 デニー」以下の6名を紹介している。実績や推薦団体から推して、古謝vs玉城の一騎打ちと見て良いだろう。

22年9月11日投開票の前回は、オール沖縄の推す現職玉城デニー、自民・公明の推す元宜野湾市長佐喜真淳、元衆議院議員下地幹郎の三つ巴となり、結果は玉城:339,767票、佐喜真:274,844票、下地:53,677票となった。有権者数は1,165,610人(前回比+18,795人)、投票率は57.9%(前々回63.2%)、有効得票数は668,288票(57.3%)だった。

国政選挙で良くいわれる語に、岩盤支持層と無党派層がある。安部元総理は右の岩盤支持層3割を固め、国政選挙に6連勝したといった具合に。8月24日の『沖縄タイムズ』社説は、「沖縄の選挙では、強固な岩盤保守層が2〜3割、強固な岩盤革新層が2〜3割と言われてきた。残りは無党派で、この層への浸透が勝利の鍵とされる」と記している。

前回選挙時の22年8月29日の『琉球新報』は、「知事選の投票『必ず行く』89%、関心高く 支持政党は無党派が43% <沖縄知事選・序盤世論調査>」と報じ、また24年10月17日の『毎日』は「15、16日に実施した特別世論調査で、全体の48%を占めた無党派層・・」と書いている。

これらを勘案し、本稿は岩盤保守と岩盤革新を各々25%、無党派層を50%と置いて予想を進める。

玉城・古謝の2氏以外の候補には申し訳ないが、他4氏の得票は端数とし、有効得票率を前回並みの57.3%:約67万票とすると、2名の岩盤票は各々約17万票の計34万票、無党派層の票は約33万票となる。つまり、この33万票がどう動くかが、玉城vs古謝どちらが勝つかの帰趨を左右するのである。

ここまで書けば、冒頭から辺野古転覆事故について縷説した意味が判るだろう。無党派層の多くは今回、「玉城氏に投票しない」と筆者は見る。

玉城氏は一貫して辺野古移設に反対である。それは、24年6月に名護市安和で発生した「抗議活動中の女がダンプカーの進路に飛び出し、制止しようとした男性警備員をダンプカーと衝突させ、死亡させたとして、重過失致死の疑いで書類送検した」(6月9日『読売』)後も、『産経』がスクープした防犯カメラの事故映像を見ることを頑なに拒む姿勢にも現れている。

この事故現場に、横断歩道や停止線の整備と共に信号機8機が設置されたのはこの6月(前記『読売記事』)、即ち事故から2年も経ってからのことだ。玉城知事のこうした姿勢が、ヘリ基地反対協議会が主体となって行ってきた過激な反対活動を助長した側面は、誰も否定できないところだろう。斯くて、全く責任のない女子高校生や警備員の尊い命が失われてしまった。

本題に戻れば、同志社で学ばずともごく普通に育てば、人は誰でも「一国の良心となる人物」たり得る。「岩盤保守と岩盤革新」の「各々25%」に「良心」が欠けるといっている訳でもない。「米軍基地は要らない」というのも革新17万の「良心」だし、「中国の脅威という現実をみれば米軍基地もやむを得ない」というのも保守17万の「良心」だ。

そして「米軍基地は要らない」が「中国の脅威という現実をみれば米軍基地もやむを得ない」、どちらとも決められないという「良心」こそ無党派層たる所以だ。その33万の「良心」の過半が9月13日に、死者まで出した、行き過ぎた反基地活動を放置して来た玉城氏に向かうとは、筆者にはとても思えない。

結論として、投票率が前回並みなら10万票差で、前々回並みの63%(更に高くなる可能性がある)なら15万票差で、何れにしても「古謝氏が勝つ」と予想する。ただし、玉城氏の「良心」を否定している訳でないことも申し添えて置く。

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