ドイツの右派政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が9月6日のザクセン=アンハルト州議会選で、AfDが約44%を獲得して第1党になったが、アリス・ヴァイデル共同党首の私生活と党の主張の食い違いが話題になっている。彼女は党が掲げる社会像とまったく違う暮らしをしているからだ。

ヴァイデル(左)とボサール(wyborcza.pl)
レズビアンで女性の「妻」とスイスに住む
ヴァイデルは1979年生まれの経済学者で、ゴールドマン・サックスなどで働いた経歴を持つ。2013年にAfDへ入党し、2022年から共同党首を務めている。
彼女はレズビアンで、「妻」のサラ・ボサールは1982年にスリランカで生まれ、生後3カ月でスイスの牧師夫妻に養子縁組されたスイス人で、映画プロデューサーとして活動している。
2人は2009年ごろから交際し、登録パートナーシップを結んでいる。ボサールの実子である2人の息子を一緒に育てており、主な生活拠点はスイス・シュヴィーツ州のアインジーデルンだ。ヴァイデルはドイツ側のボーデン湖畔ユーバーリンゲンに公式な住居を置き、ベルリンで活動している。
AfDは同性婚には反対
AfDは「父・母・子からなる家族が社会の核」とする伝統的家族像を重視する。同性婚には反対し、一部の州組織の選挙プログラムでは「性的逸脱」や「非生殖的ライフスタイル」といった表現も使われてきた。移民抑制と不法移民の追放も党の中核政策だ。
この政策とヴァイデルの私生活のギャップを指摘する投稿は、英語圏から日本語圏へ広がった。典型的なものは次のようなリストだ。
- 反移民を掲げるのにパートナーはスリランカ生まれ
- LGBTに批判的なのに自身がレズビアン
- 同性カップルの養子縁組に否定的なのに2人の子どもを育てている
- ドイツ愛国を強調するのにスイスに住んでいる
こういった矛盾を取り上げて「二枚舌」とか「ダブルスタンダード」といった反応が目立つ。
党の見解には「ついて行けない」
ヴァイデル自身は矛盾を認めていない。ボサールは幼児期にスイスで育ったスイス市民であり、AfDは「すべての移民を禁止」しているわけではない。党は同性愛を違法化する主張はしておらず、伝統家族を「目標像」(Leitbild)として掲げる立場だ。
2025年のテレビ討論では「家族は子どもがいるところ。国家はパートナーシップの形に干渉すべきではない」と述べ、「私はQueerではない。20年来の女性と暮らしているだけだ」と区別した。
同性婚を禁止するザクセン=アンハルト州AfDのプログラムに対し「私はついて行けない。私はそれを生きているから」と距離を置きつつ、「伝統家族を社会の目標として掲げることと、私の暮らしは矛盾しない」と繰り返した。
「いい加減な政党」だから受け入れやすい
何事にも厳格で潔癖なドイツでは、こういう「いい加減な政党」は珍しいが、必ずしもマイナスにはなっていない。彼女の存在が党に「極端すぎない顔」を与え、支持層の拡大に寄与しているのだ。
東部を中心とした有権者は移民問題や生活不安を重視し、党首の私生活を大きく問題視していない。今の社民党を中心とする左派政権が移民で社会を混乱させ、ドイツを貧困化したというAfDに魅力を感じているのだ。
ヴァイデルの暮らしが党の方針と食い違うのは事実だが、彼女はそれを「私的領域」と「国家が推奨する家族像」の分離として説明している。州選挙での大勝後、この説明がどこまで支持者に受け入れられ続けるかが、今後の焦点になる。







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