本田由紀教授に東大は「注意」だけ:遺伝差別にそれでいいのか

東大大学院教育学研究科の本田由紀教授が、三笠宮家の彬子さまをめぐってXに「この人たちを目にするたびに、遺伝的要因のおそろしさを感じる」と投稿した問題で、東大が本田教授を注意していたことが明らかになった。

本田由紀氏(東大公式サイト)

J-CASTニュースによると、東大は9月8日、教育学研究科長から本田教授に対し、「個人のSNS投稿についても十分考慮して行うよう注意をした」と回答した。

「遺伝的要因のおそろしさ」という異様な表現

問題の発端は9月1日の投稿だった。本田教授は、彬子さまや麻生家を批判し、「麻生の血筋から天皇を出すんですか?」などと書いた別のユーザーの投稿を引用して「遺伝的要因のおそろしさを感じる」と書いた。

SNSでは、本人の行動ではなく遺伝や血統、出自によって人間を評価する差別的な表現ではないかとの批判が相次いだ。

本田教授は教育社会学を専門とする研究者であり、日本教育学会の会長でもある。差別や社会的不平等を研究対象としてきた研究者が、他人について「遺伝的要因のおそろしさ」と表現したことの意味は軽くない。

本田教授はその後、「解説」と題した文章を投稿し、「遺伝的要因」が意味していたのは「自らと遺伝子を共有する血縁者を優遇しようとする麻生太郎氏の行為の問題点」だったと説明した。「血縁者」「親族」と置き換え可能な意味だったという。

だが、それなら最初から「親族を優遇することの問題」と書けば済む話である。「遺伝的要因のおそろしさ」という表現を使う必要はどこにもない。

さらに「この人たちを目にするたびに」という主語との組み合わせを普通に読めば、「遺伝的要因」が皇族への評価だと受け取られることは十分予想できる。

東大のダブルスタンダード

東大は「構成員は人権を尊重し、高い倫理観を持って行動しなければならない」とした上で、今回の投稿について「差別的な発言という本学の基本的な方針にも反する社会からの受け止めが一定あった」と認めている。その上でおこなった措置が「注意」だった。

もちろん大学教授のSNS発言を理由に大学が安易に懲戒処分することには慎重であるべきだが、本田氏は日本のキャンセルカルチャーの中心人物で、呉座雄一氏を解雇せよというオープンレターの中心人物だった。

東大の大澤昇平特任准教授が、中国人を採用しないとXで公言した事件で東大は彼を懲戒解雇したとき、本田氏は懲戒処分を主張していた。それに対して今回は、懲戒処分でさえない。これはダブルスタンダードではないのか。

本田教授が会長を務める日本教育学会も、この問題について倫理委員会で検討を続けているというが、他人の差別にはきびしく身内にはやさしいのでは、普遍的な倫理とはいえない。

もうキャンセルカルチャーはやめよう

今回の問題で重要なのは、本田教授の懲戒処分ではない。キャンセルカルチャーに終止符を打つことである。これは2000年代にアメリカから輸入された、差別を理由に職をキャンセルさせる悪習だ。

本田氏はその中心なのだから、ここでおとがめなしで終わったら、キャンセルはやり得になってしまう。中国人を差別することが懲戒解雇なら、皇族の差別が「注意」ですむはずがない。右派の差別と左派の差別に区別はない。

他人の差別を糾弾して職を奪う人物は、差別したら処分を受ける対称性が必要だ。東大がそれを本田氏に思い知らせれば、この悪習は根絶できる。

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