幼稚な平和主義は戦争を呼び込む

アニメーターの中野彰子さんのつくった反戦アニメが話題になっています。

まあ、軍オタのカタログスペック的な批判はともかく、多くの人たちがその危うさを指摘しています。

どういうものを作って発表するかは個人の自由です。ですが、彼女のような主張は、幼稚園あるいは小学校の中学年程度までであれば許容できると思いますが、大人がそのまま信じるのは大変危険だと思います。

中野彰子氏Xより

ぼくが若者の頃、ピーターパンシンドロームと言う言葉が流行りました。大人になれない若者を指して言う言葉でしたが、日本の平和主義者の人たちは、このピーターパンシンドロームに犯されています。

日本の平和主義者の典型で、情緒的な平和しか主張していないことです。そこに冷静なロジックも知識もない。」

例えばぼくは長年にわたって防衛費削減や予算の適正化を主張してきました。安倍晋三の防衛費GDP比2パーセントにも反対してきましたし、安倍政権時代の事項要求の乱用や本予算と補正予算の一体化も批判してきました。

オスプレイの導入にも具体的なエビデンスを挙げて反対してきました。ところがいわゆる平和主義者の人たちはこういう話に興味がありません。

平和平和と繰り返すだけです。オスプレイにしてもよく分からず反対するだけです。
そこに知性も合理的な判断もありません。平和を実現するのであれば地道な努力と、軍事に関する知識が必要なはずですが、そういうことは大嫌いです。現実を理解して学び、銅平和を実現していくかとい議論ができない。

これでは自国の政府にすら何らなの影響を与えることはできません。平和運動は単なるオナニーです。

つまりお気持ちや感情の発露でしかない主張を繰り返すだけ。そこには具体的な解決策は示されないし、何なら具体的な解決策は反平和、敵対行為として否定されます。

中野さんにしても、軍事を持てば、それは侵略戦争に使われるかもしれないとおっしゃってるんで、非武装指向しているんでしょう。

ですがそれは例えば、包丁を持っていれば、それで人を刺す可能性があるかもしれない。だから家庭に包丁置くな、レストランでも包丁を使うなと言うような主張とほとんど同じです。その異常さに本人は気がつかない。

彼らの主張はお気持ちを繰り返すだけです。そこに現実に向き合うための努力や、洞察、対処を模索する姿勢はない。話し合いで全て解決するはずだと。

そうであれば、ウクライナが侵略されたのは、ウクライナに対話能力がなく、武装放棄していなかったからだと言うことになります。ではウクライナが非武装だったらロシアの侵略はなかったでしょうか?むしろロシアは容易に侵略できたでしょう。

また、軍事力を持っていれば侵略につかうはずだという主張はスウェーデンやスイス、カナダと言った武力を持っているが、国際平和構築に努力している国に対する侮辱ではあります。こういうことが理解できない。

そしてこういう無邪気な平和主義は得てして戦争する側に悪用されます。例えば、強大な軍事力を持つ国が隣国を侵略しようとします。その時、隣国が持っている軍事力を弱めるために、その隣国の国内で平和主義を支援します。武装は良くない、話し合いで解決する。そういう世論が大きくなり、武装が解除、あるいは軍隊が脆弱化すれば容易に侵略が可能となります。無邪気な平和主義は侵略者に利用されます。

侵略されなくても、圧倒的な軍事力を背景に非常に不平等な要求を飲まざるを得なくなります。これは架空の話ではなく、冷戦時代にソ連や東側が恒常的に行っていたことです。

ベトナム反戦運動では米軍の残虐行為だけが叫ばれましたが、北ベトナムの残虐行為には沈黙していました。冷戦中に東側は西側の平和運動に資金を提供していたりもしました。ぼくの大学時の社会学の教授がそうでした。それはフェアではないのでは?北も残虐行為をしていましたよね、というと私は知らないと逃げました。だったら調べてから授業をやれと。知らないで片ほうの言い分=プロパンガダを信じて授業で学生を洗脳しようとするのはアカデミズムではありません。

つまり、冷静な分析や軍事的な教養基づいた主義主張ではなく、情緒のみのふんわりとした平和を主張すると、戦争する国のとって大変都合の良いことになると言うことです。実際に少し日本が防衛予算を増やしただけで中国は軍国主義の復活と宣伝します。中野さんたちの主張はこういう中国に利することなるでしょう。

そして、不思議なことに中野さんや平和主義者の人たちは、自分たちに対する批判に耳を塞ぎます。武力ではなく、話し合いで物事を解決しようと言ってる人たちが、自分たちと異なっている主義、主張の人と話し合いを拒否します。これが国の国との関係であれば国交断絶です。それで平和が守れるのでしょうか?

自分たちの標ぼうする平和主義が実は排他的であることに彼らは気がつきません。多分、いくら指摘しても気がつかない、あるいは気がつかないふりをするでしょう。

これだけを見ても話し合いで平和を維持することが如何に難しいかわかると思います。

平和主義者の行状と言うのは平和を健康、戦争病気に例えると理解しやすいかと思います。彼らの主張は、私は健康が大好きだ。だから、忌まわしい病気について全く知ろうと思わない。と言うものです。

果たして、そういう人が病気を遠ざけることができるでしょうか。

知性なきナイーブな平和主義はむしろ戦争を呼び込みます。地獄への道は善意という敷石で舗装されています。

東洋経済オンラインに寄稿しました。

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紙の爆弾に寄稿しました。

紙の爆弾 2026年8月号 [雑誌] – 鹿砦社

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東日本大震災で防衛省の無人機はなぜ飛ばなかったか

Noteで有料記事を公開しました。

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海自「ホルムズ派遣」の死角――イランの飽和攻撃と戦傷医療・防衛体制の欠陥

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装甲車両にCRT(Campsite Rubber Track)、ゴム製履帯を導入するメリット 清谷信一軍事記事 (清谷防衛経済研究所) – 清谷信一

いずも級、22DDHは駆逐艦に非ず。 (清谷防衛経済研究所) – 清谷信一
暴力装置 (清谷防衛経済研究所) – 清谷信一

過去の著作の電子版が発売になりました。

『ル・オタク フランスおたく物語』

『弱者のための喧嘩術』


防衛破綻 – 清谷 信一


専守防衛 – 清谷 信一


編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2026年9月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。

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