ランスへの旅。
今回の目的は、田中一行シェフのレストラン、「ラシーヌ」でのお食事。
独立前、まだアルプスの山奥にいた頃にはじましてして、10年前にランスで独立してから何度か取材に来させてもらっているけれど、お料理をきちんといただくの、初めて。嬉しいな♪
すっかり緑豊かになったお庭を眺め、一新した厨房を覗き、木の温もりが素敵な内装になったサロンにしつらえられた広々大理石カウンターに落ち着いて、おいしいシャンパーニュで乾杯。

日本風庭園を望むテーブル

改装して、二人がけテーブルは半個室な感じに
大きなカウンターが魅力的

乾杯と共に運ばれてきたメニューにテンションあがる。
一行シェフによる風景画デッサン。裏返すと、最初のアミューズのタイトル&ポエティックな文章&主食材名。うなぎ&ラディッシュ&バナナの、たおやかで不思議で繊細な組み合わせ。
2つ目のアミューズの前にメニュー立てに置かれたのは、唇&ブロッコリー&サバ&パテのイラスト。裏返すと、こちらもタイトル&楽しい解説&主食材名。それに呼応した3種のブシュ(=唇、一口大のカナッペ)。なんてまぁチャーミングなメニュー💕

右の緑パウダー、イラストに描かれた木々みたいね

丁寧な解説というか真摯な言葉
メニューを見てると、シェフと会話しながら食事を楽しんでいるきがしてくる


続くイラストは、ココナッツ、ムール、生姜、レモングラス、イカ。この辺から、絵で食材を当てるのが楽しくなってくる♪ 爽やかなイカ、絶品!知人はムールに感激してる。
次のイラストは、オンブルシュヴァリエ(=イワナ。ニジマスと間違えた)、グレープフルーツ、コールラビ、クランベリー(エレルだと思った、同じようなものよね)。オンブルの焼き加減が皮の香ばしさと身の繊細極まりない軽い火入れ状態が見事。ハシリの白アスパラガスやコールラビ、グレープフルーツの爽やかさと共に、春の到来を感じる。



時々、ソースをかけに、奥の厨房から出てきてくれる一行シェフ


こちらもまた目を見張るような見事な火入れの、オマール&キャベツ、まとうだい&アンディーヴ&ベトラーヴをへて、イラストは、ナスと見慣れぬ魚。





二人とも首をかしげ、裏を見ると、チョウザメ。あー、一行シェフ、チョウザメの卵使ったスペシャリテが自慢だし、ちょっと考えればわかったはずなのにね。しかも数分前に、チョウザメ養殖所に行った話で二人で盛り上がったばかり。ポンコツだね、私たち、と、大笑い。カヴィア&ナスの言葉遊びも楽しい料理は、おいしさもさることながら、キリッと辛口のシードルとの相性がよくてびっくり&感動。
和牛&ニンジン&新玉ねぎも美味しくいただき、まだ日本に行ったことがないグルメ知人は、和食に想いを馳せる。



シャンパーニュ地方で作ってるシードル
キャヴィア&ナスとのマリアージュが素晴らしくて驚く

おやつのデッサンは、オランジェット&ヴァローナ&自由の女神。なぜ自由の女神?と裏を見ると、ちょっと泣きそうになるような素敵なエピソードが記されている。
ルバーブ酒とルバーブ水と共に、ショコラ&オレンジを味わい、青リンゴ&松(ローズマリーかと思った)の新感覚タルトタタンもたいらげ、最後のカルトは、シュールレアリズム&ポップアート風デッサン。”情熱”という言葉とシェフのサインが入ってる。



ルバーブ酒、きれいね〜
夏に作ってみようかな



ひゃ〜、おいしかった!
シェフたちはみな揃って、”1番大切なのは食材”と言う。素晴らしい食材を使って、多くのシェフは ”自分の料理”を作ってる。一行シェフの料理は、なんと言うか、食材に寄り添って食材たちが自由闊達な自己表現をするのに手を貸してあげているイメージで、”食材がすてきにおいしい料理になる”感じ。面白く独創的な味の構成ではあるのだけれど、全て、食材一つ一つの魅力がピュアに研ぎ澄まされた形でくっきり浮かび上がってて、かなりの感動。
全11皿で、カロリーは1500。昔から一行シェフは、ヘルシーガストロノミーを追求してる。
食後、シェフとおしゃべり。”絵も描くなんて知らなかった〜”、と言うと、”僕も知らなかった。最近こういうカルトにすることにして描き始めたんです”と。アートにも美術館にも全く興味がなかったそう(笑)。
4月末に2冊目の美しい料理本が発売になる。料理本だけでなく画集も出せるよ、シェフ。
11枚のデッサンからなるメニュー表を封筒に入れて渡してくれる。とっても素敵なプレゼント。パリに戻って、絵を眺めながらおいしかったお料理を思い出そう。



4月末に発売になる、田中一行シェフの2冊目の料理本
アートテーマで写真がとても美しい
編集部より:この記事は加納雪乃さんのブログ「パリのおいしい日々6」2026年4月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「パリのおいしい日々6」をご覧ください。







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