月見グルメの食べ歩き:なぜ日本人はこんなに「月見」が好きなのか

秋になると登場する食べ物があります。「月見」です。9月に入ると、街の飲食店には一斉に黄色い卵が登場します。月見バーガー、月見うどん、月見丼、月見パン。そこでマクドナルド、ケンタッキーフライドチキン、ローソンの「月見グルメ」を実際に食べ比べてみることにしました。

マクドナルド

王道のマック、今年は「すき焼き」で攻めてきた

まずは月見界の絶対王者、マクドナルドです。月見バーガーは今年で発売35周年。2026年は定番の「月見バーガー」「チーズ月見」に加え、新作の「炙り牛すき焼き風月見」が登場しました。単品570円からです。

今回はせっかくなので新作を注文しました。包みを開けると、やはり主役は中央に収まったぷるんとしたたまごです。そこにビーフパティとベーコン、さらに今年は牛すき焼き風のフィリングが加わっています。ひと口食べてみると、想像していた以上に「すき焼き」です。甘辛い味がかなり前に出てきます。いつもの月見バーガーより濃厚で、たまごがその味を少しまろやかにしてくれます。

おいしいのですが、かなり欲張った味でもあります。昔の月見バーガーは、ビーフ、たまご、ベーコンという比較的シンプルな商品でした。今年の新作は「月見バーガーを食べている」というより、「すき焼きバーガーに月見が入っている」という印象です。これはこれで満足感があります。ただ、毎年一度食べたくなるのは、結局シンプルな普通の月見バーガーなのかもしれません。

KFCは「たまご」よりチキンが強い

次にケンタッキーです。KFCも今年は「とろ~り月見」シリーズを展開しています。定番の「とろ~り月見フィレバーガー」に加え、かなりボリュームのある「とろ~りトリプル月見和風カツバーガー こぼれタルタル」まで登場しました。

私が食べたのは王道の月見フィレバーガーです。こちらはひと口目から、マックとはまったく違います。当然ですが、まずチキンがおいしい。厚みのあるチキンフィレの塩気と衣の味がしっかりしていて、そこにとろっとしたたまごが加わります。マックでは「たまご=月見」が主役ですが、KFCの場合はあくまでチキンが主役で、たまごは名脇役という感じです。

食べ応えはこちらの方が上でしょう。反面、「秋だから月見を食べている」という情緒はマックの方があります。KFCは秋というより、「いつものチキンバーガーをさらに豪華にしたら、結果的に月見になった」という感じもします。

コンビニの月見が一番自由だった

そして最後はローソンです。今年のローソンはすごいことになっています。「月見フェア」として、全国で計19種類もの商品を展開。「とろ~り月見つくね丼」から「月見カルボナーラポテトサラダ」「月見油そば」「月見カレーパン」「月見仕立てのメンチカツ」、さらにはスイーツまであります。もはや月見の定義が分からなくなってきました。

今回は「とろ~り月見カレーパン」を購入しました。税込235円です。カレーパンを割ると、中からカレーと半熟風のたまごが現れます。これは意外によく合います。カレーの辛さをたまごが抑えてくれるので、味としては非常に分かりやすい組み合わせです。「月見」という言葉がなくても普通に商品として成立しそうです。

むしろ食べながら、「これは本当に月見なのだろうか」と考えてしまいました。黄色くて丸いたまごが入っていれば月見。そう考えると、日本の月見グルメにはかなり自由な世界が広がっています。

結局「月見」とは味ではなかった

3社を食べ比べてみて気づいたのは、「月見味」という味は存在しないということです。マックはビーフとベーコン、KFCはフライドチキン、ローソンはカレー。それぞれ味はまったく違います。共通しているのは、黄色く丸いたまごだけです。それなのに、たまごが一つ入っただけで私たちは「秋だなあ」と感じてしまいます。

考えてみれば不思議です。たまごは一年中あります。目玉焼きを6月に食べても誰も「月見」とは呼びません。ところが9月になり、「月見」という名前が付いた途端、季節の食べ物になるのです。そして今年も私は、そのマーケティングに見事に乗せられて3社を食べ比べてしまいました。

個人的に「毎年一度は食べたい」のは、やはりマクドナルド。ボリュームならKFC。意外性とコストパフォーマンスならローソンでしょうか。本物の満月は見逃しても、月見バーガーの発売日はなぜか知っている。現代の日本人にとって「月見」は、空を見上げる行事ではなく、秋を食べる行事になっているのかもしれません。

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